羽田空港から90分で行ける萩・石見地域は、雄大な自然と青く澄んだ海が楽しめる、アウトドアの穴場。今回は海とアウトドアを愛する春日潤也さんと、サーフィンや海鮮で有名な海辺のエリア「浜田市」を旅します。
「浜田市は子どもの頃、遠足で来た思い出がありますね」

そう語るのは、東京と島根を行き来しながらモデル・俳優として活動する春日潤也さん。
釣り、サーフィン、スケートボード、ヨガ、バイクなど多趣味で、遊びと暮らしが一体になったライフスタイルを実践。地元出雲の大社町では仲間と共にアウトドアブランドやショップ、レストラン、ブルワリーなどの運営も行っています。

春日潤也
1982年生まれ、島根県出雲市出身。モデル・俳優として活動する傍ら、出雲と東京を行き来し自然と都市の良きところをミックスする生活を実践。出雲では複合型ライフスタイルショップ「B.S.K.K」を仲間とともに運営。2児の父。
10:10 空港から海沿いドライブ

朝の便で羽田空港を飛びたてば、午前中に萩・石見空港に着陸。空港で車を借りて、浜田市に向け約1時間のドライブ。窓からは「赤瓦」と呼ばれる石州瓦の家並みと、「山陰ブルー」と呼ばれる青く光る日本海が見えてきます。この赤瓦と青い海のコントラストこそ、“石見の色”。
「海岸線の風景も出雲と違いますね」と、新鮮な石見の風景を眺める春日さん。国道から脇道へ入れば、白砂のビーチや静かな漁村、ローカル線の無人駅など、郷愁を誘う風景が。

島根県西部の石見地域は、過度な開発が及ばず観光地化されていない場所が多いのが特徴。暮らしの風景の中に、ビーチや絶景、温泉地、古民家カフェや文化施設など見どころが点在。そのためアクセスが不便な場所もあるのですが、その分、移動の道中に見どころが多いということ。時間が許せば、寄り道しながら車を走らせるのも石見旅のおすすめの楽しみ方。さて、目的地「浜田」に着く頃にはちょうどランチ時です。
11:30 素潜り漁師が営む、モダンな鉄板焼きへ

浜田駅前から少し離れた場所に、黒い瓦屋根のモダンな建物が。こちらが予約制の一軒家レストラン「鉄板焼き 鹿鳴(ろくめい)」です。シェフを務めるのは現役の素潜り漁師・杉本英優さん。妻・梨香さんとともに2024年にこちらをオープン。自ら獲った地元の魚介を自ら調理する、“地産地消の究極”といえるスタイルが特徴です。

「浜田はとにかく魚が美味しくて、食材が豊富です。ほとんど半径数キロで獲れたもので料理しています」と語るシェフの英優さん。関西出身で、東京・名古屋の鉄板焼き店で15年修行を積み、さらに2年間、浜田で漁師を経験しました。浜田に店を構えた理由は、にぎやかな漁港と美味しい海鮮があること。野菜や肉など、山の素材の上質さも大きなポイントだったといいます。
「ゆっくり食事を楽しんでほしいので、椅子の座り心地にこだわっているんです」と梨香さん。聞けばインテリアや内装は石見の職人にオーダーしたもので、世界的に評価を高める浜田の「吉原木工所」の組子細工や、このマガジンでも取材した「hirven woodworks」、「亀谷窯業」といった石見の名工たちの仕事が、店内をいろどっています。

今日は魚メインに焼いてもらいましたが、通常のディナーコースには、奥出雲・熟豊ファームの「サステナブル和牛”熟”」など、多彩な地元食材が続きます。さらに、秋冬は高級魚のどぐろやカレイが、夏に向けてはアワビやサザエが旬を迎えます。シェフと好みを相談しながら次の来店予約をしていくのもおすすめです。
「漁港のすぐそばで、海からあがったばかりの魚を、すぐ焼いて食べられる。東京でこの新鮮な魚介は難しいですよね」と春日さん。「今度は家族で来たいな。子どもたちを連れて再訪する楽しみができました」

鉄板焼き 鹿鳴
島根県浜田市内田町435-2
https://rokumei-hamada.com
ランチ・ディナーともに一日2組までの完全予約制。平日ランチコース6,380円〜、ディナーの人気は鹿鳴コース11,000円。予約はHPまたはSNSから。貸切も可。
13:00 石見の絶景を海から探検
続いて訪れたのは、浜田唯一のサーフショップ「レボリューション サーファーズベース」です。

インストラクターによる体験レッスンがあり、ボードもウェットスーツもレンタル可能。レンタルできるので、道具の心配はナシ。初心者も安心してマリンスポーツが楽しめます。
「浜田は、サーフィン全日本選手権大会の会場になったこともある、いいスポットなんですよ」と、店主の渡邉さん。本格的に攻めたい上級者には渡邉さんが穴場を案内してくれますし、初心者でも楽しみやすい遠浅のビーチもあるので安心。

この日は波が出ていなかったこともあって、パドルで漕ぐSUPをチョイス。春日さんは慣れたもので、岩の隙間へとすいすいと進んでいきます。


白砂のビーチ、岩場、奇岩の風景、海の洞窟、1600万年前の地層が露出した岩肌など、見どころが続きます。「夢中で漕いでいたら、あっという間でした」と春日さん。
「SUPは雨でも関係なく遊べますし、サーフィンは風や波があるほど楽しめます。旅は天候が心配になりますけど、曇りのしっとりした風景や、雨の日のアクティビティにもまた別の良さがあるんですよね。コントロールできない自然に身を委ねる旅も、アウトドアらしい楽しみ方だと思います」
ちなみにSUPはインストラクターと2人乗りもでき、ライフジャケットの用意もあるので、泳ぎが不安な人も安心。初めての人から上級者のサーフトリップまで、レベルや希望に応じて場所やプランを考えてくれるので、丸ごと頼ってOKです。

レボリューションサーファーズベース
島根県浜田市下府町899−1
https://www.instagram.com/revolutionsurfersbase/
体験レッスンは7,700円〜。ボードやウエットスーツのレンタル、水着などの販売もあり。申込はInstagramのDMから。
16:00 石見畳ヶ浦の奇岩を歩く
SUPで巡った海岸線へ陸側からアクセス。全長約170メートルのトンネルを抜けると海食地形のダイナミックな風景が現れます。

数百万年の海の侵食により生まれたユニークな景観は、地質学的にも貴重で、天然記念物に指定されています。ヤドカリや小魚やカニたちがいて、岩の中を見ると貝の化石が埋まっていたり。天候や潮の満ち引きによっては、水面が鏡のように空を映す幻想的な光景が見られることも。

石見畳ヶ浦
島根県浜田市国分町
1600万年前の海底が地上で観察できる珍しい景勝地。近くの有料駐車場に車を停めて、トンネル内を歩いてアクセスできる。
17:00 千畳ビーチで、軽くひと釣り
サーフポイントとしても有名な浜田の「千畳ビーチ」は、有名な夕日スポット。夕景を待ちつつ海辺を散歩していると、「せっかくなので」と、自前の釣竿を取り出す春日さん。「別に釣れなくてもいいんですよ。ぼおっと海を眺める時間が好きなんです」


18:00グランピングで夕日を眺める
宿泊は、千畳ビーチ目の前のグランピング施設「島根シーサイドグランピング浜田 千畳苑」へ。焚き火とバーベキューもでき、薪や食材も現地で用意してくれるので、 “ほぼ手ぶら”でOK。ホテルの快適なサービスと、グランピングのアウトドア感をいいとこ取りした宿です。

「グランピングって簡易的なシャワーのことが多いですけど、ここはホテルの大浴場に入れるのがうれしいですね。ビールやワインもホテルで買えるので便利です」
海目の前のグランピングドームからは、日本海の夕日を眺められます。水平線に沈む太陽は、西向きの日本海の特権。焚き火をしたり、ビールを飲んだり、関東より日の長い山陰のサンセットを満喫。


「静かな海があって、人も少なくておだやかで、最高の環境ですね。Wi-Fiも通じますが、あえてスマホやPCと距離を置いて過ごすのもいいと思います。デジタルデトックスして、自然のそばで過ごす静かな時間に、何か決心がついたり、新しいアイデアを思いつくことって多いですよね」

島根シーサイドグランピング浜田(国民宿舎 千畳苑)
島根県浜田市下府町2164-85
https://senjoen.net/glamping.html
ドーム1棟に最大6名まで宿泊可能。ファミリーやグループ旅行にも人気。冷暖房エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、ドライヤーなど完備。
「アウトドアって荷物を積み込んで車で行くことが多いですけど、今回の旅ならカバン1個で気軽に来られますね。宿だけ予約しておいて、あとは現地で考えるくらいでもアリ。浜田は人もおおらかで自然も楽しいし、気分に任せた気楽な旅が楽しめる場所だと思いました」

今日紹介したスポットは、どこも天候に関わらず楽しみやすいスポットです。夏の海はもちろんですが、冬には透明度も高くなり、脂がのった海鮮がとれ、波の安定した中でのサーフィンも楽しめます。季節や天候の変化を楽しみながら、ときどきの美しさを見つけにいく。そんなおおらかな旅は、きっと忘れられない思い出になるはずです。
春日さんの選んだ石見みやげ

赤てんせんべい
島根県民なら誰もが知る、浜田名産「赤てん」が、せんべいに。春日さんは「帰りのつまみにします」と購入。味はしっかりピリ辛です。
Photography Yuichiro Iwatani
Edit&Text Masaya Yamawaka






















