窯元めぐりで楽しもう!島根の焼き物の魅力 後編

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2018年05月25日 公開

島根の民藝を伝え、繋いでいく窯元

地域に根付く風土や歴史を背景に、島根の窯元は手を取り合い、世代を繋ぎながら日々作陶を続けています。

また、各地の窯元は十人十色。伝統的な技術や美意識を継承しながらも、それぞれのスタイルへ昇華されているのも島根の民藝の面白さです。

今回はその魅力に迫るべく、「食・旅・クラフト」等のテーマを中心にライターとして活躍される、江澤香織さんと一緒に島根の焼き物・器に触れる旅に出かけます。

それでは早速行ってみましょう!


この記事は「後編」です。
「前編」をまだお読みでない方はこちらから
窯元巡りで見つける島根の焼き物の魅力 前編


(以下 文:江澤香織)

使うほどにしみじみと味わい深い「袖師窯」

袖師焼 袖師窯の工房 外観

宍道湖のほとり、島根県立美術館からも徒歩数分のところに、袖師窯があります。漁師の網小屋だったという、築120年の木造家屋にも味わいがあります。

袖師焼 袖師窯の工房

工房の様子は自由に見学でき、時には陶芸の絵付け体験を行なっていることもあります。女子高生たちが楽しそうにおしゃべりしながら、器作りをしている様子を見かけたことがありました。

袖師焼 袖師窯の尾野友彦氏

明治10年(1877年)より開窯し、3代目から民藝運動に参加。現在は5代目の尾野友彦さんが中心となって、日常使いの器が作られています。

袖師焼 袖師窯のギャラリーショップ 内観

2階のギャラリーには多彩な器がぎっしりと並び、思わず目を凝らしてしまいます。

袖師焼 袖師窯の器 01

丁寧な絵付けが施された器が多いのもこの窯元の特徴で、昔から変わらないという素朴な絵柄に、思いがけずモダンな風情を感じてハッとすることがあります。

袖師焼 袖師窯の器 02

とことん研究された様々な釉薬に独特の表情があり、使い込むほどにじわじわとその良さを感じさせる、味わい深い器です。

袖師焼 袖師窯の器 03

袖師焼 袖師窯の器 04

またここのスリップウエアは多色使いが特徴的で、他にはない鮮やかさで伸び伸びとしたデザインに遊び心を感じさせます。

袖師焼 袖師窯の器 05

袖師焼 袖師窯の暖簾

袖師窯

〒690-0049 島根県松江市 袖師町3-21 [MAP]

TEL:0852-21-3974

【営業時間】9:00~17:30

【定休日】日曜日

【関連リンク】≫ 公式フェイスブックページ ≫ 詳細情報(水の都 松江)

優美な白の表情が特徴的な「白磁工房」

白磁工房 外観

白磁工房は、雲南市三刀屋町にあります。この辺りもヤマタノオロチ伝説の舞台となった地域で、オロチにまつわるスポットが近隣にいくつか点在しています。

工房のハッと目を引く建物は、陶芸家の上田恒次設計。京都生まれで河井寛次郎を師事し、京都民藝協会の会長も務めた人です。白磁工房の初代、石飛勝久さんは上田恒次の弟子として長年共に過ごし、白磁の技法を学んだそうです。

白磁工房の石飛勲氏

現在は、息子の勲さんが父の勝久さんから技法を受け継いでいます。

白磁工房の器 01

石飛さんの作る白磁は、ほんのり青みがかったエレガントな白。品格のあるフォルムが空間をキュッと引き締めます。

白磁工房の器 02

凛とした佇まいが清々しく、いつまでも惚れ惚れと眺めていたくなりますが、手に馴染む使い勝手の良さもあり、現代の暮らしにもしっくりくる器です。

白磁工房の技法

面取りや鎬手という技法でひとつひとつ丁寧に装飾が施されます。

白磁工房の器 03

シンプルな技法ですが、表現の幅が広く線の太さや数で様々な表情を見せます。均整がとられつつも温かみのある線が白磁の肌合いを美しく引き立てます。

白磁工房の器 04
力強さと繊細さを兼ね備える白磁工房の器

手に持つと思ったよりも軽く、使う人への思いやりを感じます。

白磁工房の器 05

白磁工房の器 06

白磁工房の石飛勝久氏と勲氏
石飛勝久さん(左)と勲さん(右)

白磁工房

〒690-2634 島根県雲南市三刀屋町乙加宮1207-1 [MAP]

TEL:0854-45-4514

【営業時間】9:00~17:00

【定休日】不定休

【関連リンク】≫ 詳細情報(うんなん旅ネット)

民藝で生活を清らかに彩る「出西窯」

出西焼 出西窯の工房 外観

ヤマタノオロチ伝説を持つ斐伊川のほとりにある出西窯は、広大な緑の田園風景の中に、ひょっこり現れる赤い屋根が印象的です。戦後間もない昭和22年に、5人の若者によって発足した窯元で、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチなど民藝運動のメンバーより指導を受けてきました。

出西焼 出西窯の工房 01

現在は10名ほどの陶工が働いており、訪れた人は自由に工房を見学することができます。

出西焼 出西窯の工房 02

出西焼 出西窯の登り窯

工房の奥には大きな登り窯があり、年に3、4回、薪を投げ入れて火を燃やす窯焚きが行われています。

出西焼 出西窯のギャラリーショップ 内観

工房の隣には、窓からの風景も気持ち良いギャラリーショップがあり、広い店内でゆっくり器を選ぶことができます。

出西焼 出西窯の器 01

出西窯の器はすっきりとシンプルでモダンなものが多く、和洋どちらの料理にも合わせやすい器です。

出西焼 出西窯の器 02

北欧的な雰囲気もあり、並べるだけでテーブルが自然と美しくキマってしまう出西マジック。これから新生活を始める人や、手仕事の器に慣れていない初心者にもおすすめです。

出西焼 出西窯の器 03

出西焼 出西窯の器 04

出西焼 出西窯のギャラリーショップ 外観

ここでさらに楽しみなのが、2018年5月25日に鳥取のパン屋さん・ル コションドールとコラボしたベーカリー&カフェ「ル コションドール出西」がオープン。出西窯の器を使って様々なカフェメニューが楽しめるそうです。

出西窯とル コションドールのベーカリーカフェ

出西窯

〒699-0612 島根県出雲市斐川町出西3368 [MAP]

<展示販売所 くらしの陶・無自性館>

TEL:0853-72-0239

【営業時間】9:30~18:00

【定休日】毎週火曜日(祝日は開館)、元日

【関連リンク】≫ 公式ホームページ ≫ 詳細情報(出雲観光ガイド)


島根で作られる民藝の器は、どれも現代のテーブルに合わせやすく日常使いしやすいことが特徴です。それぞれ作風が違って個性もあるので、料理とのコーディネートが楽しくなります。

窯元を訪ねると、制作の現場を覗いたり、作り手と直接話したりして、ものづくりの背景に想いを寄せることが楽しく、知識も深まります。島根には、今回紹介した以外にも多くの窯元がありますので、ぜひ現地を訪ねてみてください。


この記事の前編はこちらから
窯元巡りで見つける島根の焼き物の魅力 前編

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文:江澤香織 プロフィール
[プロフィール]クラフト・フード・トラベルライター。旅先での街歩き、酒場巡り、土産・珍スポット探しがライフワーク。著書「山陰旅行 クラフト+食めぐり」「酔い子の旅のしおり」(マイナビ)、「青森・函館めぐり」(ダイヤモンド社)等。