イザナキとイザナミ


<第五章>三貴子の誕生

黄泉国から帰ったイザナキ神は
「なんときたない国へ行ったのだろう。」と言って、
竺紫の橘の小門の阿波伎原に行って、
体を清めることにしました。

この時にイザナキ神が脱いだ衣服などから
神々が生まれました。
イザナキが体を洗い清め時に禍の神々が生まれ、
また禍を直そうとして神々が生まれました。
水に潜ると、また港の神々が生まれ、
航海を司る海の神々が生まれました。

そして最後に顔を洗うと、左目からアマテラス大神が、
右目からツクヨミ神が、
鼻からはスサノオ神が生まれました。

イザナギは三貴子の誕生を大変喜んで、
「わたしは、子を生み続けたけれど、
 ついに三柱の貴き子を得た。」と言い、
アマテラス大神に高天原の統治を、
ツクヨミ神に夜の統治を、
スサノオ神に海原の統治を任せました。

ところがスサノオ神は委任された国を治めることなく、
ヒゲが長く生えるほどの大人になっても泣きわめきました。

青々とした山を枯れ山にするかのように
川や海はすっかり泣き乾すように泣くため、
悪い神々の声が騒がしく世の中に満ち、
いろいろな物事にあらゆる禍が起こりました。

イザナギ神はスサノオ神に問いただした。
「どんな理由があって、
おまえは任された国を治めないで、
泣きわめいているのだ。」
スサノオ神が答えて言うには
「私は、母の国である根の堅州国に参りたいと
思って泣いているのです。」と。

それを聞いたイザナキは大変怒って
「それならば、おまえはこの国に住むべきではない」と、
スサノオ神を神やらいに追い払ってしまいました。


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