2018年11月20日 公開
近ごろ人気が高まってきている「日本ワイン」。実は島根県にも、地元産のブドウを使ってワイン造りを行うワイナリーが3軒あることをご存知ですか?
出雲市の「島根ワイナリー」をはじめ、雲南市の「ワイナリー奥出雲葡萄園」、大田市の「石見ワイナリー」。それぞれの風土を活かした島根県産ワインの魅力と、各ワイナリーの特徴や楽しみ方をピックアップします!
まずは出雲市にある「島根ワイナリー」。JR出雲市駅から車で20分、出雲大社からは車で5分の場所にあり、県内外から多くの観光客が訪れる人気スポットです。
縁結びの聖地・出雲大社周辺は、全国でも有数のハウスぶどうの名産地。島根ワイナリーは、良質な地元産のぶどうを活かそうと昭和61年に創設された島根県で最も歴史のあるワイナリーです。
敷地内にはワイン醸造館、ショップ、バーベキューハウス、カフェなど、見どころがいっぱい。無料でワインやグレープドリンクの試飲ができるほか、県内の特産品を取り揃えたお土産コーナーや、島根和牛のランチも人気。家族みんなで楽しめる観光ワイナリーです。
ワインの無料試飲コーナー
メイン施設「試飲即売館バッカス」では、常時8~10種類のワインを無料で試飲することができます。自分でカップに注ぐスタイルで、ワイン通でなくても気軽に楽しめるウェルカムな雰囲気。定番商品はもちろん、その時期おすすめの季節限定ワインや新商品が並びます。お子様にはアルコールの入っていないグレープドリンクが喜ばれています!
ワインを使用したケーキやゼリーなどのお菓子をはじめ、特産品が豊富に揃う
試飲を楽しんだ後は、同じフロアでお土産を色々見てみましょう。約40種にも及ぶワインをはじめ、県内の各地域から厳選したおつまみ、スイーツなどの特産品が並びます。ここでしか買えないワインを使ったオリジナルスイーツや、ワインソルトなどの調味料もおすすめです!
しまね和牛サーロイン。ワインがお肉の美味しさを際立たせてくれる
ワイナリー内の「バーベキューハウス シャトー弥山」では、最高級「しまね和牛」をバーベキュースタイルで味わうことができます。
しまね和牛は島根県内で生産肥育された黒毛和牛で、きめ細やかな霜降りと深いコクが特徴。その肉質は神戸牛や松坂牛に並ぶほど。畜産農家の減少に伴い希少になりつつあり、地元でも限られたお店でしか提供されていません。「島根に来たならしまね和牛を食べておきたい!」という方におすすめです。
とても広々とした店内で家族や友人と賑やかにランチ・ディナーを楽しめる
スタッフにおすすめを聞きながら試飲できる
ワイン愛好家の方は、試飲即売館フロアの一画に2017年にオープンした「ワインバル バッカス」へどうぞ。ここでは日本ワインコンクール2018で銀賞を受賞した「縁結」をはじめ、無料試飲では提供されないスペシャルシリーズ以上の本格派ワインを有料(60mlグラスで300円~)で試飲できます。
おすすめの「縁結スパークリングワイン デラウェア」、「清酒酵母仕込 甲州」、「横田シャルドネ2017」
窓際にカウンター席のみの落ち着いた大人の空間で、スタッフにそれぞれのワインの特徴などを聞きながらじっくりお気に入りの味を見つけてください。
ハム盛り合わせ、スモークミックスナッツなど、ワインに合うおつまみも
このほか施設内のワイン醸造館では無料で工場見学ができます。ビン詰めからラベル貼り、段ボールに詰めるところまでワイン造りの工程を見ることができます。予約不要なので興味がある方は気軽に覗いてみましょう。
〒699-0733 島根県出雲市大社町菱根264-2 [MAP]
TEL:0853-53-5577
【営業時間】[試飲即売館バッカス]10:00~17:00
[バーベキューハウス シャトー弥山]
11:00~17:30(土日祝は18:30まで)
≫現在の営業状況について(2022.12.01)
【定休日】なし
【関連リンク】≫ 島根ワイナリー 公式ホームページ
島根ワイナリーの周辺スポット
60年ぶりの遷宮を終えた荘厳な御本殿
島根ワイナリーから西へ約2キロ(車で5分)にある出雲大社は、人の縁や仕事の縁など様々な「縁結び」にご利益があると言われています。門前町の神門通りには「出雲そば」や「出雲ぜんざい」など、島根の名物を楽しめるお店が軒を連ねます。
島根ワイナリーと出雲大社正門前を結ぶ路線バスが、2時間ごとに運行されているのでアクセスも簡単です。
島根県出雲市大社町杵築195 [MAP]
TEL:0853-53-3100
【参拝時間】[3月~10月]6:00~20:00 / [11月~2月]6:30~20:00
≫コロナ禍における参拝について(2023.04.01)
【関連リンク】≫ 出雲大社 公式ホームページ
さんかく屋根に突き出た煙突。絵本に出てきそうな雰囲気のゲストハウス
次は出雲縁結び空港から車で30分、雲南市木次町の森の中にある「ワイナリー奥出雲葡萄園」。風土に根ざしたスローライフを実践し、自然と食を大切にする共通理念を掲げた農園や店舗が集まる「食の杜(もり)」の中にあるワイナリーです。
「自然との共生」をポリシーとし、土地の生態系に配慮したぶどう栽培を行い、食事に合う本格派ワインを年間約5万本製造しています。
ゲストハウスからは眼下に広がるぶどう畑を見ることができる
敷地に足を踏み入れると、美しい落葉樹や草花に囲まれ、思わず深呼吸したくなるほど気持ちの良い環境。ゲストハウスには、自社ワインなどを扱うショップ、地元の旬の食材を使った料理が楽しめるレストラン、ワイン工場があり、地下はワイン貯蔵庫とギャラリーになっています。
人の手だけで丁寧に栽培されたぶどう。
毎年秋に行われるシャルドネ収穫イベントには、子供から大人まで多くの葡萄園ファンが参加します。県外はもちろん、海外からの参加者も!たくさんの人に愛されているワイナリーです。
こぢんまりとした、あたたかい雰囲気のレストラン
ゲストハウス1階の「杜(もり)のレストラン」では、地元島根や奥出雲町の旬の食材を使ったプレートランチやコース料理が頂けます。窓の外に広がる奥出雲の自然を眺めながら、ここで造られたワインと一緒に食事を楽しむのは贅沢なひととき。
木次乳業のチーズと自社ワインを使ったこだわりの「チーズフォンデュ」(期間限定)
グラスワインと一緒にピザやパスタ、スイーツなども楽しめる。ペット同伴可
さらに、ゲストハウスの庭に2017年にオープンした「庭カフェ」もおすすめ。ピザやスキレットパンケーキなど、ワインにも合うカジュアルなメニューが揃います。材料には地元産の放牧牛の牛乳や卵が使われており、カフェといえどもその味は本格的。テラス席で頂くからさらに美味しい!
一番人気のマルゲリータ。地元企業・木次乳業のモッツァレラチーズがたっぷり
庭カフェはワイナリーのショップで購入したボトルワインの持ち込みも可能です。ワイン以外にもコーヒーやぶどうジュース、ブラウンスイス牛のソフトクリームなどカフェメニューも充実しており、自然の中でちょっと一息ついたり、お子様やペットとのんびりするのにぴったりな場所です。
奥出雲葡萄園のワイン「杜のワイン メルロ」、「杜のワイン シャルドネ」
ワインやお土産の購入ができるゲストハウス1階のショップ。自社ワインのほか、木次乳業のチーズや地元の特産品など、ワインに合うこだわりのお土産も販売されています。レジ横にはワインの試飲カウンターもあり、「杜のワイン」(赤・白)は無料で、その他「シャルドネ」「メルロ」なども100円で試飲が可能です。
奥出雲葡萄園のワインと選りすぐりの特産品がセットになったギフトも販売
そのほかスタッフが旅先で見つけた美味しいモノを仕入れることも!食と農を大切にするワイナリーの理念に共鳴する品質の良い商品ばかりなので、贈り物にも喜ばれそうです。
ワインの一部は樽で熟成される。樽の香りがワインに移り、より深い香りと味わいになる
ゲストハウスには地下があり、樽貯蔵室とギャラリースペースになっています。階段を下り、地下に足を踏み入れると熟成中のワインと樽の香りがふわりと漂います。貯蔵室には入れませんが、窓ごしに中を覗くことができます。
ギャラリー展示(島根県佐田町・須佐神社にまつわる記録の写真展)
ギャラリーは地元アーティストを中心とした作家の作品発表の場となっています。展示されるのは絵画や写真、工芸作品など様々で、2~3週間ごとに展示内容が変わるので、行く度に新しい芸術に出会えます。
ワインを味わい、食をたのしみ、自然に癒され、さらに芸術にも触れることができる奥出雲葡萄園。“ワインから、いくつもの素晴らしい「対話」が生まれる”という、ワイナリーの願いが詰まった場所です。日常を忘れて豊かなひとときを過ごしてください。
島根県雲南市木次町寺領 2273-1 [MAP]
TEL:0854-42-3480
【営業時間】ショップ 10:00~17:00、庭カフェ 10:00~16:30
【定休日】火曜(祝日の場合はその翌日)
【関連リンク】≫ ワイナリー奥出雲葡萄園 公式ホームページ
ワイナリー奥出雲葡萄園の周辺スポット
奥出雲葡萄園のすぐ近くに店舗を構える「杜のパン屋」
近くには国産小麦や天然酵母を使ったパンを製造販売する「杜のパン屋」や、国産丸大豆100%の手作り豆腐を造る「豆腐工房白うさぎ」など、こだわりの食品を提供するお店があります。
奥出雲葡萄園と共に「食と農」にスポットを当てた旅を計画してみてはいかがでしょうか。日々のライフスタイルや食生活に向き合うきっかけになるはずです。
島根県雲南市木次町寺領2954-2 [MAP] TEL:0854-42-3656
【関連リンク】≫ 杜のパン屋(うんなん旅ネット)
島根県雲南市木次町寺領2959-2 [MAP] TEL:0854-42-3343
島根県雲南市木次町寺領2957-6 [MAP] TEL:0854-42-0238
ヨーロッパの山小屋を思わせる素敵な雰囲気
大田市の国立公園「三瓶山」は6つの連峰からなり、主峰の男三瓶山は標高1126m。登山、トレッキング、キャンプ、カヌーなど多彩なアクティビティーを楽しめる、島根を代表するアウトドアスポットです。
三瓶山「東の原」の麓、2018年4月にオープンした「石見ワイナリー」では自社農園でのぶどう栽培、ワインの醸造・販売が行われています。なんと、国立公園の中にワイナリーができたのは日本初!もともとレストハウスだった建物が改装されていて、ロケーションも抜群です。
極力農薬を使わず、ぶどうを栽培する自社農園
三瓶山のように標高の高い場所は高品質なぶどうの栽培にぴったりの環境。ワイナリーの近くには4.7ヘクタールの広大な農園があり、ワインの原料となる「シャルドネ」、「メルロー」、日本品種の「北天の雫」など5種類のぶどうが栽培され、順次収穫が行われています。
初収穫を迎えた「北天の雫」は糖度21.5のとても良い出来
初年度(2017年)は青森県と山梨県産のぶどうを仕入れワインが造られましたが、2018年秋には自社農園で採れたぶどうを使ってファーストワインが醸造されました。
ワイナリーのオープンと合わせ大切に育てられてきたぶどう畑も順調に成長し、2019年秋からは本格的に三瓶産ぶどうによるワインの醸造・販売が始まる予定です。
石見ワイナリーのワイン。右から「三瓶」(赤)、「慶」(ロゼ)、「凛」(りんご)
2018年11月現在、石見ワイナリーでは自社の醸造所で造った3種類(赤、ロゼ、りんご)のワインを販売中です。ワイナリーのショップには試飲カウンターもあり、じっくりテイスティングしてから購入することができます。
予めレジで購入した試飲カードを機械に入れ、ワインの種類と量を選ぶ仕組み
試飲料金は量によって異なり、15ml(100円)、30ml(200円)、45ml(300円)。海外から取り寄せたという試飲用のマシンは、ワインが空気に触れない仕組みになっており、いつでも開封時の味わいをテイスティングできます。
右から赤、ロゼ、りんご。10mlずつ3種類試飲すれば300円
カフェスペースの椅子に腰掛け、外を眺めながらじっくり試飲。感想を語り合うのも楽しい
自社農園でぶどうが採れ始めているので、今後はワインの種類も随時増えていく予定。三瓶産のワインが島根県の新たな特産品として根付いていくのが楽しみです!
品揃えから陳列までこだわりが詰まったショップ
お洒落なグローサリーストアのような雰囲気のショップは「ワインに合うもの」にこだわった品揃えで、おつまみやパスタソース、スイーツなどが種類豊富に揃っています。支配人が自らが口にし、納得したものだけを厳選。地元の人でも知らない逸品が見つかるかもしれません。
島根県邑南町で地元産の牛乳を使い手作りされるフレッシュチーズやジェノベーゼソース
島根の美味しい特産品も買えるので、三瓶山に観光に来た際にお土産を買いに立ち寄るのもおすすめです。また、ショップでは石見ワイナリーで醸造したロゼを使用したワインソフトクリームも頂けます。定番のバニラも人気です。晴れた日はテラス席で自然を眺めながら休憩するのも良いですね。
醸造日は社員総出で葡萄の処理が行われる
ショップがあるフロアからは、ガラス越しにワイン醸造室を無料で見学することができます。石見ワイナリーのホームページ内「ブログ」に、醸造予定日が掲載されることもあるので、醸造工程を見たい人はチェックしてみてください。
標高まで10分間の空中散歩。大パノラマを堪能できる観光リフト
石見ワイナリーは三瓶山東の原登山口のすぐ近くにあるので、登山に来たついでなどで気軽に立ち寄ることができます。隣には長さ850mの観光リフトがあり、三瓶の雄大な景色が眺められるアクティビティとして人気です。
三瓶の新たな観光拠点として、ワイン愛好家だけではなく子供たちや家族連れにも幅広く楽しんでもらえる施設づくりを目指している石見ワイナリー。レストランやグランピング施設の新設計画もあり、さらなる人気スポットになりそうです!
「三瓶で世界に名の通るワインを作る」というビジョンのもと進化を続ける注目のワイナリーに今後も目が離せません。
島根県大田市三瓶町志学口1640-2 [MAP]
TEL:0854-83-9103(醸造所・販売所)
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】なし(冬期不定休あり)
【関連リンク】≫ 石見ワイナリー 公式ホームページ
石見ワイナリーの周辺スポット
大森町は「伝統的建造物群保存地区」。昔にタイムスリップしたような体験ができる
石見ワイナリーから車で30分のところにある石見銀山は、2007年に世界遺産登録された銀採掘の産業遺跡です。江戸時代に銀で栄えた大森町は、当時の面影を残す風情ある町並み。古民家を改装したカフェや手仕事のお店などが並びます。
石見銀山の坑道跡である「龍源寺間歩」には実際に入ることができます。観光をより楽しむため、まずは「石見銀山世界遺産センター」で事前知識を得るのがおすすめです。
島根県大田市大森町イ1597-3 [MAP]
TEL:0854-89-0183
【展示室観覧時間】9:00~17:00(最終受付16:30)※3月~11月は30分延長
【休館日】毎月最終火曜・年末年始 ※その他、臨時休館あり
【関連リンク】≫ 石見銀山 世界遺産センター 公式ホームページ
東西に長く、日照時間など気候風土も地域ごとに異なる島根県。出雲市・雲南市・大田市、それぞれの土地で造られたワインには、地域ごとの個性が詰まっています。ワイナリーへ足を運び、ワインを通して楽しく美味しく島根の風土を味わってみてください。