2022年09月16日 公開
豊かな森林に恵まれた島根県には、大小さまざまな滝スポットが点在します。山林に水音がとどろく瀑布もあれば、古くから霊地として崇められる秘境も。澄んだ空気、美しい自然美におもわず深呼吸したくなる空間が広がります。
今回は数ある島根の滝からおすすめを4ヶ所ピックアップ。滝までの行き方、駐車場の場所など、実際に現地へ行った様子をもとに散策シミュレーションでご紹介します!
龍頭が滝のハイライト、雄滝。ほとばしる水しぶきは圧巻
高僧・行基が旅の途中、山に伏して霧を吐く龍と遭遇。後を追うと体を滝壺に沈め、頭を岩窟の中に入れて冷やす龍の姿が。この滝に強い霊気を感じた行基は、滝壺から石を取り出して馬頭観音を刻み安置。以来「龍頭が滝」と呼ばれるようになったと言います。
中国地方に数ある滝の中でも随一の名瀑であり、「日本の滝百選」にも認定。周辺は県立自然公園に指定され、樹齢約400年の杉木立、天然記念物のオオサンショウウオなど、手つかずの豊かな自然が広がります。
落差40mの雄滝、三段の流れを合わせた雌滝からなる「龍頭が滝」。雄滝は滝の裏側に回って見られ「裏見の滝」としても人気です。滝の南には「龍頭が滝」とともに、「龍頭八重滝県立自然公園」に指定される「八重滝」も。8つの滝からなる美しい渓谷美が広がり、特に秋の紅葉は雲南市を代表する景観のひとつ。
滝の下、滝の上の2ヶ所に駐車場がありますが、おすすめは滝の下。駐車場までの道中、多少道幅が狭くなるものの、滝の上駐車場からのルートに比べ、滝の下の方が比較的歩きやすい道が続きます。滝の下は駐車スペースが2ヶ所ありトイレも併設。
散策路の途中で2つの滝へ分岐。散策路が整備されていますが、スニーカーなど歩きやすい靴で向かいましょう。分岐付近に休憩所と、観光案内板が設置されています。
分岐を過ぎると、樹齢約400年の杉木立と、100段以上の階段。土が露出している部分も多いため、雨上がりの時など足元には充分にご注意を。
階段を上がればすぐに雄滝。正面から見る滝の様子も圧巻ですが、イチオシは裏側からの景観。岩を飛び石代わりにして滝の裏側へ。滝裏側の岩窟には、馬頭観音が祀られています。
滝の奥に、鰐淵寺奥の院「蔵王堂」が鎮まる景観は見もの
県下有数の紅葉の名所としても知られている「鰐淵寺」。創建は推古2年(594年)と伝わり、その創建に深く関わりがあるのが、寺の奥の院に流れ落ちる「浮浪の滝」です。かつて、智春上人(ちしゅんしょうにん)が滝のそばで推古天皇の眼病平癒を祈願。すると願いは成就し、「鰐淵寺」が建立されたと言われています。また、弁慶が若き日に、滝をはじめとする山内で修業を行ったとの逸話も。
滝の落差は18m。深い滝壺があり、かつては雄大な姿であったことがうかがえます。現在も水量こそ少ないものの、岩壁に納まる社や木々のざわめきと、心休まる霊域です。
修験道の霊地でもある「浮浪の滝」。そのため、滝までの道のりは1kmもないとはいえ、道幅は狭く、アップダウンも激しい難所続き。健脚でない方は観賞を控えた方が無難です。加えてペット同伴での参拝は不可なのでご注意を。
第一駐車場に車をとめて境内へ向かいます。舗装されている道が続きますが、しばらく上り坂なのでひと息入れつつ目的地へ。なお、駐車場から先は三脚の持ち込み・使用は不可。
駐車場から受付所までは徒歩約15分。ここで入山料(大人500円、中高生300円、小学生200円)を支払います。(「鰐淵寺」本堂の参拝料込み)
受付所から「浮浪の滝」までは約10分。道中は飛び石を渡るなど、険しい細い道が続くので、休み休みゆっくり歩いて行きましょう。
道程の最後に東屋があり、そこを過ぎれば「浮浪の滝」が見えてきます。駐車場から滝までは徒歩20~30分ほど。帰り道は下り坂で急なところもあるため、最後まで注意しましょう。
人里離れた場所に流れ落ちる、知る人ぞ知る滝。高さこそないものの水量は多く見応え充分。
角谷川上流、静かな山道を進んだ先に、エメラルドグリーンの滝壺に流れ落ちる、隠れた名瀑がお待ちかね。高さ約20m、幅約5mの滝で、島根県の「ふるさとの滝100選」に登録。滝までの道のりは、アップダウンも少なく、スムーズな移動が可能です。滝周辺こそ滑りやすくなっているものの、歩きやすいスニーカーなどで充分に散策を楽しめますよ。
邑南町は古式製鉄方法・たたら製鉄が盛んだった場所。昔、たたら製鉄の運搬役だった赤毛の牛とその子牛が滝近くを通った際、子牛が足を滑らせ滝壺へ転落。それを見た母牛も身を投げたそう。以来、地元の人たちは赤毛の親子牡牛を哀れんで「赤馬滝」と呼ぶように。
悲哀に満ちた伝説ゆかりの滝には、たたら製鉄の痕跡のほか、牡牛の霊を弔うための馬頭観音の祠も点在しています。
入り口付近に開けたスペースがあるので、車はここへとめましょう。案内板が立っているのが目印です。近くには天狗の鼻のような奇岩も。ぜひ探してみましょう!
入り口から滝までは徒歩約5分。たたら製鉄の際に使われた運搬路を散策路として整備されています。道幅は狭いものの、比較的平坦な道が続きます。
散策路の途中、「上段の滝見」という案内板が立つ分岐点があります。ここから「赤馬滝」を上から見られる場所へと行けますが、こう配もキツくなるため、体力に自信のない方は控えましょう。
分岐点を直進していけば、ほどなく滝へ到着。滝のすぐ手前には滝見小屋も。近づいて見るもよし、遠目から周辺の景観を交えて見るもよし!
島根県屈指の落差を誇ります。下から見上げると、まるで空から滝が降りそそいでいるような光景が!
島根県の沖合に浮かぶ隠岐諸島。島の内外に大自然が創り出した絶景が点在する中、とりわけ神秘的な雰囲気に満ちる場所が「壇鏡の滝」です。島後の隠岐の島町の山あい、横尾山から流れ出る那久川に掛かり、「日本の滝百選」と「日本名水百選」に選出されています。
辺りは深い木々に包まれ、目の前には滝壺に砕け散る水しぶき、離島のロケーションも相まって癒し効果も抜群です。
正面の岩壁は火山岩で、長年の浸食を受けて下部はえぐれたような形状。その中には「壇鏡神社」の社が鎮座しています。高さ50mの雄滝と40mの雌滝が並んで流れ落ち、この水は長寿の水、勝者の水としてご利益も。隠岐の伝統文化である牛突き大会をはじめ、勝負事の前夜に身を清める場所としても大切に守られ続けています。
西郷港から駐車場までは車で約40分。県道44号線・町道を経由して駐車場へ。駐車場目前に立つ大きな鳥居が目印です。この鳥居を抜けて5分ほど車で走りますが、道中は細い道が続くので運転にはご注意を。
駐車場に着いたら鳥居をくぐって散策路へ。大きなアップダウンもないので比較的スムーズに進めるハズ。なお、付近にバス停はないので、西郷港からのアクセスは車またはタクシー利用がベター。
那久川上流にある滝を目指して歩いて行きましょう。やわらかな木漏れ日、小川のゆるやかな流れと、滝までの道中も心地いい!
散策路の先、そり立つ岩壁が見えてきます。天高くから流れ落ちる滝はもちろん、屛風のように左右に展開する岩壁の景観も必見ですよ。
※雄滝の裏は、落石の恐れがあり危険なため立入禁止
島根県内にはまだまだ滝スポットがいっぱい。プチトレッキングしたり、四季折々の情景とともにマイナスイオンたっぷりの滝を眺め癒しを感じたりと楽しみ方もさまざま。旅の目的や旅行先に合わせて選んでくださいね。
雨が降った際には水量も増え、近づけない場合もあるうえ、道中の足元も不安定になることもしばしば。雨の日や降雨予報が出ている際は、各地の観光協会のHPやSNSも確認し、最新情報をチェックしておきましょう。
問題ない場合でも、動きやすい服装とスニーカーで向かう、場所によってはクマよけの鈴を携帯するなど、身の安全確保には充分に留意して、滝の景観を楽しみましょう!