イザナキとイザナミ
<第三章>イザナミの死
愛しい妻を亡くしたイザナキは嘆き悲しみ、
「愛しい私の妻よ。
おまえは、子どもの一人に代わろうというのか。」
といって、イザナミ神の枕もとで、
腹ばいになって泣きに泣きました。
その涙から女神*1が生まれました。
そして、イザナキ神はイザナミ神の亡骸を、
出雲国(いずものくに)*2と
伯伎国(ははきのくに)*3 の堺にある
比婆(ひば)の山に葬りました。
葬った後、イザナキ神は、
腰につけた十拳剣(とつかのつるぎ)を抜いて、
火の神であるカグツチ神を切ると、
そこに、タケミカヅチ神などの
神々が生まれました。
関連情報・注釈
*1 その神の名は「ナキサワメ神(泣沢女神)」。『古事記』には、香山(現・奈良県)の畝尾(ねお)の木本(このもと)に鎮座する神だと記されています。
*2 出雲国は、現在の島根県東部です。
*3 伯伎国とは伯耆国(ほうきのくに)のことで、現在の鳥取県西部のことです。