安来節保存会 一宇川流家元 一宇川 勤さん

「安来節保存会に入会して30年。どじょうすくい踊り一筋にやってきました。自宅で体験道場も開いています。隠し芸のメニューの1つに、いかがですか?」

<申込先>安来節屋
TEL:0854-28-6788
FAX:0854-28-8688
体験料金:1人5,000円・1人増すごとに1,000円プラス

 

さっそく体験!本場のどじょうすくい

島根が誇る宴席でのお笑い芸といえば、手ぬぐいをかぶって一文銭の鼻当て、安来節とともにひょうきんなしぐさで踊る「どじょうすくい踊り」です。

テレビや舞台で見たあの楽しいどじょうすくいを、一回、自分も踊ってみたいねぇと、そんな軽〜い気持ちで、私たち女二人、安来節の本場・安来市へやって来ましたよ。

有名な足立美術館や鷺の湯温泉が並ぶ一角に、ありました、ありました「安来節屋」の大きな看板。ここで「どじょうすくい踊り体験道場」を開いているのは、安来節保存会・一宇川流家元の一宇川勤准名人です。

訪ねた私たちをニコニコ迎えてくださった、一宇川さん。一見、人のよいただのおじさん(失礼!)なんですが、ところがどっこい、実はこの方、安来節全国大会で3年連続優勝経験を持つ、ちょー実力者なんですよ。(廊下には賞状の数々、部屋にはトロフィーや優勝旗がたくさん!)

さてさていきなり度肝を抜かれた私たちですが、二階の体験道場で、まずは先生のお手本を見せていただきます。手ぬぐいのほっかむり姿で現れた先生、頭にザルを乗せ、安来節の軽快なメロディーに乗ってひょこひょこ微妙に腰をふりながら舞台に登場。

あたりに目を凝らしてどじょうを探し、ザルと足を上手に使ってすくい上げ、思わずにっこり満面の笑み。笑顔だけで観客の心をゆるませてしまう、一宇川先生、絶品の笑顔です。一通りの踊りを終えると、やがて手を振りながら退場。いやあ〜さすが先生、しぐさも表情も本当に一級品!

それから私たちも衣装に着替えて、いよいよレッスン開始です。でも正直ここだけの話なんですが、手ぬぐいと衣装はいいんですけど、あの、一文銭の鼻当てはちょっと、ねぇ…やっぱりオトメとしては、内心少々、抵抗ありました。けど、いざ顔につけてみると、不思議なもんですねえ。もうすっかり開き直って、ま、いっかという、むしろ晴れ晴れとした気分に。二人で顔を見合わせて、あなた結構ぴったりよ、と大笑い。

さて先生の振り付けを手本に、まずは舞台へ入場の場面から。頭にザルをかぶって前で腕を組み、腰をふりふり歩く…のですが、見てると簡単そうなこの歩き方、実際やってみると結構難しいんですよ!腰と足の動きがちぐはぐで、ぎこちない(笑)。しかも中腰なんで、かなーり足腰にきます(涙)。

さあそれから、ザルを構えていざどじょうすくい。足を使ってザルの中へ追い込みながら、どじょうをすくい上げ、ここでにっこり笑顔です。捕まえたどじょうは腰かごに。 ところが、おっと、せっかく捕まえたどじょうがポロリこぼれて大脱走!逃げたどじょうを追っかけて、四苦八苦、ようやくまた捕まえて、再び「にかっ」と笑顔。

と、何か変だぞと思ったら今度は足にヒルがくっついていた!あわててつまんで投げ捨てようとするんだけれど、捨てたつもりのヒルが今度は手にくっついてて、またまた大あわて。悪戦苦闘の末、ようやくヒルを退治して「ほっ」と一安心。

…とまあ、これがどじょうすくい踊りのストーリーなんですね。何気なく脳天気に見ていた踊りのしぐさ一つ一つに、そんな意味があったとはつゆ知らず、今回先生に解説していただいてすっかり感心してしまいました。

一通り習い終わると「終了証」をいただいて、入門講座卒業です!とても嬉しくって、これは一生の宝かなぁ。それにしても短い踊りなのですが、実際に踊ってみると、思ったより体力が必要なことにびっくりです。(もしかして明日は筋肉痛かも…?)でも一宇川先生がていねいに優しく、また楽しく教えてくださるので、時間はあっという間。そして終始笑い声が絶えない、本当に楽しいひと時でした。

安来節屋さんでは、どじょうすくい踊りの他にも安来節や銭太鼓、つづみ、三味線などの教室も開いています。息子さんの一宇川耕士さんは三味線の、お嫁さんの祥江さんは唄や銭太鼓の師匠と、一家まるごと「安来節家族」なんです。

 

一階は安来節関係のショップになっています。ザルや腰かごなどがそろった「どじょうすくいセット」を始め、オリジナルの煎餅や、一宇川先生の金太郎飴、ストラップなどなど見ているだけで楽しいお店です。

さああなたも「どじょうすくい踊り」をマスターして、今夜から宴会の人気者!?

どじょうすくい体験と一緒に楽しむ周辺スポット

足立美術館

横山大観、竹内栖鳳、川合玉堂、富岡鉄斎、榊原紫峰、上村松園など近代日本画の巨匠たちの作品をはじめ、安来出身の陶芸家・河井寛次郎、陶芸家としても名を馳せた稀代の料理人・北大路魯山人の陶芸作品や、武井武雄、林義雄らの童画などの魅力的なコレクションの数々が並ぶ美術館です。

四季折々の表情を醸し出す50,000坪の庭園は、アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」の日本庭園ランキングで7年連続第1位に輝いています。「枯山水庭」、「白砂青松庭」、「苔庭」、「池庭」と足を進めるたび広がる閑雅な風情は、館内の日本画の作品とあいまって訪れる方の心を静かに癒します。

[住所]島根県安来市古川町320
[TEL]0854-28-7111
[URL]http://www.adachi-museum.or.jp/

 

奈良時代に書かれた風土記にも記述が見られる湯で、白鷺が足の傷を癒すために見つけたのが温泉の起こりとされています。安来節屋さんのすぐ隣に位置しているので、体験を楽しんだ後、体を休めるのにピッタリです。

竹葉:http://www.chikuyou.jp/
さぎの湯荘:http://www.saginoyusou.com/
安来苑:http://www.yasuragi.or.jp/~yasugien/
夢ランドしらさぎ:http://www.yumeshirasagi.or.jp/

◆松島さん(写真左)
日ごろのストレスも忘れさせてくれる、ものすごく楽しい体験でした。
まったく初めての人にもおススメです!

◆高橋さん(写真右)
先生の上手な教えでうまくなった気分に。“旅の恥はかきすて”ですね。
安来節の魅力にはまっちゃいました!