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小原先生の注釈 ■■
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故里のあの一群の薄よ、そこは、今はどんなにか繁って野原となって(荒れて)、そこで多くの秋の虫が、われらの野原と繁く鳴いていることであろう。 |
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小原先生の解説 ■■
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隠岐の行在所の庭にも草叢に、しきりにいろいろな虫が鳴いている。それを聞かれるにつけ、思い出されるのは都のことばかりである。御所の庭の一群の薄も今は繁って野原のようになったことであろう。そこに秋の多くの虫が我らの天下と繁く鳴いていることであろうと。自然な歌い方の中に、しみじみと都をしのばれる切ない御気持が流れていて、実感実情の歌である。 |
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