EDITOR'S PICKS 編集部のおすすめ

二晩、三晩と滞在するなら、一晩は「外食しない夜」を選んでみるのもアリです。浜田港で獲れたての魚を仕入れて、地元のスーパーで醤油や地ビールを買い込み、宿のキッチンで自分たちだけの食卓を作る。お店の予約時間も、他のお客さんの目も気にしない。ただ「浜田の日常」を体験するような、自由な夜の過ごし方です。
はまだお魚市場で、今夜の主役を選ぶ
浜田港のすぐそばにある「はまだお魚市場」へ。仲買棟と、お土産コーナー、2階にはフードコートがあります。
仲買棟に一歩入ると、氷が敷き詰められたケースに並ぶ魚たちに圧倒されます。そこには地元の人たちがふだんの買い物を楽しむ、活気ある光景が広がっていました。


「浜田には『どんちっち』というブランド魚があって、例えばアジ(どんちっちアジ)は、5月~6月の旬の時期に、一匹ずつ脂質を測定して、基準をクリアしたものだけがそう名乗れる。だから、間違いなく美味いですよ」とお店の方。
そして浜田といえば、やはりノドグロ。「ノドグロは大きいほど脂が乗って価値が上がる。1センチ、数グラムの差で値段がガラッと変わる、真剣勝負の世界です」。
この日は、アジ、テナシイカ、そしてノドグロを選びました。刺身まで仕上げたい場合は、2階の「海音(みね)」で依頼できます。プロの手さばきで、ノドグロは皮目を炙りに。アジやイカも手際よく切り分けられます。あとは宿に持ち帰るだけ。


INFORMATION
はまだお魚市場
住所:島根県浜田市原井町3050-46
HP:https://hamadaosakana.com/
2階フードコート・海音(みね)にて、仲買棟で購入した魚のさばきや調理も可能
(平日10時~13時、土日祝8時半~10時・一匹500円~要相談/魚種や調理内容により変動)
※価格は取材時のものです。
ローカルスーパー「キヌヤ」で魚に合わせる酒とつまみを探す
お魚市場を後にして、車で数分。地元の方におすすめされた、地域密着のスーパー「キヌヤプリル店」へ。明るく整った店内に入ると、商品がきれいに並び、魚売り場には「浜田港直送」の旗が掲げられています。

ここでは、市場で調達した魚に合う品を探します。棚を覗くと、観光客向けの店では出会えない、地元ならではの食文化が詰まっています。地元の味をカゴに入れていくワクワク感は格別。
さらに、お酒の売り場には、地酒が豊富に揃っています。せっかくなら、浜田のものを。日本酒「環日本海」と、クラフトビール「穂波」を選びました。

INFORMATION
キヌヤ プリル店
住所:島根県浜田市黒川町137-1
営業時間:9:00 – 21:00
※価格は取材時のものです。
宿で味わう、自分たちだけの特別な宴
本日の宿は、港のそばに佇む「KURASU BASE 瀬戸ヶ島」。清潔感あふれる一棟貸しの宿で、キッチン。コンロ、冷蔵庫、調理器具、食器まで揃っています。

誰かが盛り付けをして、他の誰かがお酒を用意する。そんなふうに、みんなで夕食を作れる場所です。
さっそく、買ってきたものをテーブルに広げます。お店のコース料理みたいに完璧じゃないけれど、自分たちで歩き、市場の人と話し、選び抜いたものばかり。赤てんとふぐのみりん干しを、フライパンで軽く炙って、器に盛り付けていきます。

気の置けない仲間と、浜田の夜が始まります。穂波ゴールデンは軽やかで、最初の一杯にちょうどいいやさしい味わい。
そして、ノドグロの刺身。炙ってもらった皮目から脂が広がり、口に入れた瞬間、思わず声が出ました。甘く、脂がたっぷり乗っていて、これだけでお酒が進みます。「今まで食べてきた刺身は何だったのか」と思うほどの衝撃でした。
さっぱりとしたアジと甘みのあるテナシイカは刺身で。キヌヤオリジナルの「まろあま醤油」がよく合います。



外食が続くと、意外と疲れてしまうこともあります。でも、ここでは予約時間も、他のお客さんの目も気にしなくていい。美味しいものを並べ、お酒を注ぎ、時間を忘れて笑い合う。少し疲れたら、そのままソファで休んでもいい。
シンプルなのに、十分すぎるほど満たされる。浜田の夜は、こういう過ごし方もできます。
Photography / Teppei Sasaki
Text / Saori Kano

















