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出雲国風土記

島根県が誇る古文献の筆頭は『出雲国風土記』である。和銅6年(713)の詔(みことのり)によって諸国から風土記が撰進された。出雲国は天平5年(733)に差しだしたが、その全文が1250年余を経た現在も唯一の完本風土記として残っているのである。従って、『出雲国風土記』は、日本に残る最古の地誌書。内容は出雲国の地勢、広さ、地名の由来をはじめ、行政上の区画、郡郷里の状況、駅家(うまや)の配置、各地の伝説、社寺名、山野河海の形勢、道路橋梁の整備、港の収容力、動植物の分布、正倉(しょうそう)の配置、郡家(ぐうけ)から各地への里程(りてい)、道度(みちのり)、軍団、烽(とぶひ)、戍(まもり)の所在などを記している。
『出雲国風土記』は、古代の出雲の状況を詳細に記述した地誌書であるというだけでなく、その表現の文学的香りの高さはすばらしいものがある。とくに「国引き」の章は、ロマン溢(あふ)れる雄大な序章で、古代人のおおらかな発想を描いて読みあきることがない。このほかにも「毘売崎(ひめさき)伝承」、「加賀神埼(かかのかむさき)伝承」など豊かな表現力によって出雲国の神話伝承が綴られている。これら神話は、『古事記』、『日本書紀』に伝えられる出雲神話とは異なった内容で、この点が『出雲国風土記』の独自な編纂記述とされ、最大の特色であり、古代出雲の姿をさぐるに大きな意味を持っている。
出雲国は神話の国といわれる。むしろ古代が今に生きている土地というべきなのだろう。風土記に記された社、山野、地名、土地がそのまま残っている。さらに、「琴引(ことびき)山の石神」、「宍道郷(ししぢのさと)の猪石(ししいし)・犬石(いぬいし)」など風土記記述のままの姿で今も存在しているのは感動的である。

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