2018年04月10日 公開
有名なものから地元民も知らない意外なものまで、島根県が誇る様々な「日本の百選」を集めてみました。島根県内各地にある百選の、知られざる歴史やエピソードを訪ねて行く旅もおすすめです!
奈良時代に高僧行基がこの地を訪れた際に、木蔭の洞窟から流れ出る湧き水に霊気を感じ、聖観音菩薩を祀る清水寺(せいすいじ)を建立しました。そして、この湧水に「天から授かった天恵の水」という意味で「天川」と名づけたと言い伝えられています。湧水量は1日約400トンに上ると言われ、豊富な湧き水は地域住民の生活用水や農業用水として長く重宝されてきました。常に清らかで澄んだ水が湧き出す天川ですが、地元の人々による水質保全活動により今日もその透明度が保たれています。
隠岐の名瀑・壇鏡の滝の湧水は、島内では「長寿の水」・「万病に効く水」として有名で、遠方からこの名水を求めて訪れる方も沢山います。また滝の水は「勝利の水」とも呼ばれ、隠岐の島で行われる牛突きや古典相撲大会といった伝統行事の前には、大会参加者がこの水で身を清めるという慣習が今もなお続いています。
古くから浜山に湧き出ている清水で、鉄分が少なく水質がよいため、飲料水の他、酒や醤油の醸造にも用いられてきました。江戸時代中期まで周辺は砂浜でしたが、地元の井上恵助翁が私財を投じ、苦労の末90万本のクロマツを植林したおかげで水持ちが良くなり、干ばつ時にも水に困ることは無くなったと伝えられています。地元では湧水周辺の清掃活動や、松苗の植樹などの保全活動が熱心に行なわれています。
鳥取県との県境にある鷹入山の中腹にある三段の滝で、「平成の名水百選」にとどまらず「秘境地としてすばらしい名水部門全国第2位」(環境省)にも選ばれています。その昔、ある鉄山師の夢に女神が現れて「この滝に移り住みたい。」と告げたとの伝説があり、滝壺の前には女神を奉ずる祠があります。滝や周囲の小川には、春から夏にかけて水遊びや緑陰・涼風を求めて人々が訪れます。
国交省の水質調査で何度も清流日本一に選ばれている「高津川」の水源で、澄んだ伏流水が湧き出ています。湧水のほとりには立派な一本杉があり、出雲から逃げてきたヤマタノオロチの魂が宿ったという伝説が残っています。この一本杉は樹齢1000年以上といわれ、島根県の名樹百選にも選定されています。周辺は美しく清らかな水に親しめる水源公園として整備されており、季節ごとの花や緑を楽しむことができます。また、毎年6月には藁の龍で雨ごいを祈願する「水源祭り」が開催されます。
全長約1.4kmにわたる弓状の白砂の浜で、砂を踏んで歩くとキュッキュッと軽やかな音が鳴る、全国でも有数の「鳴き砂」の浜です。平家の琴姫伝説が残り、近くには世界最大の一年計砂時計で有名な砂博物館「仁摩サンドミュージアム」もあります。琴ヶ浜と仁摩サンドミュージアムは、芦原妃名子さん原作の漫画『砂時計』の舞台として登場し、全国から作品のファンが訪れるようになりました。
「貴婦人」の愛称を持つC571号機をはじめとするSLが、新山口駅から山陰の小京都・津和野までの約63km、2時間のレトロな列車の旅を楽しませてくれます。もくもくと煙を吐きながら走る蒸気機関車の、「シュッシュッポッポ」という力強い音、また時折こだまする「ポーッ」という汽笛がノスタルジーとロマンをかきたてます。 SL全盛期の客車を忠実に再現した新製客車も登場し、ますます人気が高まります。
小泉八雲旧居はじめ武家屋敷風の建物が松江城を囲う堀川沿いに軒を並べ、松江で最も城下町らしい佇まいを残す通りです。このあたりはかつて中老格の藩士の屋敷が並んでいたところで、塩見縄手の名は異例の出世をした塩見小兵衛の屋敷があったことに由来します。縄手とは平地などに細く延びる一本道のこと。堀に沿って往時をしのぶように巨松が並び、江戸時代の風情が今も息づいています。
出雲市街地の中心部にある島根県出雲合同庁舎、市立図書館前を通る、延長200m、幅員17mの道です。美観を守るために電柱や看板類の設置は抑制され、クロマツやサツキなど日本庭園風の植栽やカラーブロックの舗装、車道を緩やかに蛇行させることなどによって、安らぎや周囲との調和、安全性などを図っています。 愛称である「みゆきの道」は、1982年に島根国体が開催された際に、昭和天皇が行幸されたことからその名が付けられました。
安蔵寺山は、津和野町・吉賀町・益田市にまたがる山で、その名は仏道修業の安蔵寺が山頂近くに存在したという伝説に由来します。県境を接しない山としては島根県の最高峰になります。西中国山地屈指のブナ林の中に、一際目立つ西日本一の大ミズナラの巨樹があり、「ナラ太郎」の愛称で地元住民に親しまれています。大ミズナラは津和野町の天然記念物に指定されています。(写真提供:津和野町教育委員会)
隠岐の島町南西部の那久川上流に、屏風を連ねたような岩壁がそそり立ち、その中央に壇鏡神社があります。神社の左右には、高さ50mと40mの二条の滝が流れ落ち、向かって右側を雄滝、左側を雌滝と呼びます。雄滝は「裏見の滝」となっていて、裏側に回り滝を見上げれば、弧を描いた崖から降り注ぐ清水が太陽の光に輝きとてもきれいです。滝の水源となる湧水は「日本名水百選」にも選ばれ、渓流には希少種であるオキサンショウウオが多数生息しています。
※現在、壇鏡神社付近で落石事故が起きる可能性が報告されています。滝の鑑賞は可能ですが、壇鏡神社付近および滝の裏への立ち入りが規制されています。規制箇所には注意喚起の看板が設置されていますので、観光の際はご確認いただきますようお願いいたします。(2018年7月11日現在)
龍頭八重滝とは、島根県雲南市掛合町にある瀑布群で、龍頭が滝と八重滝の総称です。 龍頭が滝は、落差40mの雄滝と30mの雌滝の二つからなり、中国地方随一の名瀑といわれています。雄滝の裏には洞窟があり、滝の裏から眺めることができる「裏見の滝」となっています。 八重滝には、八汐・八塩滝、滝尻滝など合計8瀑があるため八重滝と呼ばれます。ともに流域にはオオサンショウウオが生息する清流です。
出雲市の斐川平野は、斐伊川、神戸川(かんどがわ)の沖積によっててきた、島根県内で最も広く豊かな穀倉地帯です。 この斐川平野に広がる田園の中に、築地松(ついじまつ)と呼ばれる四角く刈り込まれた黒松の屋敷林に囲まれた農家が点在し、出雲地方独特の景観をつくり出しています。 築地松が水田に映り込む田植えの時期や、黄金色の稲穂の波に浮かぶ実りの季節は特に美しく、出雲地方に暮らす人々の原風景となっています。
石見畳ヶ浦は、国府海水浴場に隣接する島根県西部屈指の景勝地です。明治時代の地震で浅海が隆起してできた、広く平らな隆起海床には縦横に亀裂が走り、まるで畳を敷いたように見えることから「千畳敷」と呼ばれています。また所々に直径50cm程度の腰掛け状の丸い岩(ノジュール)が並ぶ、不思議な光景です。ノジュールは化石が核となってできた岩の塊で、貝やクジラなどの化石を観察することもできます。 春から秋にかけて、天日干しされるイカやワカメなどの海産物や、海からのさわやかな潮風が織りなす、やわらかな磯のかおりを楽しめる場所です。