2022年04月01日 公開
江戸から明治にかけて木綿の集散地として栄えた出雲市平田地域。のちに「木綿街道」と称される一帯には、今も切妻妻入塗屋造の家屋や白壁の土蔵が軒を連ね、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。
古い街並み、風格のある老舗や、歴史ある神社などが残る一方、最近では新たなスポットも続々誕生。町全体がフォトジェニックで溢れている木綿街道で、見て触れて楽しみましょう!
出雲空港から車で15分、山陰道宍道I.Cから車で約20分。松江市内や出雲大社、玉造温泉からは約30分程度の場所にあります。
出雲大社や松江市からは、山陰唯一のローカル私鉄「一畑電車」で、窓から見える宍道湖畔や田園風景を堪能しつつ、木綿街道に向かうのもおすすめ。最寄りの「雲州平田駅」から徒歩約10分です。
車で訪れる場合は、木綿街道から徒歩約4分の場所にある「いずも縁結び温泉 ゆらり」向かい側の大駐車場に停めて、散策をスタートしましょう。駐車場の詳細はこちら≫
日本海と宍道湖に挟まれた平田地域は、水路を利用した物資の流通で古くから栄えてきた市場町。木綿の生産が盛んになった江戸時代には、「雲州平田木綿」の集積地として賑わい、木綿業を中心とした商人らによる文化の全盛時代を迎えます。今も残る商家には、材木や塗り、内装などにこだわっている家が多く、当時の豊かさを感じさせます。船着き場などに使われていた「かけだし」や物資の搬出入のために作られた「小路」も残っています。
伝統文化と風情の残る町並みの魅力を発信しようと、約20年前に「木綿街道」と名付けられました。現在は、創業100年を超える老舗店が営みを続けているだけでなく、古い家屋を再利用してカフェやショップ、ビール醸造所が生まれるなどさまざまなプロジェクトが進行。今と昔が共存する、魅力満載の町をめぐり歩いてみませんか。
素敵なモノやコトが集まっている木綿街道。まずは、観光案内所を兼ねている木綿街道交流館に向かってみましょう。
江戸時代「外科御免屋敷」と称され、昭和初期まで代々開業してきた外科の名門医家、旧長崎邸を復元した建物。木綿街道の観光案内所や展示コーナーなどを備えており、観光案内ガイドの受付もしています。最初に立ち寄って、情報収集とまち歩きに便利なマップはここでゲット!体験メニューをまとめた「木綿街道探訪帖」も手に入るので、蔵見学やものづくり体験などに興味がある人はぜひ(要事前予約体験あり)。体験メニューの一つ、「機織体験」は、ここ交流館で楽しめます。また、気軽に立ち寄れる「ごはん屋 綿の花」も併設。
住所:出雲市平田町841 TEL:0853-62-2631
[営業時間]9:00~17:00 [定休日]火曜(祝日の場合は営業、翌平日休)
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交流館に隣接する本石橋邸は、江戸時代に建てられた当時の大地主の家。外観のなまこ壁は古典的な菱格子(ひしごうし)で、来待石の棟石や破風の下の家紋座、出雲格子ともに威容を誇り、界隈では最も古く格式高い建物です。奥座敷は当時、松江藩主の御成座敷として造られ、随所に飾られた当時の調度品や細やかな造り込みが往時の文化レベルの高さを表しています。全国的にも珍しい煎茶用の茶室もあります。
古風な家屋の佇まいと見事に調和しているのが、枯山水と露地庭園の特徴が融合した、この地方独特の様式の日本庭園「出雲流庭園」。四季折々で風情ある表情を醸し出す見事な庭園は必見です。ガイド付きの入館受付は、交流館で行っています。
住所:出雲市平田町841 TEL:0853-62-2631(木綿街道交流館)
[営業時間]9:00~17:00 [定休日]火曜(祝日の場合は営業、翌平日休)
[入館料(ガイド料含)]一般500円、小中学生200円 ※木綿街道交流館で受付
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良い縁を得るために、時には悪い縁を断ち切ることも大切です。そんな方に足を運んでほしいのが、縁切りの神様「事解男命(コトサカノオノミコト)」を祀る「宇美神社」です。
境内には「縁結び神社」もあり、縁結びスポットとしても人気。悪い縁やめぐり合わせを断ち切った後に、新たな良縁をお祈りすることができます。ここで大切なのが、お参りする順番と、参拝する方向です。まず縁切りを祈願、そのあと本殿を時計回りに回って縁結び神社で新しい縁をお祈りします。間違って反時計回りに縁結び神社を参ると、縁を切ったものと復縁するという事態になるので要注意。境内には、幸せになるといわれる幸神社も。正しい作法で参拝をして、良縁を結びましょう。
縁結びのご利益があるとされる「出雲大社」に行かれる方は、宇美神社でしっかり縁を断ち切ってから参拝するのもおすすめです。
街道内には、伝統の味を守り続ける老舗店や、古い家屋を活用して新たなものづくりに挑むニュースポットが点在。味や文化を体験できる場所も多く、お店の人と気軽に会話できるのも魅力の一つです。
宇美神社のすぐ近くにある、手製本、紙の造形のお店。ハードカバーのノートブックや親指サイズの小さなメモ帳などのほか、細かいモザイクアート、紙の切り抜きなどで造り出したオブジェ、可動式の紙人形など、ユニークなオリジナル作品が数多く並んでいます。
デザインの中心は、紙の「切り抜き」と「嵌め込み」。重ねた紙を切り抜いて互い違いに嵌め変えたり、網目状に切り抜いた紙に別で切った紙を嵌め込んだりして、紙と紙の継ぎ合わせにしかできない独特な風合いが特徴。
吾郷屋では、表紙色の組み合わせやデザインのページ、サイズなどを指定できるセミオーダーの手製本「あなた手帖」も制作。世界に一冊しかないノートブックは、暮らしの質を豊かにしてくれそうです。さらに職人の指導で、オリジナルの背綴じノートを作ることもできます(要予約・有料)。手仕事や紙の魅力に触れてみてはいかがでしょう。
住所:出雲市平田町721 TEL:0853-77-6087
[営業時間]10:00~17:00 [定休日]火・水曜
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明治10年創業の老舗酒蔵。熟練の出雲杜氏が醸し出す酒は、「ヤマサン正宗」の銘柄で知られ、近隣住民はもちろん関西や関東にも数多くのファンがいます。
島根県産米の旨味を十分に生かしたふくよかな酒質はもちろん、趣のある建物にも注目です。店舗兼母屋や旧蔵、検査場などの5棟は国の登録文化財に指定されており、140余年前の創業当時の佇まいを残しています。店舗正面の瓦は「ヤマサン」を表した特注品。往時の豊かさが伺われます。この酒蔵はガイド付きで見学することができ、3種類のお酒の利き酒も可能。酒造り発祥の地と伝わる、出雲の風土を感じられる雫をお試しあれ。
住所:出雲市平田町785 TEL:0853-62-2023
[営業時間]平日8:30~18:30、土日祝9:30~18:00 [定休日]不定休
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創業以来300余年間、地元ブランドの「出西生姜」と砂糖だけで風味豊かな生姜糖を作り続けています。炭火で生姜の絞り汁と砂糖を溶かし、銅製の型に流し込む昔ながらの製法で作られた生姜糖は、ほどよい甘さと辛さが口の中に広がる懐かしく素朴な味わい。旅の疲れをすっと癒してくれるアイテムです。
店では、板状の生姜糖を割ってひと口サイズに包み、パッケージする体験が可能(要予約・有料)。できた商品はそのまま持ち帰ることができるので、お土産にぜひ。
住所:出雲市平田町774 TEL:0853-62-2115
[営業時間]9:00~19:00 [定休日]不定休
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クラフトビールの製造販売を行うブルワリー。ビールは、木綿街道内では、日本酒、醤油に続く醸造商品であり、その名の通り、まさに”第3の醸造所“。出雲の水で仕込んだ麦汁を丁寧に育み、呑み手や料理に寄り添ったクラフトビールに仕上げます。販売しているビールは、香ばしく、おつまみに合う「錨」や、コクと旨みがある「帆」、爽快感ある「びーむ」など5銘柄。店先には栓抜きや樽テーブルがあるので、購入後その場で飲むこともできます。
移転しました。
新住所 〒699-0701 出雲市大社町杵築東463-1(BSKK内)
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木綿街道でガイドとしても活躍する「京呉服たかはし」の店主が描いた作品をポストカードとして販売。街並みや船川、宍道湖などをさまざまな角度やタッチでスケッチした約300種類が並んでいます。店の外には出雲弁のおみくじや木綿の種を販売。立ち寄るだけでほっこりするスポットです。
住所:出雲市平田町820 TEL:0853-62-2631(木綿街道交流館)
※基本は無人です。鍵が開いているときは自由に入ることができます。
古くから市場町として栄えてきた地には、わずか数百メートルの通りに生活必需品の一つである醤油店が3軒もあり、それぞれに違う風味を味わえます。
左下:持ち帰りにも便利なミニボトル 右下:みたらし団子&醤油入りのソフトクリーム
創業100余年の老舗醤油店。隣接する日本酒の醸造元「酒持田本店」から木桶などの道具を譲り受け、分家として醤油醸造を始めました。濃厚な旨味のある再仕込み醤油「羽衣さしみ醤油」を始め、「出西生姜入りのしょうゆ」、「しぼりたて3年生醤油」など多彩なラインナップが並びます。自然熟成で醸造した自社製醤油を使ったスイーツや焼きおにぎりをテイクアウトで楽しめるのも魅力です。
住所:出雲市平田町807 TEL:0853-62-3137
[営業時間]9:00~19:00 [定休日]不定休
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左下:醤油の歴史や種類をレクチャー 右下:利き比べができる醤油テイスティング
明治30年の創業以来、木桶で仕込みから発酵、熟成まで行ったもろみを搾り、旨口の醤油を造り出しています。店舗は江戸時代の建物がそのまま残っています。一度造った醤油を再度木桶で仕込み、計約3年かけて醸造した「再仕込み醤油」は絶品。この醤油に宍道湖のシジミのエキスを絡めたカシューナッツ「醤油まめ」もおつまみに最適です。
住所:出雲市平田町861 TEL:0853-62-2045
[営業時間]9:00~17:00 [定休日]火曜
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左下:レトロかわいい醤油さしは繰り返し使えます 右下:使い切りやすいサイズ展開
ベンガラ色の格子戸と、七宝模様のなまこ壁が目を惹く外観の醸造所は、明治8年開業。うまみが強く、とろみのある「さしみしょう油 神國 たちばな」は、創業以来伝統を受け継がれてきた味です。ロゴ入りの陶器製オリジナル醤油さしや、楊枝入れもレトロ感があって人気。
住所:出雲市平田町884 TEL:0853-62-2034
[営業時間]9:00~19:00 [定休日]日曜
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趣ある昔の家屋の良さを生かした空間、時間を忘れてくつろげるおいしいグルメスポットが集結。ランチからディナー、さまざまなジャンルの味を召し上がれ!
木綿街道の真ん中にある小さなイタリアンレストラン。築100年以上の町家を改装した店内は、アンティーク風のインテリアやドライフラワーが飾られ、ノスタルジックな雰囲気。野菜は出雲産にこだわり、厳選したオリーブオイルや塩などで素材の味を引き出すシンプルな料理が評判で、土日は予約必須の人気店です。
ランチは日替わりで、前菜と、6種類から選べるパスタ、7種類から選べるデザートのセット。旬の野菜がたっぷり入ったパスタは見た目も華やかで、気分も上がりそう。自家製パンや、夜のコース料理(要予約)も好評です。
住所:出雲市平田町814 TEL:0853-27-9424
[営業時間]11:30~15:00(LO14:00)、17:00~22:00(LO21:00)※夜は要予約
[定休日]火曜
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木綿街道交流館内にある食事処。定食や出雲そばなどランチを気軽に楽しむことができます。また、ぜんざいや出雲紅茶など喫茶のみでもご利用いただけます。歩き疲れたら、田舎のおばあちゃんの家のような懐かしい空間で、中庭を眺めながらホッと一息してみてはどうでしょうか。
住所:出雲市平田町841 TEL:0853-62-2631
[営業時間]ランチ 11:00~14:00(要予約・前日まで)カフェ14:00~16:00
[定休日]火曜(祝日の場合は営業)
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レトロな街並みに馴染む二つの宿泊施設。酒蔵や古民家の趣そのままリノベーションした宿泊施設で、心と体をゆったり休めて、エネルギーチャージするのもおすすめです。
旧石橋酒造の築200年超の建物をそのまま生かし、コンセプトの違う6タイプの客室を展開する宿泊施設。部屋の名前には酒蔵で働く人々の役職名が充てられています。酒造りの総責任者「杜氏」の名が冠された部屋では、縁側から石や灯篭を配置した美しい日本庭園を堪能できます。お部屋に備わる石と檜の風呂では、庭を眺めながらの湯浴みも。シアタールームを含め約27畳の奥座敷です。随所に江戸時代の粋が感じられる空間での優雅なひとときは、慌ただしい日常から離れきっとリラックスできるはず。
館内には、石橋酒造で使われていた樽などの道具のほか、地元作家の作品などが飾られており、ものづくりの妙を楽しめるのも魅力。夕食は、隣町の「出西窯」や「ガラス工房IZUMO」の器などで、日本海や宍道湖の魚介を始め、地元食材をコースで味わうことができます。地元、酒持田本店の銘酒を中心とした、各種揃えられた地酒をパートナーに、ゆっくり箸を進めたいものです。地元の方や宿泊しない人も、事前予約で夕食を楽しむことができます。
住所:出雲市平田町新町831-1 TEL:0853-31-9202
[営業時間]7:00~22:00(スタッフ常駐時間)
[定休日]不定休
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築約100年の町屋をリノベーションして生まれ変わった、1日1組限定の宿です。木綿街道の文化、歴史、グルメなど暮らしを感じながら過ごせるのが最大の魅力。一棟丸ごと貸し切りにできるので、周りに気をつかう必要がなく、家族やグループ旅行を検討されている方にもおすすめです。建物は川に面しており、窓辺に広がる風景を眺めながら、静かでゆっくりとした癒しの時間を満喫できます。また、宿から徒歩8分のところには、日帰り温泉施設「いずも縁結び温泉ゆらり」もあるので合わせてお楽しみください。
住所:出雲市平田町808 TEL:0853-62-2631(木綿街道交流館)
※お問合せは、木綿街道交流館で受付ております
[営業時間]9:00〜17:00、火曜日定休
≫詳細はこちら
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白壁の土蔵に、左浅瓦やなまこ壁、出雲格子の連なる美しい町屋が立ち並び、思わず写真が撮りたくなるスポットがたくさん。かつてここで暮らし、働いていた人々の息づかいを感じながら、カメラを片手にあなただけのスポットを見つけてみてください。