島根県西部(石見地方)には、一度も列車が走らず中止された幻の鉄道や、色も形式も個性豊かな多くの橋があります。江の川の橋梁と鉄道遺産を探して、のんびりしみじみと巡る旅です。
JR浜田駅
車で約20分
01
幻の鉄道
広島と浜田を結ぶ陰陽連絡鉄道である広浜鉄道の開通は、近代化が進む明治20年代頃からの先人の悲願でありました。今福線は広浜鉄道の島根県側のルートとして、昭和8年に山陰本線下府駅から石見今福駅までの約15kmが着工されました。しかし、工事がほぼ完成した昭和15年に戦争のため建設が中断、戦後、今福線旧線とは別に山陰本線浜田駅を起点とする今福線新線約12kmとして工事が再開されましたが、昭和55年に国鉄改革の余波で再び建設が凍結されました。以後、工事を引き継ぐ事業者も現れず未成線として終わり、「幻の広浜鉄道」と呼ばれるようになっています。線路跡にいくつも立ち並ぶ黒ずみ苔むした巨大な橋脚や、戦時中の鉄の使用を減らすため多用されたコンクリートアーチ橋などの造形美も楽しむことができます。
車で約20分
02
デザインは「押し寄せる波」「たぐり寄せる網」
国道9号を横架し、公園区域の南北を結ぶ横断歩道橋として整備されたランドマーク。構造は斜張橋ですが、浜田マリン大橋のように前後にケーブルを張るのではなく、全国的に例が少ない片側からのみ張る「片持ち式」が採用されているところが特徴。橋の形も、上部工断面は丸みのある舟形状とし優しい印象を与え、また、海を表現するため、主塔を前面に傾斜させ、「波」や「釣船が網をたぐり寄せる様子」がイメージされる形状となっているところが面白く、SNS映え写真が撮れるスポットです。
住所 |
浜田市久代町 |
電話番号 |
0855-29-5654 |
車で約25分
03
現役百年を迎える鉄道橋
JR山陰本線最長の鉄橋である郷川橋梁は、大正9年に完成し、江の川に現存する橋梁として、最も古い橋梁です。建設当時は、第一次世界大戦の最中で、資材の高騰、輸送用貨車や船舶が不足する状況下での施工でした。橋脚が、レンガ、石積みからコンクリート製へと移り変わっていく時代で、水上施工という条件も加わり、多くの人手が掛かったほか、洪水被害により、完成間近に2基の橋脚を作り直すなど、難工事でありました。
アメリカから輸入された鋼材が使用され、リベットで接合されていますが、長く潮風にさらされ、修繕された箇所は、ボルトに取り替えられています。維持補修を重ねながら、約100年たった今もなお現役で活躍しています。
住所 |
江津市江津町~渡津町 |
電話番号 |
0855-22-0388 |
車で約20分
04
日本で初めての三色塗装の橋
昭和52年当初はグレーでしたが、62年に現在の配色に変更。町を象徴する桜色をメインに、上下に空色、若草色を配し、全体として「桜並木」が表現された美しさが特徴的。日本で初めて三色に塗装された橋です。
住所 |
江津市桜江町川戸~谷住郷 |
電話番号 |
0855-29-5654 |
車で約15分
05
江の川に映える赤い2連アーチ橋
中国太郎の名を持つ江の川は、川本町を南北に縦断して大きくうねりながら西に流れます。この橋はその両岸を結ぶものでかつて吊り橋で川本名物の一つに数えられていましたが、昭和40年(1972)7月の豪雨で流失、その後、川本東大橋として長さ129.6m、幅6mのランガター橋に架け替えられました。
昭和42年完成時はランガー橋+桁橋でしたが、昭和56年に右岸側もランガー橋となり、現在の姿になりました。一方はリベット、他方はボルトと2種類の接合が見られます。
住所 |
邑智郡川本町大字久座仁~川本 |
電話番号 |
0855-72-9603 |
サイト |
観光協会WEBサイト |
車で約15分
06
鮮やかなライトブルー
ライトブルーが鮮やかなトラス橋で、邑智郡では最も古い昭和29年の完成です。鋼材をつなぎ合わせるリベットが数多く見られ、現在のように大型機械もない時代に作り上げられた先人の技術を感じることができます。また、ここでは下流の簗瀬(やなぜ)側にかつての渡しの痕跡が確認できます。
住所 |
邑智郡美郷町簗瀬~吾郷 |
電話番号 |
0855-72-9603 |
サイト |
美郷町観光協会HP |
車で約30分
07
江の川に残る島根県側唯一の吊り橋
満々と水を湛える浜原ダム湖上で、両岸の緑をつなぐ朱色の吊橋で、印象深い景観を形成しています。江の川に多く存在した吊橋も、現在島根県側で残っているのはここだけで、邑智郡内で最後まで渡し舟が残っていた場所です。
住所 |
邑智郡美郷町信喜~潮村 |
電話番号 |
0855-75-1216 |
サイト |
美郷町観光協会HP |
車で約25分
08
江の川唯一の斜張橋
江の川に架かる唯一の斜張橋で、国内の斜張橋の中では、29番目に完成。昭和47年豪雨により流失した初代、復旧された2代目は共に吊橋でした。
住所 |
邑智郡美郷町長藤~都賀行 |
電話番号 |
0855-75-1216 |
サイト |
美郷町観光協会HP |
車で約5分
09
自然景観との調和、第1回しまね景観賞受賞!
ニールセンローゼ橋と呼ばれるアーチ橋の一種です。都賀行大橋などのランガー橋と比べ、橋桁とアーチ部が同じような太さを持ち、H綱ではなくケーブルで両者をつなぎ、優美な姿を演出しているのが特徴で、視界が遮られず、景色がよく見渡せます。平成5年に第1回しまね景観賞(公共土木事業部門)を受賞しました。
住所 |
邑智郡美郷町長藤~都賀行 |
電話番号 |
0855-75-1216 |
サイト |
美郷町観光協会HP |
車で約10分
10
地上からの高さ日本一の高架駅と呼ばれた「天空の駅」
旧三江線は芸備線三次駅と山陰本線江津駅を結ぶ路線で、陰陽連絡鉄道の一つでした。近代化が進む明治20年代に地元で建設機運が高まり、大正15年に島根県の江津駅側から着工しました。昭和5年に江津駅~川戸駅間が、昭和9年に石見川本駅まで、昭和12年には浜原駅までの全長約50kmが開通しました。また、昭和11年からは三江南線として広島県の三次駅側からも着工しています。その後、三江北線南線ともに戦争により中断。戦後、工事を再開し、昭和38年には三次駅~口羽駅間の約28kmが繋がりました。そして昭和41年に残る口羽駅~浜原駅間約30kmに着工し、昭和50年には実に50年もの歳月をかけ念願の全線開通を迎えています。しかし、この旧三江線は自動車交通の普及や沿線住民の減少など環境の変化により、平成30年3月31日に旅客営業を終了し、全線開通後43年をもって廃線となりました。「天空の駅」と呼ばれ地上約20mと高さ日本一の宇都井駅などが、鉄道遺構として残っています。11月には、幻想的なイルミネーションイベントが開催され、多くの人が訪れます。
住所 |
邑智郡邑南町宇都井 |
電話番号 |
0855-87-0221 |