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小原先生の注釈 ■■
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難波の海辺では、漁師が濡れた長い栲縄(たくなわ)を焚き悩んで、なかなか燃えず苦心して、その焚火の煙が低く這うように流れていく五月雨の頃である。 |
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小原先生の解説 ■■
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古くなって不要になった栲縄を海辺で焚いているのであるが、五月雨の頃で、なかなか焚火も燃えないで、煙がちで、その煙も低く流れているという情景である。隠岐の漁師の生活をご覧になって、難波の漁師を思われての作か。五月雨に焚火がよく燃えないでしめりがちに低く流れる煙は、晴れることのない院の御思いの煙でもあろう。 |
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