2025年05月16日 公開
石見銀山や津和野、アクアスなど石見の旅を満喫した後は、心安らぐ石見の和菓子で至福のひとときを過ごしてみませんか。
石見の風土が育んだ、素朴ながらも奥深い味わいの和菓子の数々。一口食べたら止まらない優しい甘さに、ついつい手が伸びてしまう、そんな魅力が詰まっています。
旅の思い出に、お土産に、石見の和菓子をお楽しみください。
錦華饅頭
創業95年以上の老舗和菓子店、中田屋本舗。六日市名物「錦華饅頭」は約90年前、利休饅頭の製造所で修業した初代店主が生み出した逸品です。自家製のカラメルを使った風味豊かな生地に、なめらかな皮剥き餡を包んだお饅頭は、老若男女問わず好まれる味わい。一日平均で500~700個が売れる銘菓です。カラメル風味の昔懐かしい味わいの生地は、配合や製法を変えることなく作り続けており、対照的に北海道産小豆を使った特注餡は、時代にあわせて少し甘さを控え、舌触りよく仕上げられています。最近では、ミルクまんじゅう「きんさいみんさい」にも力を入れています。
昭和26年創業の老舗和菓子店・三松堂。中でも一番の人気を誇る「こいの里」は、創業者が戦後の物資がない中で考案したお菓子です。小豆、砂糖、寒天のみを使ったいわゆる羊羹の一種ですが、その食感はまったくの別物。サクッとした歯ざわりと、口の中でさらりと溶ける口どけに驚かされます。素材には、日本三大小豆の産地のひとつ・備中の赤小豆と、岐阜県恵那市山岡町の最高級寒天「細寒天」を使用。また、職人の経験と勘を元に作る一子相伝の銘菓のため、製造できるのも工場長1人のみ。和菓子の繊細さとあんの奥深い魅力を感じる、珠玉の逸品です。
誰もが知る益田名物「鶏卵饅頭」を手掛ける鶏卵堂。そのはじまりは、京都・住吉製菓の看板商品「鶏卵饅頭」の製法を先々代店主が譲り受け、昭和30年に益田市でお店を開いたことが起源です。益田産の新鮮な鶏卵をふんだんに使ったカステラ生地に、砂糖、手亡豆、水のみで作り上げた白あんを包み込んだ鶏卵饅頭は、素朴ながら味わい深い風味がたまりません。製法は創業当時から変えておらず、過去3回、全国菓子大博覧会で金賞などを受賞しています。市内外の様々な施設でも販売されていますが、あけぼの本町の店舗では、焼き立ての鶏卵饅頭に出会える時もあります。
大正15年に創業し、現在は3代目が切り盛りする和菓子店・光明堂。創業当初からある「三隅羊羹」は、かまどで薪を焚き、手で練り上げる、約100年前のままの製法で作られています。伝統を守る一方で新しいお菓子作りにも意欲的です。世界で初めて缶コーヒーを世に送り出したことでも知られる、地元出身の三浦義武(みうら よしたけ)氏が編み出した「ヨシタケコーヒー」を使った「羹珈琲(かんコーヒー)」や、地元でなじみ深い「クボタ牛乳」と白あんを使用した、珈琲とよく合う「牛乳羹」を3代目・杉山さんが開発。地元愛に溢れる一品は、三隅町のお土産にもぴったりです。
〒699-3211 島根県浜田市三隅町三隅1092-3
TEL:0855-32-0117
営業時間:
8:00~18:30
定休日:
日曜日
【その他の取り扱い店舗】
浜田市内のキヌヤ各店、ゆめタウン益田・浜田店 ほか
黒糖生地にこしあんを包み込んだ、敬川饅頭。江津市のお土産として長年愛される、素朴なお菓子です。このお饅頭を手掛けているのは、昭和32年創業の老舗和菓子店・中田屋。敬川饅頭は、九州から地元・敬川町へ戻ってきた創業者が「敬川町に名物を作りたい」という思いから、お店の創業とあわせて作り上げたお菓子です。なめらかで口どけの良いこし餡と、柔らかな生地のお饅頭は、小さなお子さんから年配の方まで幅広い世代に人気。3代目に引き継がれた現在もその製法をほぼ変えておらず、67年もの長きにわたって、多くの人を魅了し続けています。
〒699-3162 島根県江津市敬川町1247
TEL:0855-53-0032
営業時間:
9:00~18:00(11月~2月は17:30まで)
定休日:
元日
三瓶山の麓の温泉街で、昭和8年から三代続く老舗・日高恵比須堂。二代目店主が考案した「そばまんじゅう」は、70年にわたり親しまれています。主に地元産のそば粉を使った生地で自家製のこしあんを包み、香ばしく焼き上げており、包みを開けると豊かなそばの香りが!そば好きの方が県外からも訪れるほどで、その味を支える秘密は先代から受け継いだ丁寧な製法にあり。2023年に三瓶で将棋の王将戦が行われた際には、藤井聡太さんも味わったという地元を代表する銘菓です。その他にも、春のさくらもちや秋の栗ようかんもおすすめ。
いわみやまんば饅頭。本店のみマロンあん、いちごクリーム入りも販売
製菓・製パンを行う創業67年の老舗・広島屋の坂根社長が「広島のもみじ饅頭のような銘菓を」と考案したお菓子。地域に伝わる優しい山姥の伝説にちなんだもので、くるみ入りのこしあんをバターケーキ風の生地で包んで焼き上げています。ホイルで包み焼きするため日持ちが長いのも魅力で、昭和63年の登場以来のロングセラー!実は当初“饅頭”は付いていなかったのですが、人々の間であんこ入りのお菓子=饅頭として広まり、お店でも後付けしたのだとか。それだけ親しまれているこのお菓子は邑南町でのみ手に入るので、ぜひ足を運んでみて。
レトロな空気が漂う川本町にある和カフェで、2024年5月から登場した「練り切り」。江戸時代から親しまれる伝統の和菓子ですが、こちらには季節の風物をはじめ、クマさんやサンタクロースなど、季節毎にかわいい練り切りが並びます。カラフルな色も魅力で、6種のあん(黒、白、抹茶、いちご、チョコ、ミルク)をベースに、天然素材の色素を使って表現されています。店主の山下さんはこの練り切りにひと目惚れし、練り切りアート(R)の先生に習って自ら技術を習得。体験教室も開催されているので、自分で作ってみるのも楽しいですよ。