隠岐島は島後、西ノ島、中ノ島、知夫里島の4島を中心とした日本海の群島です。神話の時代から、後鳥羽天皇や後醍醐天皇配流の時代を経て今日に至るまで、数々の文化・歴史に彩られて来ました。
島後の五箇民家(文化財名称:都万目の民家)は、江戸時代に建てられた豪農の住まい。おばあちゃんの家のようなこの立派な古民家で、かまどや囲炉裏を使って昔ながらの「田舎料理」の調理を体験できると聞き、訪ねてみました。
藁葺き屋根の横に長い屋敷には、玄関が3つもあってびっくり。日常の出入り口の他に、お客様用の玄関などもあり、隠岐の伝統的な家屋の形式なのだそうです。
私はかまども囲炉裏も実物は初めてなので、興味津々。地元のお母さんたちに教えてもらいながら、さっそく米をとぎ、かまどでご飯を炊きます。釜が深くて思ったより米とぎは大変でした。竹筒で吹きながらかまどの火を熾すのも、煙くて一苦労。今はボタン一つで放っておけば炊けてしまうけど、昔はこんなに手間隙かけて作っていたんですね。でもその分愛情がこもるのでしょう。ふっくらつややかで粒が立った、本当に美味しそうなご飯が炊けました。
続いてそば打ちにもチャレンジ。隠岐そばはつなぎを使わない十割そばで、つゆはサバのだし汁を使う独特なもの。初めて自分で打ち、切ったそばは、幅がちょっと不揃いだったかも?(笑)でもさっと茹でてネギや岩海苔をトッピングし盛り付けてみると、結構いい感じ。
さっそく炊き立てのご飯、いろりで作った味噌汁、隠岐の山海の幸と一緒に、昔ながらの高膳でいただくと、
そばの風味と岩海苔、サバのだしが程よく調和して絶品!私はすっかり隠岐そば大好きになってしまいました。
島後の南西部・津戸地区の「海幸の浜海水浴場」近くに、産直問屋「しおさい」があります。ここでは隠岐のとれたての新鮮な魚介類や工芸品・特産品などを扱っていますが、その他に様々な体験メニューもあります。
船で近くの無人島「四敷島」に渡り(※天候等によっては海岸での体験)、魚や貝を採ったり竹飯ごうでご飯を炊いたりする、自然サバイバル体験。隠岐の伝統漁法である「かなぎ漁」やイカ釣りなどの漁業体験。そしてヒオウギ貝の細工体験など。
私は竹飯ごうにちょっと興味をそそられ、最初に「自然サバイバル体験」を選んでみました。
まず火おこしですが、日本一の大きな火おこし器を出されてびっくり。4〜5人で力を合わせて板を上下させ、中心の軸が回転する時の摩擦熱で火を付けるのです。皆でタイミングを合わせるのが難しかったです。
続いて近くの山から竹を切り出してきて、竹の飯ごう作り。ノコとナタを使って竹に四角い穴を作り、そこから米や水、そして採ってきた貝などを入れて炊きます。ざっと1時間ほどもするといい香りが漂ってきます。竹のふたをそっとはずしてみると、美味しそうな炊き込みご飯ができています。ほのかに竹の香りがする、美味しいサザエご飯でした。スタッフの方のお話では、近くでソフトボールほどもある「メガ・サザエ」が採れることもあるとか。(そんなサザエ、一回見てみたい!)
ご飯が炊けるまでの時間を利用して、ヒオウギ貝の細工にも取り組んでみました。赤・黄・紫ととても色鮮やかなヒオウギ貝は、まるで誰かが一つ一つ色を塗ったかのよう。自然界にこんなにきれいな色の貝があるなんて、本当に驚きです。色紙にヒオウギ貝を貼り付けて、隠岐の思い出にしました。
真っ青な海に浮かぶ釣りイカダで糸を垂れると、すぐに大小さまざまな魚が寄ってきます。湾内に浮かんでいるので揺れも少なく、海底には漁礁も沈めてあるので岸からは釣れない大物も釣れることがあるとか。ほら、可愛いフグがかかりましたよ!
その他、ここでは隠岐の名物「牛突き」の牛肉も扱っているそうです。その名も「ガチンコ牛」!ちょっと歯ごたえがあるけどなかなか美味しかったです。
「無人島」という言葉には、探検心や冒険心を刺激されませんか?気の合った仲間や家族と無人島に渡り、のんびり海に潜ったり貝や魚を採ったり…そんな体験が隠岐でできるんです!
私が宿泊した「ホテル知夫の里」のベランダからすぐ目の前に見えた、小さな無人島「浅島」。そこへ、インストラクター奥本さん運転の渡し舟で真っ青な海を渡りほんの5分。いよいよ浅島に上陸です。
岩場にビーチパラソルを立てて「基地」とし、すっかり探検家気分。よく晴れた空に、周囲は見渡す限り穏やかな海。まるで自分だけの島のような気がしてきます。
本来サザエやアワビは勝手に採ってはいけません。でもこの島ではインストラクターの方に教えてもらいながら、(素潜りに限ってですが)サザエ・アワビ採りができます。そして採ったサザエはさっそく岩場でバーベキューに!採れたてのサザエは新鮮でとっても美味しく、楽しくお喋りしながらいくらでも食べられそうです。
近くの渡津海水浴場には、波の穏やかな浅瀬があります。小さなお子さんのいるファミリー等の方にはこちらもオススメです。
隠岐を代表する名勝「国賀海岸」(西ノ島)は、陸上からの雄大な眺めも素晴らしいですが、海が穏やかなら遊覧船で海上からの眺めがおすすめ!
別府港から出発した船は、西ノ島の東岸を巡り、最近発見された「ねずみ男岩」 (星神島)へ向かいます。船長さんのアナウンスに目を向けてみれば、いたいた、確かにあれは「ねずみ男」!その隣には何と「ぬりかべ」もいるではありませんか。
そして三枚屏風ヶ崖を初めとした東国賀海岸の断崖・洞窟の数々に驚きながら、船はいよいよ一番の見どころ国賀海岸へ。鬼ヶ城に乙姫御殿、摩天崖、通天橋と大自然が創りあげた絶景にただただ感嘆しました。更に今回とってもラッキーだったのは、波が穏やかな時しか見れないという「明暗の岩屋(約250m)」に入れたことです。真っ暗な洞窟の奥に向かってどんどん船が入っていき、まさにインディ・ジョーンズの世界。はらはらしながらも、思わず窓の外の景観に心を奪われてしまいます。そして洞窟の行き止まりでは、船を壁にぶつけて方向転換!こんなダイナミックな体験は初めてで、本当に感動しました!
島体験を通して、やはり隠岐の自然の雄大さを感じました。そして便利なものが増えた現代だからこそ、原点に戻って自分を見つめ直す時間も大切だと改めて実感しました。私は今回、隠岐で貴重な体験が出来ました。皆さんにもぜひ隠岐の自然の中でのんびり過ごしながらも大切な『何か』を見つけて頂きたいです。
しまね観光大使 青山 愛(あおやま めぐみ) さん
◆飛行機
出雲−隠岐…直通便で約30分
大阪(伊丹)−隠岐…直通便で約1時間
東京、福岡方面からは出雲空港で乗り継ぎの便でお越しください。
※平成20年7月18日〜平成20年8月31日の期間、大阪(伊丹)−隠岐間でジェット機が運行されます。(通常はプロペラ機で運行)
◆フェリー&高速船
[フェリー]
境港〜隠岐(別府港)…約2時間40分
七類港〜隠岐(西郷港)…約2時間20分
[高速船]
境港〜隠岐(西郷港)…約1時間20分
七類港〜隠岐(西郷港)…約1時間