島根フィルムコミッションネットワーク
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制作者に聞く

池澤辰也監督インタビュー:神話と歴史から見える島根の魅力

池澤辰也氏

今回、島根県のロケーションを巡っていただいたのは、「十津川警部」「探偵左文字進」「ミラーツインズ」「相棒」「警視庁・捜査一課長」など数多くの人気ドラマの監督を務める池澤辰也氏。 3日間にわたる島根の視察を振り返って、制作者目線での島根の印象をインタビューさせていただきました。

■はじめに、島根に興味を持たれたきっかけを教えてください。

今回、小泉八雲さんに興味を持ったことがきっかけで島根を訪れたいと思いました。松江市を中心とした小泉八雲ゆかりの地を巡ったら、今後の作品づくりのヒントが得られるような気がしたんです。それから、雲南市は、「たたら製鉄」をはじめとした歴史や自然、神話に興味があり行ってみたいと思いました。

池澤辰也氏
小泉八雲旧居 (松江市)

■今回は松江市と雲南市を中心に回っていただきましたが、実際に訪れてみて最初の印象を教えてください。

はじめに訪れたのは雲南市でしたが、まず一番に自然の緑が綺麗で空気がとても澄んでいる印象を受けましたね。 その後訪れた松江市は、水の都と言われるだけあり湖や川がとても綺麗で、 ここでもやはり空気が澄んでいるのが印象的でした。松江市は島根の中では一番都会だと思いますが、街並みが美しく整備されていて、どこを巡るにもストレスを感じず心地よい雰囲気が漂う。そんな魅力のある場所だと感じました。

池澤辰也氏
大橋川 (松江市)

■様々なロケーションを巡る中で気づきや驚きはありましたか。

島根はどこに行っても神話・伝説ゆかりの地が残っており、その土地や人々のルーツを‘発見’することがとても多く、島根の歴史をより勉強してみたくなりました。昔の文化や暮らしを想像させるような街並みが今も残り、現代で生活している人々と神秘的な文化がきちんと寄り添って融合しているような奥深さを感じましたね。 また、雲南市の須我神社がスサノオノミコトとクシナダヒメが造ったとされる「日本初之宮」だということや、相撲や日本酒の発祥地が島根と言われていることには驚きました。様々な場所を巡る中、なんだか全ては島根からはじまっているような気持ちになりました。

池澤辰也氏
須我神社 (雲南市)

■印象的なエピソードがあれば教えてください。

出雲市の一畑薬師を訪れた際に、立ち寄ったお菓子屋さんでお茶を出していただいたのですが、飲み干すとすぐにまたお茶を注がれるんです。(笑) だんだんと居心地が良くなり、「まさかこのままここから帰れなくなるんじゃないか…」と日本昔話を思い出して少しドキドキしてしまいました。 独特な風習や素敵な人が多いのも島根の魅力ですね。

池澤辰也氏
一畑薬師 (出雲市)

■制作者の目線で特に印象的だった場所や撮影してみたい場所があれば教えてください。

雲南市の吉田の町並みは、製鉄の町として栄えた往時の面影があって印象的でしたね。 松江市は城下町の雰囲気はもちろん、宍道湖の見え方が朝方と夕方とで全く違い面白かったです。 撮影のインスピレーションを受けた場所で言うと、八重垣神社の「鏡の池」は珍しさもありドラマチックな画が撮れそうだなと感じました。他には、美保関の町並みや美保神社も雰囲気がよく、お祭りのシーンでも撮影したら素敵だろうなと。加賀の潜戸(くけど)も小泉八雲にまつわる場所の一つということで以前から興味がありましたが、実際に遊覧船に乗り「賽(さい)の河原」や岩の穴場に向かうと、話のイメージが一つ一つ浮かび上がってくるような場所でとても感動的でした。
池澤辰也氏
田部家土蔵群と吉田の町並み (雲南市)

池澤辰也氏
美保関 青石畳通り (松江市)

■島根を舞台にした作品を手掛けるとしたら、どのような作品を撮影したいですか。

島根に腰を下ろして生きている人物を主人公にし、神話・伝説を絡めながら人間の営みを掘り起こす「人間ドラマ」を描いてみたいです。自然の豊かさは絶対に必要で、松江市、雲南市だけでも充分に趣があるドラマが出来上がるなと思いました。

池澤辰也氏
美保関灯台 (松江市)

■島根のロケ地としての可能性を教えてください。

他の地域に比べて近代的に観光地化されていないところが島根の大きな魅力だと思います。伝統的な文化をきちんと残しつつも生活面での不便はなく、バランスが取れている場所は珍しいと感じました。 「神々の国しまね」と言われるほどは、人間のエゴで便利さを求めてはいけないという事を地元の皆さんが自然と理解されているのかなと。神社やお寺など行く所全てにおいて、常に神々から見守られているような空気感がありましたね。そういった島根ならではの文化や人、それから豊かな自然というものは特別なものだと思いますので、作品の舞台として大いに可能性があると思います。

池澤辰也氏
左:池澤監督 右:島根FC

■最後に監督から一言お願いします。

島根には街並みを含めて、これからも変わらない姿でいて欲しいです。そして島根に根付くすばらしい神話や伝説を若い方々に伝承していってほしいですね。 今回の取材で島根が好きになりました。また必ず足を運び、島根を感じ、学びたいと思います。撮影でも訪れたいですね。ありがとうございました。

【池澤辰也】

人気ドラマシリーズ等の監督、プロデューサーを務める。 手掛けた作品は「十津川警部」「探偵左文字進」「こちら本池上署」「ゆうれい貸します」「2ndハウス」「お助け屋陣八」「獣医さん事件ですよ」「浪花少年探偵団」「ミラーツインズ」「こんミラ」「相棒」「嫌われる勇気」「検事の死命」「しんがん」「警視庁・捜査一課長」ほか。