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世界遺産の町でワーケーション!
大学生が運営する「石見銀山まちを楽しくするライブラリー」

世界遺産・石見銀山とともに発展した「銀の町」の中心地、島根県大田市大森町。その一画に2023年4月オープンしたのが、築200年を超える商家をリノベーションして生まれ変わらせた「石見銀山まちを楽しくするライブラリー」です。新たな交流拠点として期待されるここに、魅力的なコワーキングスペースが併設されています。

母屋と蔵3棟を改装した「石見銀山まちを楽しくするライブラリー」。白い暖簾が開館の目印

50年前から古民家再生活動に力を入れてきた地元企業の中村ブレイスが、島根県立大学と連携したプロジェクトの一環で、空き家となっていた「旧松原邸」を買い取り改装しました。

古民家再生が続く大森町

元々、大学が地域を学ぶゼミ活動で10年以上前から関わりがあった町。これまでに60軒以上の古民家をオペラハウスやレストラン、住宅などに再生してきた同社が「若い人たちの発想で、この町にさらに新たな風を吹かせてほしい」と提案し、大学のサテライトキャンパスとしての再生が具体化しました。

同大学地域政策学部地域づくりコースの平井俊旭講師がデザイン設計を監修。平井ゼミの学生がプランニング段階から関わり、子どもから高齢者まで、学生、地域住民、観光客など多様な人たちが集える開かれたライブラリーへと生まれ変わらせるプランを練り上げました。

「人生に影響を与えた本」というテーマで選書された300冊以上が集められた行燈(あんどん)形の本棚や、銀山の坑道をモチーフにした絵本コーナーなど、遊び心ある仕掛けが満載。本の貸し出しはしていませんが、地元素材を使ったスイーツが楽しめるカフェや畳のファミリールーム、縁側の席など居心地のよい席があちこちに用意され、自由にのんびりと本を読むことができます。

ライブラリーのアイコンとなっている行燈(あんどん)本棚。
地元大森町の竹製
石見銀山の坑道をモチーフにしたトンネル状の本棚が並ぶ「えほんのどうくつ」。約200冊が並ぶ
蔵の1階に設けた「ファミリールーム」。
小さなお子さん連れでも安心な畳の部屋

屋外には浅いプールや芝生の広場もあり、その名の通り「まちを楽しくする」活動の拠点として、マルシェや朝市などのイベントも計画されています。

カフェスペースや芝生広場に面したプール広場。
青いタイルは地元の石州瓦メーカー亀谷窯業(浜田市)製

大学が管理運営し、学生が大森町や本の魅力を展示するギャラリーや、大学専用のワーキングスペースも確保。週4日の開館日は平井ゼミの3、4年16人を中心に、学生が交代でカフェに立ち、建物の見学者や観光客らのガイド役も担います。

県立大生が運営するカフェは地元の食材が満載。竹内店長のおすすめは地元大田市の新鮮な平飼い卵を使った「不動のプリン」(605円)
学生が企画展示するギャラリー

2階に併設されたコワーキングスペースは、美しい組子で仕切られた席と個室が各4席ずつの計8席。眺めのいい開放的なスペースも用意され、テレワークや勉強スペース、企業の会議、ミーティングなど幅広い使用に最適です。

美しい組子格子で仕切られたコワーキングスペース。
格子は現代建築にアレンジした伝統木工技術の組子細工製品が国内外で高い評価を受けている吉原木工所(浜田市)製
開放的なラウンジスペース。
階段室との仕切りは春夏秋冬をイメージした組子格子
個室タイプのコワーキングスペースは4室(写真右の扉)

これらのワークスペースは「より幅広い交流ができる場所に」と、計画段階で追加されました。広報を担当する県立大学企画調整課の近藤秀行主事(26)は「観光客だけでなく、ワーケーションなどで利用される企業の方々と交流することで、交流の幅や、学生の学びも広がるはず」と期待します。

店長の竹内さん(左)と近藤主事(右)

利用者の口コミやSNSの広がりで、利用数は徐々に増えています。きっかけのひとつが、地元の大森さくら保育園で同時期スタートした「保育園留学」です。

東京のスタートアップ企業「キッチハイク」が事業化した保育園留学は、都市部に住む家族が地方に2週間ほど滞在し、地域の保育園に通わせるというもの。大森町では衣類雑貨の製造販売、飲食・宿泊事業などを手掛け、武家屋敷を再生した「暮らす宿 他郷(たきょう)阿部家」を営む石見銀山群言堂グループと、保育園を運営するNPO法人石見銀山いくじの会が連携し、2023年5月から受け入れを始めました。

「お子さんが昼間保育園に通う間、保護者の方がリモートワークでコワーキングスペースを利用されることもあります。とくにPRはしていないのですが、実際に利用した方の口コミやSNSの影響で地元住民の方の利用も増えていますよ」と、カフェ店長を務める県立大学3年の竹内彩乃さん(20)。

オーストラリアから長期ホームステイ中の一家や、世界各国から音楽家が集まる石見銀山国際音楽アカデミーの参加者がレッスンで使用するなどコロナ対策の緩和に伴い、海外からの利用も増えているのも最近の傾向。

天領銀山の中心地だった大森町は、江戸期に建てられた古い建築様式の邸宅やレトロな町並みが残る人気の観光スポット。仕事や勉強の合間は館内のカフェでホッとひと息ついたり、バケーションとして大森の町並みを散歩したり、少し足を伸ばして、石見銀山の積み出し港として栄えた市内の温泉津(ゆのつ)温泉につかったり、ここならではのワーケーションが体験できます。

石見銀山の一角にあり、往時は積み出し港として賑わった温泉津
町並み保存地区に指定された温泉街は全国で唯一

日本のワ―ケーションは「働き方」が優先されがちではありますが、大切な要素である「バケーション」に子育て、国際交流の要素も加わり、多様な交流ができるのが、ここのコワーキングスペースの魅力のようです。

●「ここでの出会い、コミュニケーションで 新しい取り組みや地域課題解決ができたら」(カフェ店長竹内彩乃さん)

店長の竹内さん

オープン前からゼミの「カフェ班」として、コーヒーやお茶などの仕入れ交渉やメニュー開発に取り組み、今は週3日は店頭に立っています。

カフェは、放置竹林の竹を器に加工して使ったり、地域の方々から提供された甘夏やサツマイモペーストの活用を探ったり、地域課題解決のアイデアを形にして、提案する場所にもなっています。課題がよりリアルに感じられ、お客さんの反応や意見も直に聞くことができ、実践的に学ぶことができます。

観光客だけでなく、コワーキングスペースの利用者など幅広い方が来館されるので、さまざまな質問に答えられるよう地域についてより深く学び、知る必要があり、日々鍛えられています。生きた学びの場になっています。

多様な人が集うここだからこそ新しい発想が生まれ、新しい出会いが生まれ、ここでのコミュニケーションで新しい取り組みや地域課題解決の方策が開発されていく、そんな流れが作れたらいいかなと思っています。

▼石見銀山まちを楽しくするライブラリー

住所:〒694-0305 島根県大田市大森町ハ94
電話:0855-24-2201(平日8:30~17:00、県立大学事務局)
時間:10:00~17:00(季節により変更あり)
定休:月~水曜日(ほか不定休)※冬季(12~3月)は閉館
料金:無料
駐車場:なし
サービス:全館Wi-Fi完備

▼コワーキングスペース、ラウンジ利用料

・コワーキングスペース(仕切りタイプ)
 1時間330円
 1日貸し切り1,650円

・コワーキングスペース(個室タイプ)
 1時間1名440円、2名550円
 1日貸し切り 1名2,200円、2名2,750円

・ラウンジ
 グループ利用貸し切り 1時間2,200円(ほか1名単位での利用も可)
 1日貸し切り11,000円

※事前予約は1日料金で受付

利用方法について詳しくはこちらから

公式ホームページ
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