2018年08月31日 公開
島根県の松江市と出雲市に囲まれる宍道湖は、周囲は約47kmにおよぶ日本で7番目に大きな湖。
「日本夕陽百選」に選ばれる幻想的な日没の景色が有名ですが、朝の「しじみ漁」や「夜景」など、時間や天候・季節ごとに魅せる風景も素敵です。
今回は夕日だけにとどまらない、宍道湖の魅力やおすすめの観光スポット、また写真撮影のポイントや楽しみ方をご紹介します。
日の出前、朝もやがうっすらと残る宍道湖はとても神秘的で、まるで山水画のように美しく青い世界。早朝の静かな湖岸を歩けば、澄んだ空気感とその雰囲気に心を奪われます。
また、「弁当を忘れても傘を忘れるな」という言葉があるように、雨が多く天気が変わりやすいのも山陰地方の特徴。一見すると、観光や写真撮影には不向きな気候ですが、それも独特の景観を演出してくれる大切な要素の一つです。
穏やかな湖面に浮かぶ水鳥の姿も、宍道湖ではお馴染み。情緒的な風景を演出してくれます。雲が厚く、小雨が降るくらいの天候だと、より雰囲気が増します。
「旅行なのに雨でがっかり…」なんて思わずに、むしろチャンスと思って早起きしてみましょう。晴れた日では見ることのできない感動的な景色を見ることができます。
宍道湖の特徴は汽水湖であること。斐伊川から流れ込む淡水に日本海からの海水が混じり、100種類を超える水の生物が生息すると言われています。中でも「しじみ」は、国内トップクラスの漁獲高を誇ります。
「じょれん」というカゴの付いた長い竿を使う漁の様子は宍道湖の風物詩。穏やかな湖面をゆっくりと進みながら、じょれんを操りしじみを獲る漁師さんの姿はとても絵になります。
汽水湖の宍道湖でしじみが獲れるのは、水深が約4m以下の場所で湖岸に限られます。漁法は舟上から人力でじょれんを扱う「手掻き」、人が湖に浸かる「入り掻き」、船の動力でじょれんを引く「機械掻き」の3種類があります。
この風景を撮影するときのポイントは時間です。しじみ漁が行なわれるのは、早朝から3〜4時間で午前中に制限されているので、お昼を過ぎると見ることはできません。操業時間は季節により異なり、漁がお休みの曜日もあるので、事前に確認しておきましょう。
【操業時間(手掻き)】
[4月~9月]6:00~10:00 / [10月~3月]7:00~11:00
【休漁曜日】
水曜日・土曜日・日曜日
しじみ漁の詳細はこちら
≫ 宍道湖漁業協同組合公式ホームページ
宍道湖大橋から眺める早朝の宍道湖
3種類ある漁法の中でも絵になる「手掻き」は、湖の東端となる松江市の宍道湖大橋周辺で盛んに行なわれてています。漁が始まる午前6~7時頃になると、大橋川から多くの船が入ってきます。
宍道湖と白潟公園
宍道湖大橋の南詰めにある「白潟公園」などから写真を撮影することができます。また、白潟公園は夕日観賞にもおすすめのスポット。方角的に宍道湖に沈む夕日を観賞できるのは橋の南側からですが、北側からの景色も見逃せません。
千鳥南公園と宍道湖
宍道湖大橋の北側にある「千鳥南公園」は、早朝の宍道湖やしじみ漁の風景を楽しむのにぴったりのスポット。松林と遊歩道が続く憩いの場で、松江ゆかりの文豪「小泉八雲」をはじめとする作家の文学碑があります。
宍道湖のしじみ漁と嫁ヶ島
小泉八雲のみならず、芥川龍之介や島崎藤村、志賀直哉など、著名な作家達もこよなく愛したと言われる宍道湖の景色。宍道湖大橋の周辺の公園は一続きになっているので、お気に入りのスポットを探しながら朝の散歩を楽しむのもおすすめです。
また、千鳥南公園と同じく宍道湖大橋の北側にあるのが「松江しんじ湖温泉」。ロケーションを満喫できる眺望バツグンの宿やホテルが立ち並ぶ人気の温泉地です。周辺には気軽に温泉を楽しめる、無料の足湯などもあります。
松江しんじ湖温泉駅の足湯
千鳥南公園から徒歩で約5分ほどにあるのが、松江市と出雲市を結ぶ「一畑電車」の「松江しんじ湖温泉駅」。出雲大社へのアクセスに便利で、最寄りの「出雲大社前駅」までは電車で1時間ほど。こちらも、併設する無料の足湯は「松江しんじ湖温泉」の源泉100%かけ流しです。
〒690-0000 島根県松江市中原町30-2
【営業時間】[足湯]24時間利用可能
【お問い合わせ】TEL:0852-21-2429(松江しんじ湖温泉駅)
【関連リンク】≫ 一畑電車(公式ホームページ)
シェアしたくなる宍道湖の夕日とアート旅。陸から船から魅力を満喫しよう!
国宝「松江城」を中心に、城下町の文化と街並みが残る松江市。別名・水の都とも言われ、ご城下のお堀や大橋川、そして宍道湖と、水辺の豊かなロケーションが広がります。….もっと読む
夕暮れはもちろん、朝の景色も素晴らしい宍道湖。さらに、もう一つの顔が「夜景」です。「日本夕陽百選」に選ばれる絶景も相手は自然。夕日は天候に左右されやすく、いつでも綺麗な夕陽が出るとは限りません。そんな時でも少し時間を置けば美しい夜景を楽しむことができます。
岸公園から眺める宍道湖の夜景
暗くなるにつれて、温泉街の宿や宍道湖大橋の街灯など、街の灯りが湖面に煌めきます。山の上やホテルの最上階から見る華々しい夜景とは一味違う、独特のムードを感じる宍道湖の夜景。「水の都」と称される、松江らしい趣のある景色です。
松江の夏の風物詩「松江水郷祭」
また夜景といえば、毎年夏に開催される「松江水郷祭」。西日本最大級の湖上花火大会で、1万発の煌びやかな花火が宍道湖を彩ります。
夜景の撮影に欠かせないのが三脚です。最近のデジカメであれば「ISO感度」が高く設定できるので、手持ちでも撮影はできますが、ISO感度を上げるほど画質は悪くなるので、3200までの設定がよいでしょう。シャッターを切るときも、セルフタイマーを使用すれば、ボタンを押す時の手ブレを防ぐことができます。
宍道湖夕日スポット「とるぱ」は夕日だけでなく、夜景を楽しむのにもぴったり。夜間も利用できる屋根付きのベンチも整備されています。反対車線側にある専用の無料駐車場からは、エレベーター付きの地下道も整備され移動も安心です。夕暮れ時は特に多くの人で賑わいます。
〒690-0049 島根県松江市袖師町12
【営業時間】終日開放(※駐車場の利用時間は10:00~21:00)
【お問い合わせ】TEL:0852-27-5843(松江観光協会)
【関連リンク】≫ 宍道湖周辺夕日スポット(松江観光協会)
夕日の観賞が難しそうな雨曇りの日。わずかな希望を胸に夕日スポットへ向かうも残念ながら…。そんな日でも、ちょっとした工夫で目の前の景色を楽しむこともできます。あきらめずに、まずはカメラを手に取ってみましょう!
空全体が雲で覆われ、今にも雨が降りそうな天気の日。「とるぱ」から眺める宍道湖と嫁ヶ島の景色を撮影してみると、モノトーンで墨絵のような世界観。
こんな日はカメラの設定でホワイトバランスを調整して撮影してみましょう。撮影モードを思い切って「白熱電球」や「白色蛍光灯」にします。マニュアル設定なら数値は3000~4000K(ケルビン)程度。スマートフォンでも機能やアプリで設定することができます。
ホワイトバランスを調整することで目で見るよりも「青み」がかかった写真になります。厚い雲の様子にも立体感が出て、早朝の宍道湖のように神秘的な雰囲気を演出することができます。
晴れた日の宍道湖と嫁ヶ島
ちなみに夕日を撮るときは、逆になるので「曇天」や「晴天日陰」モードにしましょう。マニュアルの設定だと6000K(ケルビン)程度。オレンジ色が強調された、鮮やかな夕日の写真を撮影することができます。
夕日だけでなく、天候や時間帯で色々な表情を楽しませてくれる宍道湖。ぜひ、その魅力をお楽しみください。
宍道湖の夕日を楽しめるスポットはこちら
≫ 定番から穴場まで!宍道湖の夕日観賞スポット