2020年07月30日 公開
出雲大社は、60年に1度の平成の大遷宮が完遂しますますご神威が高まりました。日々多くの参拝者が訪れますが、お参りする前に知っておきたい作法や、押さえておきたいポイントがあります。ここでは初めての方でも安心して参拝できるように、最初に知っておきたい基本的な流れなどをご紹介。
出雲大社を参拝したあとは、大社前のにぎやかな神門通りから、周辺のおすすめ観光・グルメスポットをお楽しみください。
出雲大社の参拝については下記リンクをご覧ください。
≫出雲大社 参拝にあたってのお知らせ(公式ホームページ)
出雲大社は「縁結びの神様」として、また「因幡のしろうさぎ神話」で有名な、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)をお祀りしています。
大国主大神は、幾多の困難を越えて国土を開拓された国造りの神様であり、さらにその国土を天照大御神(あまてらすおおみかみ)に譲った国譲り神話でも知られています。出雲大社は、国譲りの代償として造営されたのが起源とされます。
境内には、大国主大神とスセリヒメ神が出雲大社にお鎮まりになられた由緒を紹介する「縁結びの碑」があります。二柱の神は様々な試練を克服して愛を育み、夫婦の契りの盃を交わして永遠のご縁を結ばれました。「縁結びの神様」と呼ばれる由縁はここにあります。縁結びは男女の縁だけでなく、人々を取り巻くあらゆる繋がりのご縁を結ぶものとされ、全国から多くの人々が良縁を求めて出雲大社を訪れます。
様々なお店が軒を連ねる神門(しんもん)通りの突き当たった場所を勢溜(せいだまり)と呼び、ここが出雲大社境内の玄関口に当たります。勢溜の鳥居から参道を通って拝殿、御本殿へ至ります。広い境内には、拝殿や御本殿の他にも出雲大社ならではの、いわれのあるお社や施設がたくさん存在しています。
神門通り入り口に立つ白い大鳥居を一の鳥居として、御本殿に至るまでに石、鋼、鉄、銅とそれぞれ異なる素材でできた四つの鳥居があります。鳥居やしめ縄は神域への入り口を示すもので、私たち人間が住む俗界との区切りとされています。
四つの鳥居をくぐるごとに1つずつ神様に近づきますので、一礼してからくぐりましょう。真ん中は神様の通り道ともいわれますので、左右どちらかの側から入るのがマナーです。
一の鳥居にかかっている扁額(へんがく:鳥居や社殿の正面につけられた額)の大きさは、畳6畳分もあり日本最大級です。
勢溜の二の鳥居をくぐると、そこはいよいよ出雲大社の境内。緑豊かなすがすがしさを感じる聖域です。
境内に入ってすぐ右側に小さな祠があります。これは祓社(はらえのやしろ)といい、神前に至る前にまずここでお参りし、日頃知らぬ間に着いた心身のけがれを祓い清めていただきます。(西の駐車場から入る場合、神楽殿前にも同じように祓社があります。)
二の鳥居から本殿へと続く、木々に囲まれたなだらかな下り参道。全国的には下り坂の参道は珍しいと言われます。
参道右手に浄(きよめ)の池があり、初夏にはカキツバタや紫陽花、ハスが咲いて参拝客の心を和ませてくれます。
参拝の前に手水舎(てみずや)で手と口を清めます。手水舎での作法は次の通りです。
現在は新型コロナウイルス感染予防のため、ひしゃくは使用できませんが、同じ手順でお清めします。
(1)右手で水をくみ左手を清めます。 (2)左手に持ち替えて右手を清めます。 (3)ひしゃくを再度右手に持ち左手で水を受けて口をすすぎます。 (4)もう一度左手を清め、最後にひしゃくを立てて柄の部分を清めます。 (5)ひしゃくを戻します。
四の鳥居をくぐると正面に拝殿がありますので、まずここでお参りします。現在の拝殿は1963年に新築され、大社造と切妻造の折衷様式で戦後最大の木造神社建築といわれています。通常はここで参拝者の御祈祷や、古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)をはじめとした様々な諸祭事が行われています。
出雲大社のお参りの仕方は、一般的な神社と異なり「二礼四拍手一礼」となっています。
(1)二度拝礼して (2)四回柏手を打ち (3)最後にもう一度拝礼します。(境内の全ての社も同様です。)
参拝の時の服装は、目上の方にお会いする時のような気持ちで、なるべく身ぎれいな服装を心がけましょう。特にご祈祷を受ける時など正式参拝の際は、襟付きのシャツやジャケット等、男女ともにフォーマルな服装で臨みましょう。
拝殿の後方に回ると玉垣(たまがき)に囲まれた御本殿の大屋根が見えてきます。御本殿前に立つ八足門(やつあしもん)から御本殿を望みながら参拝します。2008年からの平成の大遷宮で、御本殿の大屋根や千木(ちぎ)などが新装されました。
御本殿は大社造りと呼ばれる日本最古の神社建築様式です。高さは約24m、厚い桧皮(ひわだ)葺きの屋根の上には、長さ7.9mの二組の巨大な千木が交差しています。江戸時代(1744年)に再建されたもので、1952年に国宝に指定されています。正月三が日は八足門が開放されて、御本殿を囲む瑞垣(みずがき)の楼門前まで入ることができます。
御本殿を中心として東側と西側に細長いお社があります。これは出雲大社ならではの独特なお社で、十九社(じゅうくしゃ)とよばれます。毎年旧暦10月は、全国の神々が出雲へお集まりになって留守になるため一般的には神無月と呼ばれますが、出雲地方では神在(かみあり)月と呼びます。十九社はこの時の神々のお宿となるのです。全国の神々にお参りできるとあって、神在月には十九社の前にも行列ができます。
出雲大社では、皇室からの勅使を迎えて開催される大祭礼をはじめ、皇室で新嘗祭(にいなめさい)が行われるのと同じ日に催行される古伝新嘗祭や、福神祭、凉殿祭など年間を通じて多くの祭典・神事が行われています。
特に有名なのが、神在月に全国から八百万の神々をお迎えして執り行われる神在祭です。神迎祭(かみむかえさい)に始まり神等去出祭(からさでさい)まで、例年多くの参拝客でにぎわいます。
御本殿から反時計回りに回って行くと、真後ろには大国主大神の親神でありヤマタノオロチ退治で有名な、スサノオノミコトをお祀りする素鵞社(そがのやしろ)があります。ここは知る人ぞ知る、ご利益の大きい秘密スポットなのです。
素鵞社の背後には、出雲大社を見守る八雲山の岩がせり出しています。八雲山は禁足地であり、一般の人は入ることができない聖域となっています。ここはその聖なる山に触れることができる唯一の場所で、岩に触れると不思議な御力を感じる人もいるそうです。
社の床下には木箱が置いてあり、中には出雲大社の1kmほど西にある稲佐の浜(いなさのはま)から持ち運ばれた砂が入っています。素鵞社で清められた御砂は、撒くと土地を清めるご利益があるといわれています。まず稲佐の浜(詳細 ≫)で砂を採ってここに供え、供えた分量の御砂を替わりにいただいて帰りましょう。
御本殿を囲む玉垣の西側に、ひっそりと本殿西遥拝場があります。御本殿の内部は、中央に心御柱(しんのみはしら)という太柱があり、この心御柱を中心に時計回りに回って御神座に至る、独特な構造になっています。その結果、御本殿内の御神座は実は正面ではなく西を向いているのです。ここは大国主大神の正面に向かってお参りすることができる、また一つの隠れた貴重なスポットなのです。
神楽殿正面の大しめ縄は長さ約13m、重さ5.2tもあり、日本最大級の大きさに圧倒されます。出雲大社では、古くから向かって左方を上位、右方を下位とする習わしがあるため、しめ縄のかけ方が一般的な神社と逆になっていることも特徴的です。
現在のしめ縄は、2018年7月17日に6年ぶりにかけ替えられましたが、島根県飯南町で1年以上の歳月と延べ1000人の町民の手によって作られたものです。
宝物殿には、長い歴史を持つ出雲大社所蔵の貴重な文化財や美術品が展示されています。
国宝「秋野鹿蒔絵手箱」など美術的にも価値の高い数々の品や、かつて高層神殿だったと伝えられる古代出雲大社御本殿の復元模型などが並んでいます。
中でも御本殿前から出土した、古代出雲大社の心御柱は一見の価値があります。太さ1mほどの杉の巨木が3本束ねられ、1本の柱として用いられていたことから、古代には現在の御本殿の2倍の高さ48mあったという伝承が裏付けられたともいわれ、注目されています。
お参りした後はおみくじを引いて運を占ってみたいものですね。ところで出雲大社のおみくじは他の神社と少し異なり、「吉」や「凶」が書かれていません。代わりにその人に必要な心構えや戒めなどが書かれており、それを神様からのメッセージとして受けとめ生きていくことで、よりよい運勢に恵まれるそうです。
引いたおみくじを結ぶ時は境内の木の枝などに結ぶのではなく、決められた場所があるのでそちらに結ぶか、持ち帰って大切に保管しましょう。
お守りは、一般的な家内安全や開運・健康・厄除け・安産などの他、出雲大社らしく縁結びのお守りや縁結びの糸、幸縁ストラップなどたくさんの種類があります。また出雲大社では、ご朱印をいただく場合のご朱印料は決まっていませんので、自分の気持ちで納めましょう。
古くなった御神札やお守りはどうしたらよいか迷うこともあると思いますが、境内にある納め所に納めておけば、お焚き上げをしていただくことができます。遠方の方は郵送でお返しすることも可能です。
御朱印とは、神社やお寺に参拝した証としていただく「神仏とのご縁の記録」です。ここ出雲大社では境内2箇所でそれぞれ1種類ずついただけます。また、「北島國造館」では2種類の御朱印をいただくことができます。出雲大社へお参りし参拝の証としてぜひ御朱印をいただきましょう。
境内にはしろうさぎ神話にちなんだかわいいウサギの石像がたくさん。しろうさぎは大国主大神と八上姫(やかみひめ)の仲を取り持った、縁結びのシンボルとして人気者です。お参りの合間に、1羽1羽表情やポーズが異なるウサギたちを探してみるのも楽しみです。
出雲大社
〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東195
参拝時間:6:00~19:00
( 参拝にあたっての詳細はこちら ≫ 公式サイト )
TEL:0853-53-3100
稲佐の浜は、日本の渚100選にも選ばれた夕日の美しいスポットとして、さらに神在月に全国の神々を迎える場所として有名です。素鵞社に供える砂はここから持っていきます。
平安時代の出雲大社本殿推定復元1/10模型
出雲大社のすぐ東隣に古代出雲歴史博物館があり、ここで出雲大社や古代出雲の歴史について事前に学んでおくと、出雲大社の価値が一層深く感じられます。
発見時、「教科書を書き換える」と評された荒神谷遺跡の358本の銅剣や、1か所からの出土例としては全国一となる加茂岩倉遺跡の39個の銅鐸、そして古の出雲大社巨大本殿の再現模型や、実際に出雲大社境内から出土した巨大な宇豆柱など、国宝419点を含む貴重な文化財と迫力あるスケールの展示物に圧倒されます。
出雲大社正門前にあるご縁横丁には、グルメ・グッズ・お土産・占いの店などがあり、食事や休憩をしたり、買い物をするのにぴったり。コインロッカーもありますので、荷物を預けて身軽にお参りができます。
≫ 出雲大社正門前「ご縁横丁」の詳細情報はこちら
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