「山陰の小京都」
島根県津和野町でワーケーション!
江戸時代に津和野藩の城下として栄え、「山陰の小京都」とも呼ばれる島根県津和野町は、美しい自然と古い町並み、城下の風情を今も大切に受け継ぐ日本遺産のまち。
「舞姫」「高瀬舟」などで知られる明治の文豪・森鴎外や、2012年文化功労者に選出された画家の安野光雅氏の出身地としても知られ、日本100名城の津和野城址や、朱塗りの千本鳥居が圧巻の太鼓谷稲成神社など、見どころも盛りだくさんです。
殿町通りの近隣 古民家活用のコワーキングスポットが誕生
碁盤の目のように町筋が走る中心部の「殿町通り」は、藩校養老館跡や郡庁跡、津和野藩家老多胡家表門、白亜の津和野カトリック教会など歴史的建物が集中し、城下町の風情を色濃く残した町のシンボルストリート。
観光客にも人気のこの通り近隣に2023年、古い建物をリノベーションしたコワーキングスポットが相次いで誕生しました。
●SHIKINOKA(シキノカ)俵種苗店 ワーケーション可能な宿をオープン
JR津和野駅から徒歩10分。城下町の風情が残る殿町通りにある「SHIKINOKA(シキノカ)俵種苗店」。
明治前期に「俵農機具商会」として創業した佇まいをそのままに、心地よく、持続可能な暮らしを提案する生活の道具店として2021年4月に内容を一新し営業を再開しました。
仕掛け人は、2009年にUターンした4代目店主の俵志保さん。京都で染織の仕事やプロダクトデザインに携わってきた経験を生かし、店内には店主が厳選した職人技術が光る商品が並びます。
注目は、地元の職人さんとコラボしたSHIKINOKAオリジナルシリーズ。石見の空と海をイメージした石見焼宮内窯(江津市)の白色と瑠璃色のマグカップやプレート、200年以上続く石州和紙の西田和紙工房(浜田市)の柿渋、鉄煤染めの座布団やうちわなど、いずれもここでしか買えない品。量り売りのスパイスや洗剤の販売もされています。
「SHIKINOKAが志すのは、エシカルな暮らしと伝統文化、職人さんの技を受け継ぐこと。リサイクルや環境対策はもちろん、手を加えて新たな価値を生み出す“アップサイクル”を意識したプロダクト制作を目指しています」と俵さんは話します。
掲げる看板通り、種の販売も継続しています。扱うのは、在来種とも呼ばれる固定種のみ。育てた野菜から次の世代へ、また次の世代へと受け継がれ、種を採ることができる品種。収量など優れた特性を持つ一方、効果は一代限りのいわゆるF1種は扱っていません。時には、地元の農家から仕入れた殻付きの黒豆も種豆として並びます。
「固定種は完成までに何世代もかかっていますが、その分、個性が固定されて安定した品種です。代々受け継いでいくことができる種から始まり、野菜を育て、おいしくいただく。盛り付ける器や食器洗いも大事にする。そんな暮らしのサイクル、営みを提案できるお店にしたいなと思うんです」。城下町の風情を今も大切に受け継ぐ津和野の町と同様に、古き良き文化や伝統を受け継ぐお店です。
「くらしのやど」オープン ワーケーション利用もできる津和野の暮らし、風土を感じる宿
そんな店主の思いが詰まった宿が2023年10月オープンしました。
「SHIKINOKA俵種苗店」から歩いて数分の位置にある宿泊機能を備えた別館「くらしのやど SHIKINOKASHA」です。
築約200年の平屋の古民家を改修しアートギャラリー兼レンタルスペースとして2021年に開業。さらに宿泊施設にリニューアル。観光の旅行客はもちろん、イベント利用やギャラリー、レンタルキッチン、ポップアップストアなど多様な活用ができるレンタルスペース機能も残し、企業のワーケーション利用にも最適です。
玄関からつながるダイニングをはじめ、畳のリビング、ベッドルームがあり、キッチンやバスも。壁には、温かみのある漆喰(しっくい)や石州和紙を貼り、縁側から周囲の庭を眺められるようになっています。
こだわりは、地元の手しごとを多く取り入れていること。島根県西部の大工や左官、建具屋、タイル屋、畳屋、板金屋、庭師、家具屋、障子屋などの職人が12人も関わりました。
「プロダクトはSHIKINOKAと島根の職人さんで想いを重ね、つくりあげたものです。旅行でも仕事でも、滞在する中で触れ、細部に宿る美しさを感じていただければ」。俵さんはそう願っています。
▼SHIKINOKA 俵種苗店
住所 〒699-5605 島根県鹿足郡津和野町後田ロ212
電話 0856-72-0244[代表] 050-3695-8645[直通]
時間 10:00~18:00(不定休)
Mail tawaraseed@shikinoka.jp
https://shikinoka.jp/
▼くらしのやど SHIKINOKASHA
住所 〒699-5605 島根県鹿足郡津和野町後田ロ590
電話 050-3695-8645[代表]
Mail info@shikinoka.jp
https://shikinoka.jp/stay/
料金 1泊5名38,500円など(1日1組、1棟貸し)
宿泊可能人数 大人5名+添い寝3名(3歳以下) *シングルベッド2台 布団3組
●Tsuwano GuestHouse & Cafe Lounge 野窓 地元の人も集まるカフェラウンジで交流
JR津和野駅から線路を挟んで西へ徒歩5分。2023年7月、築50年の古民家をリノベーションしたゲストハウス兼カフェ「Tsuwano GuestHouse & Cafe Lounge 野窓」がオープンしました。宿泊室にはデスクが用意され、カフェラウンジはコワーキングスペースとしても利用できます。
店主は、8年前に津和野町に移住してきた齋藤香菜子さん。元々旅好きで、505日間かけて24カ国を旅して回ったという経歴の持ち主。「特に胸を打ったのは、発展途上国の農村の暮らしでした。生きるための知恵や自然への畏怖を持ちながら暮らしている人々がたくましく、美しかったからです」と振り返ります。
帰国後は「自然の恵みがそばにある土地で旅人を迎える場所をつくりたい」と国内を巡り、2014年初めて訪れた津和野に心魅かれたといいます。
「こことの出会いは2年前。知人から紹介され、津和野のシンボル・青野山(あおのやま)がきれいに見える立地と、大きな窓が気に入りました」。1年半かけてリノベーション。三つある部屋はいずれも庭と面し、津和野の人の暮らしと自然をつなぐ窓の意味と、英語の「遊牧民」(ノマド)をかけ、「野窓(のまど)」と名付けました。
住民と旅行者が同じ空間を共有し、交わる場所を目指し、地元食材を使った朝食も提供するカフェラウンジには、小上がり、いろりがあるロビーも。本を読んだり、パソコン仕事をしたり、地域の人とお酒を交わしたり、自由なひとときを過ごすことができます。
宿泊は3室計人までで、一人旅に気軽な相部屋のドミトリー利用や、ゆっくり泊まりたい方向けの個室利用、一棟貸しも可能です。各部屋にはカウンターデスクをしつらえました。
旅行者はもちろん、ワーケーション利用も増え始めています。
10月に開催された「津和野デザインワークショップ」の準備で「野窓」に宿泊したNPO法人bootopia(ブートピア)代表理事、瀬下翔太さん=東京=は、「カフェスペースや部屋のデスクで集中して仕事ができ、オンライン会議も問題なくこなせました。津和野の新鮮な野菜を生かした朝食も最高なうえ、彼女の気さくで飾らない人柄も相まって、滞在中ずっと安心して過ごすことができました。津和野でワーケーションをしながら、人とつながりながら過ごしたい人にとっては、ぜひともおすすめしたいです。」と話されています。
いつも素敵な笑顔で来客を迎え入れてくれる齋藤さん。「旅行でも仕事でも、普段忙しくされている方に来てほしい。津和野に滞在し、自然に囲まれたなかでリフレッシュしてもらえる機会になれば」と、願っています。
▼Tsuwano GuestHouse & Cafe Lounge 野窓
住所 〒699-5605 島根県鹿足郡津和野町後田イ80−13
電話 0856-73-7170
https://tsuwanomad.com
宿(不定休)
予約受付時間 8:00~10:00/16:00-21:00
宿泊料金
ドミトリー(相部屋)1泊1名4,600円~
個室(ダブル・ツイン・トリプル)1泊1名5,600円〜
一棟貸し(最大8名)1泊33,000円~
駐車場 2台
サービス 全館Wi-Fi完備
カフェ(不定休)
営業時間
Morning Cafe 8:00〜10:00
Evening Cafe 16:00〜21:00
●日原にぎわい創出拠点 かわべ 蔵を活用したコワーキングスペース カフェ利用でお得に
旧津和野町と2005年に合併した旧日原町にも、ワーケーション利用できる施設があります。JR津和野駅の隣駅、日原駅から車で3分、徒歩約20分に立地する津和野町日原の「日原にぎわい創出拠点 かわべ」。古い蔵をリノベーションしたコワーキングスペースが併設され、「手軽に利用しやすい」と人気を集めています。
日原は江戸期、日原銅山を中心とした幕府直轄領(天領)として栄え、高津川の舟運、津和野奥往還などの交通の要衝でした。
「かわべ」は、日原鉱山を経営していた水津家(大和屋)旧宅の母屋と蔵2棟を中心に、新設した建物を組み合わせた複合交流施設として津和野町が同町日原に整備しました。元々河港があり、往時は物資の積み下ろしで賑わった一帯の広々とした約1800㎡の敷地。コワーキングや交流スペースとして改装された母屋と蔵、移転新築した町立日原図書館、カフェなど計5棟があり、一体的に使える芝生広場も整備されています。
母屋は多目的レンタルスペースとして、古町家のたたずまいを残してリノベーション。簡易キッチンも配し、企業の会議やワークショップのほか、イベントやサロンなどに幅広く利用されています。
蔵2棟はコワーキングスペースと、防音設備・シアターセットを完備したギャラリースペースに生まれ変わりました。Wi-Fi、電源、デスクライトを備えたコワーキングスペースは1席1時間300円。カフェでドリンクを注文すれば1時間無料になり、敷地内の図書館で調べものもできたりと、複合施設ならではのサービスや使い方も魅力です。
カフェ棟の2階「dining café いと」は高津川や山の景色を眺めながら仕事や読書もできる屋外テラスを設け、芝生広場に面した1階多目的スペースには広い土間と小上がりがあり、広場と一体的にも利用できます。
図書館以外の施設は地元の特定非営利活動法人「にちはら」が町の指定管理者として運営。スタッフの森田貴代美さんは「仕事でもイベントでも、多彩な使い方ができる施設です。町内外から利用してほしい」と呼び掛けています。
▼日原にぎわい創出拠点 かわべ
住所 〒699-5221 島根県鹿足郡津和野町日原268-1
電話 0856-74-1930
FAX 0856-74-1933
Mail info@nichiharakawabe.jp
https://nichiharakawabe.jp/
施設情報はこちら
蔵 コワーキングスペース
時間 9:30~18:00
定休 日曜日
利用料金(1時間) 1席300円
設備 Wi-Fi、電源、デスクライト
席数 15席
蔵 ギャラリースペース
利用料金(部屋貸し1時間)
一般利用 1,000円
営業利用 町内1,500円 町外2,000円
設備 防音、プロジェクター、スクリーン
dining café いと
営業日 金・土・日・月曜日
営業時間 11:00~18:00(L.O.17:30)
席数 25席
※母屋、広場、カフェ1階多目的スペースなどの利用料はHPで確認ください。