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高山都さん・安井達郎さんの萩・石見旅
「萩の器と食」後編

モデル 高山都 / 安井達郎

安井達郎さん・高山都さんの萩の旅の後編です。(萩焼の歴史と今に触れた前編はこちら

高山都
1982年生まれ。モデル、俳優、ラジオパーソナリティなど幅広く活動。料理やうつわなど、日々の暮らしを発信するInstagramも支持を集める。趣味は料理とマラソン。著書に『高山都の美食姿』シリーズ(双葉社)など。

安井達郎
1988年生まれ。モデルとしてCMや広告、雑誌などで活躍。映像作家としてnever young beach、indigo la EndなどのMV監督を務める。近年はYouTubeでのVlog発信に加え、写真家としても活動中。

「長州堂」で掘り出し物を発見

風情ある萩の街を歩いていると、なにやら気になるお店を発見。店先の棚に、素敵な焼き物が並んでいます。ということで、早速中へ入ってみましょう。

風情ある町屋にのれん。この店構え、道具好き、器好きなら誘われます。

こちらの長州堂は、古美術・骨董品を扱うセレクトショップ。骨董の萩焼をはじめ、漆器など生活の器、郷土玩具やインテリアまでさまざまなアイテムがところせましと並びます。

店内はこちら。扱うものは、主に地域の家庭で使われていた道具や家具。眺めているだけで土地の生活や歴史が感じられて楽しい。

民藝好きの都さんとしても、気になるものがたくさん。「訪ねたことのある、長門の窯元の器があって、ちょっと嬉しくなりました」(都さん)

器の由来を尋ねる都さん。
骨董品の萩焼の抹茶茶碗たち。

前編で訪ねた「坂高麗左衛門窯」の作品も発見。

「お正月をイメージして縁起のいい器を選びました。これはお雑煮を盛るとかわいいだろうな、とか想像しながら。器は、旅の記憶を食卓に運んでくれますし、旅先での器との出会いは特別です」(都さん)

都さんが購入した器たち。輪島塗の椀は希少な青漆。ふくら雀とうさぎの絵柄の伊万里、高級木材である黒柿の茶卓などを購入。

都さんがお買い物中、達郎さんは店の外で何やら見つけた様子。「都さん、ねりものが大好きなんですよ」と、達郎さん。

注文してからその場で揚げてくれるのが嬉しい。

美味しそうな匂いにさそわれて、長州堂のお隣のお店へ。こちらは老舗蒲鉾店が、蒲鉾の魅力を伝えるために始めたという、ビールスタンド「萩城下町ビール MURATA」(お店の詳細はこちらの記事で

買い物を終えた都さんも合流。そしてクラフトビール発見。
ということでビール&おつまみタイム。「すごく美味しいです、みなさん食べてください!」と、スタッフ分まで購入してくれたふたりの優しさ……!

築200年の住宅建築で、萩の今をいただく

続いて訪れたのは、古い建物が残る浜崎地区。石畳の路地を抜けると現れるのが、「舸子(かこ)176」。

築200年の町家「旧藤井家住宅」を丹念に再生し2022年にオープン。レストラン、茶寮、ギャラリーが同居する、複合施設です。

 伝統的な格子戸や、広い縁側、中庭など町屋の意匠を活かしながら、モダンで開放的な空間にリニューアル。ありし日の町屋の暮らしを想像させる空間に。

施設名の「舸子」とは「船乗り・船頭」の意味。浜崎の港町としての記憶が込められています。ちなみに数字の「176」は番地が由来。
店内に飾られた岩と植物を組み合わせた作品。中庭を手がけたボタニカルアレンジメンツ《TSUBAKI》の作。

レストラン「六気(りっき)」でランチをいただきます。地場の旬の食材を使ったフレンチのコースが自慢。1品ずつ食材や器のこだわりを聞きながら、萩に伝わる食文化を体験できます。

 「使われている器も、萩にゆかりある作家さんのものが多いんですね。馬渡新平さんの器は、わたしたちも自宅で愛用しているんですが、ここでも出会えて嬉しいです」(都さん)

コシナガマグロに高菜と生姜をあわせて。マグロは地もの。器は山口県の作家・舛井岳二さんのもの。

魚出汁のスープには、甘鯛、ヒラマサ、金太郎(ヒメジ)など地物の魚をふんだんに使用。器は鎌倉で活動する豊田麗さんのもの。

鱧を白菜でくるんだロール白菜。上に載せているのは萩産の釜揚げしらす。器は山口県で作陶する、韓国出身の作家・崔在皓(チェ・ジェホ)さんのもの。

山口県のブランド鶏「長州鶏」を、赤ワインとカシスのソースで。萩・石見空港の養蜂をイメージして蜂をあしらいました、とシェフ。器は萩で修行を積み北海道で活動する馬渡新平さんのもの。

「シブースト」というフランス伝統菓子をアレンジしたスイーツ。キャラメリゼした生地にりんご、ピーカンナッツや、アニスなどのスパイスをあわせて。器はスープと同じ豊田麗さん。

玉ねぎチップスは、今日のためにシェフが作ってくれた特別なウェルカムプレート。萩・石見空港をイメージした紙飛行機型。おもてなしのサプライズに感動。

食後は、同じ建物にある茶寮「百茶一芯(ひゃくちゃいっしん)」 でひとやすみ。選び抜かれた日本茶、中国茶、台湾茶などが楽しめます。

お茶とともにぜひ味わいたいのが自家製のスイーツ。和菓子は、専属の和菓子職人による手作り。さらにはレストラン「六気」のシェフお手製のカヌレも。両方ともいただくしかないでしょう。

都さんが選んだお茶は、台湾の高級烏龍茶の一種「東方美人茶」。お湯を注ぐと、華やかで甘い香りが一気に立ち上ります。二煎目からは自分でお湯を注いでいただきます。一煎目、二煎目と、お湯を注ぐたびに変化する風味も魅力です。

「小さい器って可愛いですよね。ちゃんと小さなお盆があるのもいい。お盆が好きなんです」(都さん)

達郎さんは島根県吉賀町産のまめ番茶を。無農薬・無肥料の茶葉に、津和野の名産でもあるマメ科の植物・カワラケツメイをブレンド。季節の生菓子とあわせて。

続いて向かったのが、庭の奥にあるアートギャラリー「舸子の蔵」。蔵をリノベーションしたこちらでは、器や暮らしの道具などが並びます。レストランや店内のディスプレイに採用されている作家の器もあります。もちろん購入も可能。

豊田麗さんの器。他に、舛井岳ニさん、大中和典さんら、萩や山陰にゆかりある作家の作品も。

ちなみに、舸子176のそばに「閂168」という系列の宿も。さらには、近隣に新たな宿泊施設をオープンする計画もあるとか。「今度は萩にも泊まってみたいですね」と達郎さん。またひとつ未来の旅の予定ができたよう。そろそろ空港へ向かう時間です。
 
400年前の陶工に思いを馳せ、現代の作家たちの表現に触れ、土地の食をいただく。萩では世代を超えて受け継がれる伝統が、現在の日々の暮らしに溶け込んでいました。

 萩・津和野の旅はここまで。萩の旅の様子は達郎さんのVlogにも公開されています。

「また来たいね」という都さんに、達郎さんも笑顔でうなずきます。振り返れば、東京を出たのが昨日とは思えない、充実した時間でした。行きたい場所はまだたくさんあったけど、それは次の楽しみに。 



取材時に編集部がみつけた、こだわりのおみやげをご紹介します。

さらに!

編集部が発見! 萩みやげ

島根の“お茶の里”で生まれた「神楽茶」

百茶一心で扱っている「神楽茶」の茶葉をおみやげに購入。島根県西部・吉賀町でつくられる、無農薬、化学肥料不使用の貴重な茶葉です。産地である旧柿木村は、元禄時代からお茶作りの文化が続くといわれる地域。各家庭に受け継がれる釜炒り茶に加え、和紅茶、津和野で有名なカワラケツメイとブレンドしたまめ番茶などがラインナップ。

利休デザインがさらに進化。“使い捨てない、使い捨て箸”

舸子176で購入したこちらの「大門箸」。利休がデザインした箸をベースに、現代のプロダクトデザイナーがより持ちやすく進化させた一品です。素材は奈良県の吉野檜。片方は中太、もう片方は極細という左右非対称の形が、すっと手に馴染みます。食事の所作を自然に美しく見せるミニマルな造形にほれぼれ。基本は使い捨て用ですが、丈夫なので洗って繰り返しての使用もOKです。おもてなし用にも。

この記事で訪れた場所

長州堂

住所;山口県萩市呉服町2-9
TEL:080-1948-8212
https://www.instagram.com/choshudou/

舸子176

住所:山口県萩市浜崎町176
TEL: 0838-21-5210
https://futatsugai.jp/kako176

Photography Yuri Nanasaki  
Edit&Text Masaya Yamawaka

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