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島根の郷土民謡 安来節

グランド・オープン 2024年5月26日(日)に決定!
※リニューアルオープン2024 4月28日~5月6日(5/1休)

NHKの連続テレビ小説「わろてんか」に登場した「安来節乙女組」で一躍注目をあびた島根の民謡「安来節」。大正から昭和初期にかけて全国的な大ブームになりましたが、その魅力は一体どこにあるのでしょうか?

今回、その秘密を探るべく、しまね観光大使の粟井理菜さんと一緒に安来市にある「安来節演芸館」に行ってきました!

家元による本場の「安来節公演」や「どじょうすくい踊り体験」、名物「どじょう料理」など、館内を巡りながら安来節の魅力に迫ります。

安来節の殿堂「安来節演芸館」

安来節の殿堂 安来節演芸館
安来節発祥の地・安来に建つ安来節演芸館

日本一の庭園と評価される「足立美術館」から徒歩約5分。昔の芝居小屋をイメージした白壁造りの建物が存在感のある「安来節演芸館」。安来節発祥の地・島根県安来市に、安来節をいつでも気軽に楽しめる施設として2006年に誕生しました。

本場の唄や踊りを楽しめる「安来節公演」をはじめ、展示コーナーや地元特産品が揃うお土産処、名物「どじょう料理」を味わえるお食事処など、安来節はもちろん土地の魅力溢れる人気のスポットです。

安来節演芸館 演芸ホール

桟敷席をイメージしたホールでは1日4回の安来節公演が行われています。三味線と鼓の演奏をバックに家元や名人の唄、ユーモラスな踊りで有名な「どじょうすくい男踊り」、「わろてんか」の乙女組が踊った「どじょうすくい女踊り」など、本場ならではの安来節を楽しむことができます。

安来節の誕生と歴史

安来節演芸館 安来節公演
家元による本場の安来節公演

「安来節」は島根県を代表する郷土民謡で、幕末から明治時代にかけて安来の地で誕生しました。その起源には土地特有の産業が大きく関係しています。

古くから島根県の奥出雲地方では、豊富な砂鉄や木材を生かした伝統的製鉄法である「たたら製鉄」が盛んに行われており、技術の進歩に伴い江戸時代後期には日本屈指の鉄の生産地になりました。

奥出雲で生産された鉄や米は、日本海に通ずる天然の良港「安来港」から、北前船で全国各地へ運ばれました。こうして江戸時代後期の安来は、鉄をはじめとする物資の交易地として大いに栄えたのです。

安来節家元 4代目渡部お糸
安来節の家元四代目 渡部お糸

当時、北前船の寄港により賑わう安来の町では、船乗り達により民謡の交流が盛んに行われ、「佐渡おけさ」や「追分節」などがよく歌われていました。それらの民謡を元に「おさん」という芸妓が、「さんこ節」として独自のアレンジで歌ったものが人気となり、これが安来節の原形になったといわれています。

その後、各地の民謡の影響を受けながら風土に磨かれ、明治初期に完成の域に到達した安来節は出雲地方で大流行しました。さらに大正時代になり、渡部佐兵衛の娘で家元の初代渡部お糸が三味線の名手富田徳之助と一座を組んで全国巡業を行うと、各地で大好評を博し、安来節を一気に全国区に押し上げたのです。

「わろんてんか」の題材になった吉本興業と安来節

吉本興業と安来節
大衆娯楽雑誌「ヨシモト」復刻版(安来節演芸館展示より)

話題となっていた安来節に目を付けたのが、後の吉本興業の前身である吉本興業部でした。活動写真などの隆盛によって苦戦していた従来の落語主体の寄席。そこに安来節を取り入れることによって勢いを盛り返そうと考えたのです。

ドラマの「わろてんか」では、島根から安来節の踊り子4人を呼び寄せて「安来節乙女組」を結成するというエピソードがありましたが、これはヒロイン・藤岡てんのモデルとなった、吉本せいの弟・林正之助が、実際に安来に行って唄い手・踊り手を発掘し、大阪で興行した実話が元になっているそうです。正之助らのねらいは見事に当たり、安来節が加わった寄席は大人気となりました。

安来節を象徴する「どじょうすくい踊り」

安来節 どじょうすくい踊り

安来節といえば、真っ先に思い浮かぶほど、切っても切り離せないのが「どじょうすくい踊り」。そのはじまりは、安来の若者達がどじょうを小川から捕ってきた後に開いた酒宴にありました。

安来どじょう

どじょうを肴に酒を呑み、酔いが回ると、どじょうを掬う時の動きを面白おかしく踊り、その場を盛り上げて楽しんだそうです。この踊りが安来節のリズムによく合い、次第に安来節の踊りとして大衆にも親しまれるようになったと言われています。

はじめはローカルで楽しむものだった「どじょうすくい踊り」も、明治~大正にかけて安来節が全国的に人気を集めるにつれて進化していきます。「男踊り」と「女踊り」に分かれるなど、表現も豊かになり、安来節には欠かせない人気のお座敷芸として確立されたのです。

どじょうすくい「女踊り」

安来節 どじょうすくい女踊り

どじょうすくい「女踊り」の誕生は大正5・6年ごろ。日本舞踊における五大流派のひとつ西川流の小川静子(安来検番の師匠)により振付されました。「女踊り」は、ドラマ「わろてんか」の乙女組のように、カスリの着物に姉さん被りの手ぬぐいとたすき、前掛け姿の可愛らしい衣装です。

安来節 どじょうすくい女踊り

どじょうを捕る姿を滑稽に表現した「男踊り」の一方、「女踊り」はどじょうすくいを「舞踊」として表現したもの。小さなザルを手にリズムに合せて女性らしく優美に軽快に踊ります。雅やかに手を扇ぐ姿が印象的な品のある舞踊です。

安来節 どじょうすくい女踊り

どじょうすくい 「男踊り」

安来節 どじょうすくい男踊り

「男踊り」は、まめしぼりの頬かむりに一文銭の鼻当てというおなじみのスタイル。大きなザルを持ち実際に鰌を採る姿を面白く踊り笑いを誘います。

また、踊りに基本的な流れはあるものの、固定された型や決まりは特にありません。踊り手それぞれのオリジナリティが織り交ぜられ、野趣に富んだローカル色豊かなものが好まれます。

安来節 どじょうすくい男踊り

基本的な流れは、まずは頭にザルをかぶって登場。足を使いザルの中へ追い込みながらどじょうをすくい上げ、腰カゴに入れると、にっこり満面の笑み。

安来節 どじょうすくい男踊り

と思ったらポロリとこぼれて大脱走!逃げたどじょうを追いかけて四苦八苦、ようやく捕まえて、再びニコリと笑顔。ところがふと気づけば、足にヒルが付いているではありませんか!

つまんでヒルを投げ捨てようとするも、今度は手にくっつき大慌て、、、!なんとか投げ捨てて一安心。最後はご機嫌で手を振りながら退場~というコミカルな展開です。

安来節 どじょうすくい男踊り

表情豊かで愛嬌溢れるひょうきんなしぐさで、客席には自然と笑いが湧き、和やかな雰囲気に包まれます。また単に面白いだけでなく、しっかりとリズムを捉えた所作は女踊りと同様に美しく品格が備わっています。

鼓と三味線の軽快かつ独特なリズムに、様々な民謡の影響を受け誕生した新しくもどこか懐かしい唄の節回し。そして、どじょうすくいの「男踊り」と「女踊り」。

それぞれの演技が互いの魅力を引き立てあう安来節は技芸に優れ、多くの人の心を掴み全国的なブームとなったのです。

銭太鼓

安来節 銭太鼓

さらに、今日の安来節に欠かせない余芸に「銭太鼓」があります。銭太鼓は出雲地方に古くから伝わる独自の楽器で、竹筒の中に取り付けられた銭がシャンシャンと鳴る音を利用したリズム楽器です。

現在、越後地方や九州、中国山地の奥地にも銭太鼓が残っていますが、元は出雲地方から流れたものという説があります。

安来節 銭太鼓

両手に持った銭太鼓を勢いのある見事な手さばきで回転させながら振ったり、床に打ち付けて演技します。溜めとキレのあるリズミカルな音と動きにはとても迫力があります。戦後、安来節の余芸として演じられるようになり、どじょうすくい踊りと共に定番の魅力として人気を集めています。

「ちょこっと体験コーナー」で男踊りを体験!

安来節どじょうすくい踊り ちょこっと体験コーナー

公演の最後には約10分間の「ちょこっと体験コーナー」があり、鑑賞客は「どじょうすくい男踊り」を無料で体験することができます。実際に衣裳を着て、踊り手に振付を教えてもらいます。

安来節どじょうすくい踊り ちょこっと体験コーナー

見ている分には笑える楽しい踊りですが、腰をひょこひょこと動かしながら歩く動作など、実際にやってみると難しく、踊り手の凄さを実感できます。写真の撮影も大丈夫なので、思い出づくりにもぴったりです!(※女踊りの体験はできません)

展示コーナーで安来節に親しむ

安来節演芸館 展示コーナー

安来節演芸館には公演を楽しむホールの他にも、安来節の歴史や物語を映像で紹介する「安来節シアター」など、各種展示が行われています。ハンドルを回すと木製の人形が安来節を演じる可愛いカラクリ人形など、子供から大人まで楽しみながら気軽に安来節に親しむことができます。

安来節演芸館 展示コーナー
映像が宙に浮いて見える不思議な「どじょうすくい劇場」

安来節演芸館 どじょうのお神輿
演芸館前にある巨大などじょうのお神輿

地元の特産品などお土産も充実

安来節演芸館 お土産処 安来亭

安来をはじめとする島根の特産品が揃うお土産処「安来亭」。どじょうすくい踊りのひょうきんな表情がデザインされた人気の「どじょう掬い饅頭」や、由緒ある安来名物「清水羊羹」など、地元の銘菓や伝統工芸品が並びます。

安来節演芸館 お土産処 安来亭

もちろん安来節グッズも購入することができます。絣の着物に前掛け、豆絞り手ぬぐい、ザルや腰カゴ、銭太鼓など、どじょうすくいの衣装や小物、さらに練習DVDやCDまで揃います。

安来名物「どじょう料理」を味わう

安来節演芸館 お食事処 どじょう亭

全国屈指のどじょう養殖地の安来市。館内のお食事処「どじょう亭」では、名物どじょう料理を提供しています。定番の柳川鍋や鉄鍋どじょう汁を味わえる御膳メニューはじめ、バラエティに富んだどじょう料理を味わうことができます。

安来節演芸館 お食事処 どじょう料理

おすすめは「まるごと安来丼」。安来どじょう、島田タケノコ、広瀬味噌など、地元の食材をふんだんに使用したあんかけ風のご当地どんぶりです。生後1年未満のどじょうが使用してあり、どじょう特有のクセが少なく、骨も柔らかく美味しく頂くことができます。

マスコットガール「きゅっきゅちゃん」がお出迎え

安来節演芸館 きゅっきゅちゃん
明るい人柄で人気のきゅっきゅちゃん

安来節演芸館のマスコットガール「きゅっきゅちゃん」。明るく楽しい人柄で親しまれています。気になるのが「きゅっきゅちゃん」というお名前ですが、どじょうのとある習性が由来しているそうです。気になった方はきゅっきゅちゃんに聞いて見ましょう!

安来節演芸館

【住所】島根県安来市古川町534
【お問合せ】TEL:0854-28-9500(10:00〜17:00)
【営業】10:00〜17:00(定休日:毎週水曜日 ※祝日の場合営業)
【関連リンク】≫ 安来市観光協会 公式サイト

周辺の観光スポットも楽しもう!

地元の魅力たっぷりの安来節演芸館は周辺の観光スポットも見逃せません。庭園日本一の「足立美術館」や、天下の名城として知られる「月山富田城跡」、開山587年の名刹「清水寺」。また、御殿湯として栄えた歴史ある「鷺の湯温泉」をはじめとする良質の天然温泉を楽しむこともできます。歴史・風土豊かな安来の魅力をぜひ満喫して下さい。

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