隠岐は民謡の島とも呼ばれている。よく知られたものに「どっさり節」「しげさ節」「キンニャモニャ」「隠岐追分」「相撲取節」などがあり、このほかにも、田植歌、畑歌、田歌、山歌、船歌、海歌、木やり歌、祝儀歌、盆歌、祭歌、子守歌、童歌など数多い。その中でも「どっさり節」は隠岐民謡の第一にあげられるが、それは1人の島娘の悲恋物語が伝承され、島に住む人の愛惜を伝えるからである。
江戸時代、回船が島へ頻繁に出入りするころ、越後の若者と恋仲になった島娘お松は、船が隠岐を出る時、再び島へ来るという若者の言葉を信じて待ちわびていたが、2度と若者はお松の前に姿を見せなかった。恋しさのあまり、船影を求めてお松は恋しい人から聞き覚えた追分節を口ずさんで慰めたという。お松が唄う歌はどうやらこうやら(ドッサリクッサリ)追分節に似ているというので、「どっさり節」と言われたと伝えられている。
「しげさ節」は最もポピュラーで、今は創作歌詞の「隠岐は絵の島花の島 磯にゃ波の花が咲く 里にゃ人情の花が咲く」「忘れしゃんすな西郷の港 港の灯影(ほかげ)が 主(ぬし)さん恋しと泣いている」などの詞で広く知られている。
しゃもじを使って伴奏する「キンニャモニャ」も、変った題と軽快なテンポで親しまれる民謡である。
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