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茶の湯だけじゃない。
使うほどに深まる萩焼の魅力。

「一楽、二萩、三唐津」と呼ばれ、日本を代表する茶の湯の茶碗として知られる萩焼。開窯約400年の歴史を持ち、格式の高いイメージがありますが、近年は茶の湯だけでなく、日常の器からアート作品まで、広く作られています。萩焼は3つの土の配合で生まれ、ぬくもりを感じる質感と「萩の七変化」と呼ばれる経年変化が魅力。そんな萩焼にふれて、使って、購入できる、長門湯本温泉街の「cafe & pottery 音」へ、はじめてのマイ・萩焼を探しに行きました。

長門湯本温泉街の中心を流れる清流・音信川沿いにある「cafe & pottery 音」に入ると、ギャラリーのような空間が広がります。自然に差し込む光と、最小限の照明だけが灯された店内には、地元の萩焼・深川窯を中心に、美しい佇まいの器がずらり。まるでスポットライトに照らし出された「器たちの舞台」のようで、じっと見入ってしまいます。

テラス席のすぐ下には音信川が流れる。情緒ある温泉街を眺めて一休み。

そっと飾られた季節の山野草が、この地の土から生まれた器とマッチ。

さりげないディスプレイがなんともあたたかく美しい。

地元の素材を活かしたドリンクや自家製スイーツを、萩焼の器で楽しめるのがこのお店の一番の魅力。実際使ってみると、自分好みの大きさ、質感、デザインなどが良く分かります。また、ここでは作法にとらわれず抹茶をいただけるのもポイント。じっくりと茶碗を観察したり、お盆ごとテラスに出て野点気分を味わったりと、かしこまったお茶席とは違った抹茶の楽しみ方ができます。

カウンターの奥にも器がずらり。使ってみたい器で飲み物や食べ物をいただくこともできる。店主の横山さんから萩焼のお話を聞けるのも楽しい。
萩焼の茶碗で抹茶をいただく。緑色をやさしく包むような楚々とした佇まい。

萩焼ならではの釉薬のひび割れ「貫入」が美しい。使うほどに風合いが変わり、経年変化も楽しめる。

和のイメージが強い萩焼だけど、実は洋菓子にもぴったり。自家製のケーキと、地元の農園でとれたベリーのジュース。

お店の一角にある、小さな白い空間。どこか北欧のような雰囲気を感じるスペースには、抹茶セットについていたメレンゲのお菓子や、さかなの形のショートブレットなどが並びます。ここは新鮮な季節の魚をはさんだパニーニ(イタリアのホットサンド)と天然酵母の焼き菓子をつくる「AINONE」さんのスペースになっていて、体にやさしく、味も、見た目もGOODなお菓子に出会えます。お土産にも喜ばれること間違いなし。

ここも最小限の照明のみ。光に包まれる、やさしい白い空間。

大きな窓の外には音信川。せせらぎが聞こえる。

この日のクラッカーの素材は地元でとれた「イカ」。おつまみにもなるお菓子はやさしい味。

使って気づく萩焼の魅力。やはり器は、何かを盛った時が一番輝くように感じます。「おひたしもいいけど、チーズも似合いそう」など、盛り付ける料理のイメージも広がり、店主の横山さんに相談しながら吟味してお気に入りを購入。初の萩焼は大満足のセレクトになりました。

展示内容は時期によって変更されるため、器との出会いも一期一会。
器だけでなく長門でとれた蜂蜜も販売。ついつい買いたくなるパッケージ。

INFORMATION

cafe&pottery 音

〒759-4103 山口県長門市深川湯本1261−12
0837-25-4004
https://www.instagram.com/oto_cafe/

Photo / Taku Fukumori
Text / Nozomi Inoue

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