■■
小原先生の注釈 ■■
|
思いやれ。柴の戸を押し開けて、独り愁に沈みながら眺め入っている秋のゆうぐれの我が思いを。 |
■■
小原先生の解説 ■■
|
身を噛む寂寥に堪えられない思いが一首に溢れている。初句の「おもひやれ」という強い命令の調子による呼びかけを思わねばならない。ここには秋の夕の風情を味わう風流は微尽もない。歌会の題詠のような風雅な心からの歌ではない。秋の夕暮れの空、それは都の方の空を愁の目で眺めながら、心ある者よ、我がこの悲しみを「おもひやれ」と叫ばずにはいられなかった秋の夕暮れの思いの深さ。 |
|