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小原先生の注釈 ■■
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海を吹く潮風に芦の葉は乱れ、その乱れる芦の葉の如く、我が心は潮風の吹くにつれていよいよ乱れ、声に出して泣くけれど、誰も訪ねて来て安否を尋ねてくれる人もいない。 |
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小原先生の解説 ■■
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潮風に乱れる芦を使って、孤独に揺れる御心境が率直に歌われている。晩秋の頃の作であろうか。潮風に吹き乱される芦の哀れさ、それは院の御心の苦悶に重なる。しかも誰も訪い問うてくれる者もいない。訪ねるものは、潮風とそれに乱れる芦の葉ずれの音しかないのである。心の中を訴える手段も絶えてないのである。 |
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