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職人の技とデザインの魅力を体感する、暮らしに溶け込む島根の手仕事

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2022年03月30日 公開

丁寧な作りで洗練された美しい伝統工芸品が数多くある島根県。先人の知恵と細やかな技法は、職人たちによって現代に受け継がれ守られてきました。伝統工芸は敷居が高く近寄りがたいと感じる方も多いかもしれませんが、実際に体験することで工芸の魅力をより身近に体感できます。長い歴史と職人の手のなせる最高の技に触れ、旅の思い出に自分だけのオリジナル作品を作ってみませんか。

藍染め

天野紺屋(安来市)

天野紺屋

天野紺屋

暮らしに寄り添う伝統の藍染め

安来市広瀬町は、かつて絣織りの盛んな町でした。広瀬で織られていたものを「広瀬絣(ひろせがすり)」とよび、代々受け継がれてきた絣の染色技術で「綿」「麻」「絹」の糸を染めている「天野紺屋」は、150 年以上の歴史を誇ります。広瀬町で唯一残っている紺屋(藍染屋)で、藍染めは染める回数によって濃淡が生まれ、ほのかに移り変わるグラデーションが藍色の美しさを優しく表現しています。糸染め以外にも服の染織や絣織り、生活雑貨などを製作。工房の長屋の暖簾をくぐると、カジュアルで生活に溶け込むような藍染めの雑貨が数多く並び、お土産にも人気です。工房で楽しめる藍染め体験で、自分だけのお気に入りの青を見つけてみませんか。

天野紺屋

〒692-0404 安来市広瀬町広瀬968 TEL:0854-32-3384
【営業時間】10:00~18:00(体験時間/10:00〜12:00) 【定休日】不定休
【体験内容】藍染教室 【開催期間】年中
【料金】手ぬぐい:2,500円、Tシャツ子供用:3,500円、Tシャツ大人用:4,000円、ストール:5,000円(シルク、麻、綿、レーヨン等、約10種類)
※持ち込み可。1,200円/100g(最低体験料2,000円~)
【予約について】要予約 *2名様~
【詳細情報】≫公式サイト

八雲塗

八雲塗 やま本(松江市)

八雲塗やま本

八雲塗やま本

独自の技法「八雲塗」で新しい作品を彩る

宍道湖に架かる松江大橋の北側に位置する昔ながらの風情が残る松江市末次本町に、「八雲塗」を継承し多彩な作品を作り続けている創業明治23年の「八雲塗やま本」があります。八雲塗とは、色漆で絵柄を描き、その上に塗り重ねた透漆が、使うほどに透明度を増していき、色鮮やかに発色していく独自の技法。若い職人の感性を活かし新しい作品に挑み続けている「山本漆器店」は、愛用品に絵付けをオーダーするコアなファンもいるほど。店舗の奥にある工房では、八雲塗職人の技法を見学でき、大人の塗り絵感覚で楽しめる絵付け体験もできます。店内にはかわいい器や箸、鏡など日常使いに重宝しそうな作品も販売。吹きガラスの八雲びいどろは女性客に人気です。

八雲塗 やま本

〒690-0843 松江市未次本町45 TEL:0852-23-2525
【営業時間】10:00~19:00(体験/10:00~12:00、13:00~15:00 ※日曜日・祝日以外)
【定休日】1月1日~3日
【体験内容】漆絵・絵付け体験 【開催期間】年中
【料金】箸:1,650円、稲田姫之鏡:1,650円、コンパクト:2,200円、御縁鏡:3,300円、名刺入・小物入:3,850円、写真立:2,200円、リングペンダント:2,750円、茶筒:3,850円
その他の器は要相談。(指導料1,100円がかかる場合もあり)
【予約について】2日前までの要予約 *1日1組、5名様まで
【詳細情報】≫公式サイト

組子細工

舟木木工所(雲南市)

木の個性や遊び心が調和された組子細工

雲南市加茂町に、飛鳥時代から伝わる「組子」の技法で建具や家具などを製作している「舟木木工所」があります。「組子」とは、釘を使わず木片を組み合わせ幾何学文様を作り出す木工の技法。「現代の名工」のひとりである木製建具職人 舟木清さんは、緻密に計算された木片を組み合わせながら細やかな文様をはじめとする温かみのあるデザインで日常を彩る作品を製作しています。また、若手や女性職人が中心となり、組子細工を気軽に体験できる製作キット「くみこころ」の販売や、組子のアクセサリーブランド「kino:el」の立ち上げなど、新しい発想で組子の可能性に挑戦し続けています。工房では、コースターや置き飾りなど組子細工の体験が楽しめます。

舟木木工所

〒699-1122 雲南市加茂町三代525 TEL:0854-49-7301
【営業時間】9:00~17:00 【定休日】土曜日、日曜日、祝日
【体験内容】コースター、置き飾り製作体験 ※その他、要問い合わせ 【開催期間】年中(希望により)
【料金】組子細工体験:2,500円~(税抜)※体験内容で異なります。
【予約について】要予約
【詳細情報】≫公式サイト

神楽面

小林工房(大田市)

小林工房

小林工房

伝統芸能「石見神楽」を守る優れた職人の技

石見地方の伝統芸能「石見神楽」が盛んな大田市温泉津町に、石見神楽面の技法を継承する「小林工房」があります。蔵を改修した工房で、神楽面の製造や古面の修復・復元などを行なっています。工房ギャラリーには、ひときわ目を引く神楽面や飾り面がずらり。面は、一つ一つ手漉きで作られる浜田市三隅町の「石州和紙」を使用し、原料の植物繊維の優れた特質により軽くて丈夫な面ができます。先人たちの技術や知恵を活かし、神楽面の技法を広く発展させるため新たな造形作品にも挑戦しています。工房では、実際に使用している石州和紙の面に絵付け体験ができます。体験後に、面をつけて舞う石見神楽を間近で見ると、より深く「石見神楽」の世界に魅了されます。

島根県伝統工芸品石見神楽面 小林工房

〒699-2511 大田市温泉津町小浜イ308-2 TEL:0855-65-2565
【営業時間】月~土/9:00~18:00、日/9:00~17:00 【定休日】不定休
【体験内容】石見神楽面絵付け体験 【開催期間】年中
【料金】8,500円/1面
【予約について】要予約 *未就学児の方は保護者同伴の上、可
【詳細情報】≫公式サイト

織物

やさか村ワタブンアートファブリック(浜田市)

やさかワタブンアートファブリック

やさかワタブンアートファブリック

手織りから生まれる人と地域の繋がり

桑畑が広がり養蚕で栄えていた浜田市弥栄町。静かな山あいで織物業を営む「やさか村ワタブンアートファブリック」は、元々西陣織の工場でしたが、2013年に保湿成分「セリシン」を多く含むキビソを使ったタオルの製造業に転身。キビソ※(生皮芋)は繭の一番外側の部分で、蚕を守る役割を担い硬く荒削りなため織物には不向きでした。そこで手織りの技術を生かし、肌の乾燥や痒みで悩む地域のお年寄りのために試行錯誤を繰り返し、保湿に特化した浴用タオル「キビソ肌友だち」が完成。今では赤ちゃんからお年寄りまで安心して使っていただける商品として多くの方に愛用されています。

気楽に楽しめる手織り体験では、キビソタオルや色鮮やかな本真綿(正絹)のランチョンマット、コースターも作れます。ミニコーナーでは職人手織りの本真綿のマフラーや雑貨もあり、お土産にもぴったり。
※キビソとは、蚕が一番元気な最初に吐き出す糸で、一つの繭から僅か4%しか取れない貴重な天然素材です。

やさか村ワタブンアートファブリック

〒697-1122 浜田市弥栄町木都賀イ514-1 TEL:0855-48-2436
【営業時間】9:00~16:00 【定休日】土曜日、日曜日、祝日、お盆、お正月
【体験内容】機織り体験 【開催期間】概ね3月~11月
【料金】機織り体験:キビソタオル(80㎝)4,500 円、本真綿ランチョンマット(約38×20㎝)2 枚 3,500 円
※キビソを使用するのはタオルのみ ※その他、要問い合わせ
【予約について】前日までのお電話にて要予約
【詳細情報】≫公式サイト

陶芸

焼火窯(隠岐・西ノ島)

焼火窯

焼火窯

長年培った技と隠岐の赤土が生みだす陶芸

島根県北東の日本海に浮かぶ隠岐諸島は「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」に認定され、美しい景観や地質学的に価値のある自然遺産が魅力の島です。4つの有人島があり、その内のひとつ「西ノ島町」には、隠岐の赤土を使った焼き物を製作している「焼火窯」があります。焼き物は、隠岐の赤土を使用し、裏杉や隠岐の樹木・海藻を灰にして作った釉薬などを掛けて1200度以上の窯で焼き上げます。赤土の色が釉薬に反応し独特の色合いが生まれ、自然の恵みを受けた優しい作品が暮らしにすっと溶け込みます。その他にも、隠岐の赤土で染める土染めの作品も製作し、土染体験もできます。体験をした後は、併設された「茶房&ギャラリー鬼板」で、お茶や珈琲を飲みながらほっこりひと休み。

焼火窯(たくひがま)

〒684-0303 隠岐郡西ノ島町美田973 TEL:08514-6-1151
【営業時間】9:00~17:00(12:00~13:00は昼休憩)【定休日】火曜日
【体験内容】陶芸・土染体験 【開催期間】年中
【料金】電動ろくろ(フリーカップ、茶碗など2点):5,500円、手びねり・タタラ作り(湯呑み、一輪挿しなど2点):3,300円、絵付け体験(取り皿サイズの皿2枚):3,300円、土染体験(手ぬぐいサイズ):3,300円
【予約について】要予約 *2名様より受付
【詳細情報】≫公式サイト

島根県には焼き物・器作りに歴史があり、まだまだ数多くの窯元があります。ぜひ訪れてみてください。

【関連記事】
窯元めぐりで楽しもう!島根の焼き物の魅力 前編

自然環境や風土に恵まれ、豊かな工芸の文化が育まれる島根県。地域に根付く伝統的な手仕事が今もなお、各地で受け継がれています。… 続きを読む≫

和紙

安部榮四郎記念館(松江市)

出雲民藝紙工房

安部榮四郎記念館

素朴で美しく彩り豊かな「出雲民藝紙」

山間部の小さな集落にある松江市八雲町で、人間国宝・安部榮四郎が生涯をかけて作り上げた和紙「出雲民藝紙」。水の動きを生かして繊維を漉き込んだ漉き模様紙、和紙の原料である「楮・雁皮・三椏」の植物繊維の特徴を活かした生漉紙など、素材や技法により生み出された多彩な和紙が魅力です。安部榮四郎の技術を継承し続けている「出雲民藝紙工房」では、その歴史ある和紙作りの工程を見学することが可能。また、「安部榮四郎記念館」では、出雲民藝紙に関する資料や民藝作家の作品の数々を展示しています。出雲民藝紙の魅力をもっと知りたい方には手すき和紙体験がおすすめ。シンプルなものからかわいい模様の和紙を使ったハガキやうちわ、三角染めのトレー、だるま、着せ替えライトなどが作れます。色とりどりの和紙や地元作家の作品などお土産品も要チェック。

安部榮四郎記念館

〒690-2102 松江市八雲町東岩坂1754 TEL:0852-54-1745
【営業時間】9:00~16:30 【定休日】火曜日、年末年始、臨時休館あり
【体験内容】紙漉き体験、うちわ作り、だるま作り、トレー作り、照明作り等
【料金】入館料/大人 500円、大高生 300円、中小生 200円
体験料/手すき和紙体験:ハガキ2枚またはA4判1枚 500円、証書・A3サイズ 800円
※その他、要問い合わせ
【予約について】前日までの要予約
【詳細情報】≫公式サイト

石州和紙会館(浜田市)

和紙作りの技を守り続ける「石州和紙」の里

「紙漉き」に欠かせない美しい水と自然に恵まれた浜田市三隅町は、1300 年前から伝わる「紙漉き」の技術と技法が受け継がれてきた石州和紙の里。丈夫で美しい「石州和紙」は国の「伝統的工芸品」に指定され、石見地方に古くから伝わる伝統芸能「石見神楽」の面や大蛇の胴体にも使用されています。また、石州和紙のなかには伝統的な技法で漉く「石州半紙(せきしゅうばんし)」も含まれており、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。郷土に根ざし手漉き和紙の技を継承しているのは4つの工房のみ。石州和紙の歴史や貴重な資料が展示されている「石州和紙会館」では、紙漉き体験もあり石州和紙の魅力を楽しく学べます。ロビーには、和紙の封筒や便せん、小物入れ、アクセサリーなど和紙を使ったお土産品コーナーもあり来館者に喜ばれています。

石州和紙会館

〒699-3225 浜田市三隅町古市場589 TEL:0855-32-4170
【営業時間】9:00~17:00 【定休日】月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始
【体験内容】紙漉き体験
【料金】入館料/無料
体験料/紙漉き体験:はがき判(2枚)550円、流し漉きA3判(1枚)1,320円、色紙判(2枚)1,650円、賞状A3判(1枚)1,650円
【予約について】要予約 *10名以上の場合は2週間前までにご予約下さい。
【詳細情報】≫公式サイト

 

 

\ここもおすすめ/

島根らしい自然に囲まれた中で、地元の伝統文化に触れ合いつつ、おいしいご当地グルメが楽しめる施設や、日本一の登り窯を間近に見ることができる施設など、他にはないここだけの観光スポットをご紹介!

出雲かんべの里(松江市)

工芸・民話・自然に触れて楽しむ体験型施設

松江市大庭町にある「出雲かんべの里」は、工芸作家の工房がある「工芸館」、出雲地方の民話を紹介する「民話館」、様々な植物や昆虫が生息する「自然の森」で構成されています。工芸館は、木工・機織り・籐工芸・陶芸作家の工房があり、籐工芸は「松江藩籐細工」として「島根県ふるさと伝統工芸品」に指定されています。各工房では作品展示や工房の見学、作家さんが直接指導してくれる “ものづくり体験” が楽しめます。館内のセレクトショップ「いろは舎」では、山陰地方の工芸作家の作品が展示されており購入も可能。見学や体験の後は、カフェ「丘の上珈琲」や田舎料理が味わえる「かんべ茶屋」でゆっくり過ごすのもおすすめです。


出雲かんべの里

〒690-0033 松江市大庭町1614 TEL:0852-28-0040
【営業時間】9:00~17:00 【定休日】火曜日
【体験内容】機織り体験、木工体験、陶芸体験
【料金】機織り体験/500円~1,000円、木工体験/700円~1,200円、陶芸体験/2,000円
【予約について】要予約
【詳細情報】≫公式サイト


温泉津やきものの里 やきもの館(大田市)

日本最大級の登り窯があるやきもの館

石見銀山の銀の出入港として栄えた大田市温泉津町。湯治場として人々の暮らしを支えてきた温泉津温泉街の近くに、日本最大級といわれる2基の登り窯が象徴的な「温泉津 やきものの里・やきもの館」があります。やきもの館では、温泉津焼きの資料の展示や窯元の作品などの展示販売、陶芸家の直接指導のもと、手びねり体験や絵付け体験など自由な発想でオリジナル作品も作れます。「やきもの館」近くには徒歩で回れる3つの窯元があり、温泉津焼きの魅力を深く知ることができる窯元めぐりもおすすめです。


温泉津やきものの里 やきもの館

〒699-2501 大田市温泉津町温泉津イ22-2 TEL:0855-65-4139
【営業時間】9:00~17:00 ※創作体験は16:00まで受付 【定休日】水曜日、年末年始、臨時休館あり
【体験内容】手びねり体験・絵付け体験
【料金】入館料/無料
体験料/手びねり体験コース:一般 2,000円、中高生 1,700円、小学生以下 1,400円 絵付け体験コース:豆皿・各種 1,200円~
【予約について】前日までの要予約 *時期や予約状況により、希望に沿えない場合あり
【詳細情報】≫公式サイト


 

 

【島根県ふるさと伝統工芸品】

島根県では、代々受け継がれる伝統的な技術や技法、職人たちの手仕事によって作り上げられる伝統工芸品の振興を図るため、「島根県ふるさと伝統工芸品」の指定を行っています。
「島根県ふるさと伝統工芸品」に指定された伝統工芸品は、長い年月を経て地域の風土と歴史の中で育まれ受け継がれてきました。県内各地に数多く存在する、優れた伝統工芸品をご紹介します。

≫詳しくはこちら(島根県公式サイト)

島根県の伝統工芸と食材を紹介するサイト「いいものしまね しまねの伝統工芸と食品」もぜひご覧ください。

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