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神楽には宮廷で演じられる「御神楽」と民間の社中で演じられる「里神楽」があり、「里神楽」はさらに出雲流神楽・伊勢流神楽・獅子神楽・巫女神楽などに分類されます。島根の神楽は出雲流神楽の系統に属するものです。
島根の神楽は、出雲神楽・石見神楽・隠岐神楽の3種類に大別され、それぞれ独自の発展を遂げて今日に至っています。
江戸時代初期に、佐太神社で旧来の神楽に能楽の要素を取り入れて、格調高い神楽能「佐陀神能」が誕生しました。そしてこの佐陀神能は、その後の出雲神楽に少なからぬ影響を及ぼすことになりました。
出雲神楽は七座(直面の採物舞)、式三番(能楽から取り入れた舞)、神能(神話劇)の三段構成が特徴です。
「採物舞」と「神能」とを混合した神楽が広まり、そこから県内の多くの神楽が影響を受けたと考えられています。
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石見神楽には明治期に改革されたテンポの速い八調子と、旧来型のゆったりとした六調子とがあります。
また大蛇の長胴・紙張子の面・刺繍衣裳は、明治〜大正期に浜田市一帯で始まったとされています。
氏子神楽になってから、様々な新しい改良・演劇的工夫が加えられてきた石見神楽ですが、その源流とされる大元神楽には、神がかり託宣の古儀が伝承されるなど、神事性を強く残しています。
隠岐神楽は、社家(しゃけ)と呼ばれる専門職によって舞われてきました。大漁祈願・豊作祈願・病気平癒等の願いのため神を迎える、神事としての性格が濃いのが特徴です。
また巫女による儀式舞が神楽の中で重要な部分を担っているのも、県内では隠岐だけであり、古風な形式が今も隠岐神楽には残っています。
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