石見の国名由来にはいろいろな説が伝えられている。(1)神話からの伝承で、昔出雲と石見が一つの国であった時、この国を平らげようと神兵が雲の如く「屯聚(いはみ)」したため、いはみという国名になったという。(2)石見には岩石が多くあることから「石充(いはみ)」「石実(いはみ)」というようになったと伝え、(3)石見は荒き波が崖にうちよせるところであるから、「石海(いはうみ)」すなわちいはみになったという。(4)高角山(たかつのやま)、岩崎山、銀山などの嶮峻な石山が多いことから、石見とついたという。さらに(5)八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)がこの国の八色石(やいろいし)という石のために、山は枯れ、川が干(ほ)されて民が苦しんでいるので、この石を切って人々を救われたが、その時、不思議な石を見たといわれたので石見になったという。
このように、石見の国名由来には神話伝承によってその由来を説くものと、石見地方の自然になぞられて説くものとがあるが、どれが正しいかなどと決めるのは不粋なこと。だが、この地方の自然を見るとき、石に関連して地名がつけられたのは、ほぼ間違いないであろう。
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