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乗る・見る・運転する!体験運転もできるローカル列車・一畑電車の魅力

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2023年03月06日 公開

聖地と水都を結ぶローカル列車・一畑電車

「ガタン、ゴトン」と揺れる車内から窓を見渡せば、水面穏やかな宍道湖、のどかな田園風景。「一畑(いちばた)電車」は、水都ともいわれる松江市と、縁結びの聖地・出雲大社がある出雲市までを結ぶローカル列車です。
大正3年(1914)の創業以降、今日まで歴史をつむぐ島根県唯一の私鉄であり、地元民には欠かせない生活の足。地元では「バタデン」の愛称で親しまれています。

かつて関東を走っていた往年の名車、縁結びにちなんだ「しまねっこ号」など、外装はもちろん内装にもこだわり、乗るだけで楽しくなる工夫がいっぱい。また、日本最古級の車両を体験運転できることから、鉄道好きの間でも評判を呼んでいます。
今回は乗り物としての機能的な一畑電車だけでなく、運転体験や見える景色といった魅力をご紹介します。

 

一畑電車の主要駅と最寄りの観光スポット

宍道湖北岸をメインに走るため、車窓から見える宍道湖や出雲平野の牧歌的な景観は心をほっこり和ませてくれます。駅は全部で26ヶ所あり、その中には、出雲大社をはじめ、観光・レジャースポットに近い駅も。観光や参拝客の移動手段としても重宝されています。

●立ち寄りスポット

電車旅のすすめ|車と電車でゆったり旅「パーク&ライド」

一畑電車では駅まで車で行き、電車に乗り換えて移動する「パーク&ライド」を実施中。
松江市~出雲大社間の移動は一畑電車、それ以外の観光地へは車など、旅プランに合わせて利用してみましょう。駅によっては無料駐車場も完備しています。

パーク&ライドマップを見る

 

「デハニ50形体験運転」で本物の電車を動かして運転士気分!

一畑電車ならではの魅力のひとつ「体験運転」。毎週金~日曜と祝日に定期開催しており、なんと日本最古級の車両「デハニ50形」を運転できます。子どもから大人まで、気軽に参加できる人気プログラムを体験してみました。なお、開催日は変更の場合もあるため公式サイトを要確認。

まずは受付。限定プレゼントもお楽しみに

雲州平田駅

「デハニ50形体験運転」は雲州平田駅で実施。駅の窓口に体験する旨を伝えて受付をしましょう。体験運転は希望日の3ヶ月前から公式サイトにて申し込みできます。今回体験した初回コース(各回定員5名)のほか、上級者向けのマスターコース(定員5~10名)もあり。

受付を終えると手袋のほか、体験者限定のネームプレート(ケースのみ要返却)、1日フリー乗車券がプレゼント。さらにこの時、写真撮影を行い、体験後にご自身の写真入り「体験運転終了証」がもらえます。
なお、車で直接会場へ向かう場合、駅隣の有料駐車場を利用しましょう。駐車券提示でサービス券が進呈されます。

普段は入れない場所を見学!

普段は入れない車両基地を通り、体験運転の会場となる車庫へ。間近に見る電車の迫力は圧巻です。この日は、電車の掃除の様子を見ることができました。移動中、自由に撮影OKなのもうれしいポイント。
ただし、線路を渡る時は必ず、スタッフの誘導のもと渡るようにしましょう。

 

バタデンの基本操作をレクチャー

お次は大事な講習です。運転するデハニ50形の説明を受けた後、操作する機器のレクチャータイム。操作するのは、電車のカギとなる「逆転ハンドル」、電車を動かす「マスターコントローラー(通称:マスコン)」、電車を止める「ブレーキハンドル」の大きく3つ。映像を使って分かりやすく丁寧に説明してくれます。

 

本物の車両を走らせよう!

ここでの運転体験は、大人だけではなく、保護者の同伴があれば、小学生以下の子どもも参加することが可能。親子で一緒に体験することで、好奇心を育み旅の思い出も深まります。

ドキドキ・ワクワク!いよいよ運転開始

引退当時のままレトロな雰囲気が漂う「デハニ50形」車内には、昔の路線案内図、制帽や制服が展示。希望すれば制服は着用できるので、運転士さながらの体験が楽しめます。


写真左から、逆転ハンドル・マスコン・速度計・圧力計・ブレーキハンドル

運転席は大人ひとりが入れる小さなスペース。着席したら、逆転ハンドルとブレーキハンドルを設置し出発準備をします。隣には現役の運転士さんが立ち、アドバイスを受けることができるので、初めての方でも安心です。

準備ができたら、「前方よし!」指さし確認(安全確認)をしていざ出発です!運転は120m×2往復、走る際の時速は約15km程度。ブレーキハンドルを緩め、マスコンを回すと、ゆっくりと車両が動き始めます。

数十メートル進んだら、次は「停止位置」を目指して車両を止めます。マスコンを戻しながら、計器を確認、ブレーキハンドルを微調整しながらスピードを落とします。スピードはゆっくりなものの、手に汗握るドキドキ感!

体験2回目からは、講義なしで体験できるほか、体験した回数により車庫内に名前が飾られることも。これまでに数十回以上も体験した熱烈ファンもいるそうです。

自身の操作によって車両が動き出す瞬間は、鉄道ファンならずともワクワクすること間違いなし。ここだけの貴重な体験を、旅の思い出にぜひチャレンジしてみよう!

 

乗って旅をしよう!一畑電車の車両ガイド

一畑電車の車両は一部を除いて、かつて関東で走っていたベテラン列車たち。特徴や魅力もさまざまで、ホームに入ってくる車両を見るとどこか懐かしさを感じます。運行ダイヤには、車両番号が掲載されていないため、どの車両に乗れるかはあなたのご縁次第!

■ 一畑電車の代名詞「2100系」

昭和38~44年にかけて製造された元京王電鉄の車両。オレンジ色に塗装され、一畑電車を象徴する車両のひとつです。また、2103号車は、二人掛けのソファシートに座席を変更。席から宍道湖の眺望を楽しめるようになっています。

■ ご縁も結ぶ「ご縁電車しまねっこ号Ⅱ」

東急電鉄で走っていた1000系車両に、島根県の観光キャラクター「しまねっこ」をラッピング。 "ご縁の国しまね" にちなんだピンク色の外装や座席シートはインパクト大。座席にはしまねっこのオブジェが設置、記念撮影にもピッタリです。
※注意:しまねっこは運行車両に同乗しません

■ 木の温もりにあふれた「5000系」

5009号・5109号車は島根県産の木材を使った内装に一新。4人・2人のボックス席があり、ウッディーな空間はさながら観光列車のよう。ほかの車両も含め、フリーWi-Fi完備なので移動中も快適です。

■ 86年ぶりの新造車両「7000系」

一畑電車としては86年ぶりとなった新造車両。ほかの車両に比べ、長さ約21mと長めに設計されています。車両にはしまねっこが設置され、車両によって手に持っている物が違うので要チェック。

Column

“バタデン” オリジナルグッズをおみやげに

手ぬぐいやクリアファイル、ポストカードなど、バリエーションも多彩。電車のキャラクターを用いたグッズは特に子ども連れに人気です。松江しんじ湖温泉駅、出雲大社前駅、雲州平田駅での店頭販売のほか、オンラインショップもあります。

 

移動も楽しい!沿線にある美景と個性派ぞろいの駅舎

一畑電車の運行区間の総延長は42.2km。沿線には宍道湖をはじめ、島根らしい美しい景色が広がり移動時間も楽しませてくれます。最近では電車×島根の自然を撮影しに愛好家も訪れています。駅舎も駅ごとで近代的だったり、洋風モダンな雰囲気があったりと、個性的なデザインにも注目です。

湖を、田園を、町並みを。沿線風景と車窓からの眺め

[長江駅~秋鹿町駅] 宍道湖としじみ漁
宍道湖の特産品であるしじみ。午前中の早い時間に乗車すれば、車窓からしじみ漁の様子を見られることも。

[伊野灘駅~一畑口駅] まるで江の電?
撮り鉄スポットのひとつ「胡麻谷踏切」。顔を出す車両と背景の宍道湖が、江の電の風景のようだと話題です。

 

[高浜駅~遥堪駅] 巨大なドームと田園風景
出雲平野に広がる秋の風物詩、そば畑。その向こうには、日本初の木造ドームである「出雲ドーム」の姿も。

[高浜駅~遥堪駅] 鳥居と社殿の間を走る!
朱色の鳥居がいくつも並び立つ「粟津稲生神社」。参道を車両が横切っていくという珍しいスポット。

趣が異なるそれぞれの駅舎たち

足湯併設の「松江しんじ湖温泉駅」
松江市内の温泉地・松江しんじ湖温泉に隣接する有人駅。駅舎の隣には気軽に温泉が楽しめる無料の足湯が設置されています。

眼前に広がる宍道湖の眺望「秋鹿町駅」
一畑電車の沿線の中で、もっとも宍道湖に近い駅。下車すると、目の前には宍道湖のパノラマビューが楽しめます。湖面をなでる風を受けながらほっとひと息。

名刹の玄関口「一畑口駅」
大正4年に開設。以前は「一畑薬師」すぐ近くまで線路が敷設されていました。全国的にも珍しい平地でのスイッチバッグもあり。

バタデンのメイン駅「雲州平田駅」
一畑電車開設時から現役の主要駅のひとつ。車庫のほか、運行の要である運転指令室もあわせ持ちます。改札口にある発車案内板は昔ながらの手動の幕式。

ステンドグラス輝くモダン駅舎「出雲大社前駅」
「出雲大社」にもっとも近い駅で、大社線の開通により開設。モダンな洋風建築の駅舎の隣には、かつて運行していたデハニ50形が展示されてます。見学無料。

 

出発前に知っておきたい一畑電車ガイド

周遊に便利な切符や乗り方の基本などをまとめました。お出かけ前にチェックしておきましょう。

詳細はこちら

● 一畑電車はワンマン運行!乗降時はご注意を

一畑電車はすべての車両で、運転士がひとりの「ワンマン運行」。そのため、無人駅から乗車する際は、整理券を受け取り、降車時は整理券と合わせて運賃を、運転席近くの運賃箱へ。そのほか、ドア横に開閉ボタンが設置されており、乗降時、ドアが開いていない場合はこちらのボタンで開閉を。

● 出雲大社前駅へは「川跡駅」で乗り換え必須

「出雲大社」の最寄り駅となる出雲大社前駅への直通はごく一部。そのため「川跡駅」で乗り換えが必要となります。車内アナウンスもあるのでお聞き逃しなく。

● 雲州平田駅・一畑口駅は途中下車OK

一般的に普通乗車券は、途中下車をすると無効となります。ですが、一畑電車では雲州平田駅と一畑口駅のみ途中下車OK。

● 1日フリー乗車券

全区間が1日乗り降り自由になる乗車券。大人1600円、子ども800円で、販売当日のみ有効。
有人駅となる出雲大社前駅、電鉄出雲市駅、川跡駅、雲州平田駅、松江しんじ湖温泉駅で購入が可能。

● レール&サイクル

一畑電車は全区間で車両内への自転車持ち込みOKなので、自転車+電車で周遊する旅もおすすめ。自転車持ち込みは1台あたり片道320円、乗車券は別途。

● 手荷物託送サービスのご案内

一畑電車の沿線内で、1人につき荷物3個まで配送してくれるサービス。10kg以内650円~。電鉄出雲市駅はじめ、各有人駅にて受付。

写真ギャラリー

お問い合わせ先
一畑電車株式会社 総務部営業課
〒691-0001 出雲市平田町2226(雲州平田駅2階)[map
TEL:0853-62-3383[営業時間]9:00~17:00
普通旅客運賃:1区間170円

 

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