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小原先生の注釈 ■■
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今はこれまでと捨ててしまったこの世に山時鳥は何を思い出せと鳴くのか。 |
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小原先生の解説 ■■
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時鳥は夏が来ると一般に鳴き声を待ち焦れられた鳥であり、故郷を懐かしがる鳥として詠まれる。それで、その声を聞かれて、かつての都での歌会のこと、またこの人の世のこと等諸々のことを思わずにはいられなかったのであろう。そうしたこと等を思わずにはいられないように鳴く時鳥の鳴き声に、もう捨てられた世であるが、時鳥よお前はまたこの世に何を思い出せというのかと、時鳥に呼びかけていられる。時鳥の歌としては切ない思いの歌である。 |
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