神々の集う聖地。特別な“気配”感じる「出雲大社」
出雲大社、私は朝の時間がオススメです。
静かな時間の参拝はもちろん人も少なくて、日常の喧騒を忘れ自分を見つめ直すことが出来る大切な時間となります。
社殿の背後にある八雲山から立ち上る雲、朝露に濡れた参道、荘厳な雰囲気をたたえる鳥居、木々の間から差し込む朝の光。神の領域からかもし出される雰囲気に圧倒されます。
松の参道もとても美しい景色です。
江戸時代に植えられたものもあり、推定樹齢350~400年。
大地のエネルギーを感じる松並木です。
心を鎮めて手を合わせ、大切な人たちの健康を祈ります。
最近は世の中が騒がしく心落ち着けない日々なので、静かに祈る時間もとても良いものです。
本殿裏のうさぎの像。最近になってまたその数が増えたみたい。
愛らしく微笑ましい姿を見せてくれます。
出雲神話ではうさぎは神様であり、「因幡の白兎」伝説などで出雲とは深い関わりがあります。
敷地が広い出雲大社ですから、拝殿や本殿、神楽殿などを見て、疲れて帰ってしまうという方もいるかもしれません。また、出雲大社の厳かな雰囲気や神社の作法が気になって少し緊張する…というような方もいるでしょう。
しかし出雲大社は緑や水辺も多く、安らげる場所でもあります。心を開放して自由に境内巡りを楽しんでみるのもひとつのお参りの形です。
滞在時間を少し長めにとって、自分だけの出雲大社を写真に収めたりするのも、楽しい過ごし方かもしれません。
しまね観光ナビ「出雲大社」
https://www.kankou-shimane.com/destination/20240
稲佐の浜の目の前にオープン!出雲甘酒ドリンクの「神TERASU」
稲佐の浜向かいに新しいお店が出来たと聞いて、さっそく調査に向かいます。
出雲産の素材をぎゅっと集めた甘酒ドリンクがあるのだそう。
出雲大社からは車で数分という場所。歩いても20分ほどの、稲佐の浜の弁天島がすぐ真正面と言うロケーション。最近稲佐の浜は本当に観光客が増えました。
甘酒に使用するお米は、出雲市平田町で栽培された「神迎米」。製塩する際に出るにがりを使った栽培方法で作られたお米です。
製塩される塩は「出雲かみしお」という名前で商品化されており、このお店で提供されるコーヒーにもほんのひとつまみの塩を加えています。そうすることで、まろやかな口当たりになると評判なのだとか。
つまりこの甘酒は「塩作り」、「米作り」という、地元のこだわった原材料から生まれたドリンクなのです。主原料生産も一貫して管理された逸品甘酒です。
近年の発酵食品ブームにより、さまざまな甘酒が発売される中、こちらで提供されるのは粒感がまったくないタイプの甘酒です。甘酒の甘さや香りといった素材感ははっきり存在しているのにサラリとした飲み口で、ごくごく飲めてしまいます。
甘酒は、古くは江戸時代から夏バテ防止などの「栄養ドリンク」として飲まれてきました。糀は発酵する際、お米を分解してブドウ糖やアミノ酸を作り出します。すでに消化吸収しやすい状態になった成分は胃腸に優しく、疲れたからだと頭を癒してくれます。また、甘酒に含まれる乳酸菌が腸の働きを整え、飲むことでからだ全体の調子を上向きにしてくれます。
疲労を解消、肌にも栄養を補給してくれる一杯の甘酒は、美肌パワーの源です。
素材から丁寧に作られ、さらにフレーバーや炭酸を加えるといった美味しさの工夫もされていて、甘酒の新たな美味しさを発見できました。
店内も明るくヘルシーで、清潔感あふれる空間です。稲佐の浜が見えるカウンターやテラスもありますよ。
神TERASU(出雲かみしお)公式サイト
※2021年8月29(日)~当面の間営業を見合わせ
http://tsuchie-jyuki.ne.jp/kami-shio/
進化する街・雲州平田。続々と新しいお店がオープンする「平田木綿街道」
出雲市平田地区は、人気観光スポットである松江城と出雲大社の中間地にあります。
平田木綿街道は、出雲縁結び空港から車で15分程度とアクセスの良い観光地です。また平田木綿街道の最寄り駅である一畑電車の雲州平田駅は、途中下車が可能な珍しい駅でもあります。
雲州平田は江戸末期に木綿の集散地として栄えました。平田船川や宍道湖を利用した水運で、平田の川港には様々な物資が流通し、大阪に向けて、出雲平野で育った良質な綿花が運ばれました。
商業都市として発展した平田。特に平田船川沿いの区域には、大きな商家や家々が立ち並びました。
今でも格子戸や白壁の蔵、なまこ壁など、江戸時代の風情を感じる建屋を通りに見ることができます。
最初に立ち寄ったのは「來間屋生姜糖本舗」。
300年の歴史を持つ生姜糖専門店です。パッケージもそのままで、レトロな包装が人気です。
同市内の出西地区で育てられている「出西生姜」のしぼり汁を使い、昔の製法とレシピを忠実に守って作られる、出雲の名品です。砂糖が希少な時代から、地元にあるものを活用する形で考案され作られた嗜好品。
当時は大変貴重で喜ばれるお菓子であったと思います。
砂糖のまろやかなくちどけと後から来る生姜の風味。ほのかな刺激と爽やかな香りが広がります。
板状のタイプと個包装タイプがあります。
生姜は、古来より冷えの改善や、血流を良くするなどとして美活を気にする女性たちにも人気の食材です。
店主の來間さんに聞いたオススメの生姜糖の楽しみ方は、コーヒーやホットミルクに入れること。生姜摂取を毎日続けられそうな良いアイデアをいただきました。
歴史と経験を経て木綿街道を見つめてきたお店は、円熟の域に達した風格があります。
島根県内、特に東部地域ではあちこちで手に入れられる商品ではあるのですが、やっぱり本店に立ち寄って見て良かった!300年続く老舗の貫禄、ぜひ体験してみて欲しいです。
次に立ち寄ったのは「NIPPONIA 出雲平田 木綿街道」。
元酒蔵であった場所がリノベーションされ、宿が完成しました。
造り酒屋として大きな敷地面積を誇った旧石橋酒造が、宿泊施設として生まれ変わったのは2019年末のこと。
全6室の宿で、それぞれの部屋に酒蔵であった名残を残す「杜氏」や「蔵元」などの名前、演出が施されています。また当時の部材も残し、古民家の古き良き設えを感じさせます。
入口では大きな樽がお出迎え。開放的なキッチンも期待感募らせます。
同じく旧石橋酒造敷地内、蔵の部分を改装しオープンした「文吉たまき」。
かつて平田地区の製麺所で作られていたという手延べうどんを復刻させ「文吉うどん」として製品化。店内では、様々な趣向を凝らしたメニューが楽しめます。
なめらかな麺は平打ちで弾力があります。
「バジル香るジェノベーゼ」は、フェットチーネのような洋風アレンジでした。
クリーミーなソースがうどん全体に絡まり、美味しく食べやすいメニューでした。
酒蔵時代の面影を一部に利用した店内は、木の温かみある雰囲気でナチュラルな空間です。
こちらも平田木綿街道で人気の飲食店。オープンして2年と少しという「トラットリア814」。
シェフは鳥取県出身の前道さん。
日本全国でイタリアンを学び、平田木綿街道の今の場所と出会いました。
“作っていく場所”でありかつ“これからの場所”であるところに魅力を感じ、今の自分の居場所を平田に見つけたのだそう。
店内はスワッグやドライフラワーで埋め尽くされたフォトジェニックな雰囲気。
ランチは自家製パンやデザートが付くコース。
オイルベースの具沢山なパスタ、美味しかったです。
食事だけでなく、スイーツもぜひ楽しんでもらいたいもののひとつ。
持田醤油店のソフトクリームは大きくて食べ応えも十分!
醤油の風味がミルクと合わさると、コクのあるキャラメルのような風味に感じるから不思議です。
醤油の大豆発酵由来の香りもしっかり生きた、濃厚なソフトクリームです。
街道の連続性だけでなく、長い時間を過ごせる滞在型施設までもが完成し、生まれ変わった平田木綿街道。
“新しい”というのはそれだけでトピックで魅力的に映りますが、実はこの木綿街道を支えているのはそれまでの長年にわたる街の保存活動や、地元愛が深い人たちの努力があったからこそ。
古さと新しさを両方兼ね備えた雲州平田は、ますます人を惹きつける街になっていくでしょう。
しまね観光ナビ「木綿街道」
https://www.kankou-shimane.com/destination/20578
日本三美人の湯 湯の川温泉、緑に包まれた静寂の時間「湯宿・草菴」
出雲縁結び空港からも10分前後で到着する、空港から最も近い温泉地、湯の川温泉。
川中温泉(群馬)、龍神温泉(和歌山)と並び、日本三美人の湯と呼ばれます。
この地に2004年にオープンした「湯宿 草菴」。お部屋は全17室。大小様々なタイプがありますが、どの部屋も静かに時を過ごせる大人の宿とのこと。
期待膨らむ美人温泉での宿泊。
早速門をくぐり一歩中へ入るとそこに広がるのは奥まで続く緑のアーチ。
小径を抜け、フロントへ進みます。
フロントやレストランが入る棟は、岐阜県高山からの古民家移築。
しっかりとした梁や柱、ベンガラの赤色が艶っぽいです。
宿泊棟も雲南市三刀屋の築120年の古民家移築。
源泉かけ流しの温泉付きのお部屋です。
大きさ十分のお風呂は加温、加水、循環もない正真正銘の源泉掛け流しです。
ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉で程よくメタケイ酸を含み、体の芯から温まりポカポカが続きます。
足を伸ばしてもまだ広い。大きさが写真で伝わるでしょうか。
泉質はぬるぬる温泉なので美肌にはぴったり。次の日は肌つるつる。
アメニティにはフェイスマスクもある心遣いです。
お料理も大変丁寧なものでした。
新鮮なお野菜を始め、お肉や魚などなど、タンパク質や食物繊維も多く、食材豊富でバランスよい内容です。
色んなものを少しずつ。飽きもこずバリエーションがあり、楽しく食べ進められます。
やさしい味と丁寧な盛り付けで女性ウケが良さそう。
多すぎても少なすぎてもダメな量も、ちょうど良かったです。
お部屋の“気”が良く、とにかく落ち着ける部屋でした。
食事を終えてからも部屋でゆっくり。ヨーロッパ・アンティークをミックスした和洋が融合した内装です。
去りがたい気持ちで宿を後にする朝。
最後も緑がお見送りしてくれます。よく手入れされた雑木林が朝の空気をより一層清々しいものにしてくれました。
しまね観光ナビ「湯宿 草菴」
https://www.kankou-shimane.com/destination/20941
文:西村 愛
監修:島根県立大学 看護栄養学部 今中美栄 教授