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語り:浅野 英二さん(簸川郡大社町杵築東 明治42年生・平成3年収録) |
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昔、小津に二衛門という、とってもこざかしいおっさんがおったげな。
−さあ、今年は盆だが、キュウリやナスビの出来がいいが、一つ、今年はもう儲けてやろう−と思って、家で仏さんのたいした祭りもせんで、一生懸命に網を編んでいる。
「おとっつぁん、何すうかね」
「うん、こいで今金儲けさしてもらうが」て、
「魚捕うか」
「いや、魚捕なんかじゃないわな」
「ああ、どげすう(どうする)」
「まあ、見ちょれ(見ておれ)」と言う。
十六日の送り盆の朝になったら、その網を担いで。さっさと川下の方へ行って、やがてもどって来たときには、ナスビやキュウリを山ほど持ってもどって、それを漬け込んで金儲けをしたと。
なかなか頭のよいおやじ親父さんだったもんだなあ。終わりと。
※ 盆にはキュウリやナスビに箸を立て牛や馬の足だとする。この牛や馬を仏壇に供える。そしてそれらを送り盆の日に川へ持って行って流したが、それを二衛門が集めて漬物にしたという。それを当地では「やたら漬」の由来だといっている。
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